先週の雑感記 賞と顔
まずはお知らせ。
アマゾンで、宇宙犬ハッチー予約中です。3/15発売です。よろしくお願いしますー。
さあ今週だ!
本屋さんには配送の都合でちょっと遅れて並ぶかもしれないそうです。週明けに大きなところを覗いてみようかな。
担当さんと打ち上げをしました。
漫画の事情は知っていても、小説はまだまだ分かっていないので、いろいろと質問。そもそも、連載ではなく書き下ろしの仕事は次回作をどうすればいいのかが、分かってなかったのです。
何しなきゃいけないのか、ようやく理解してきました。出版不況だし、少子化もあるし、取り巻く状況は厳しいけれど、がんばっていこうと思います。
賞と顔。
公募ガイド4月号の「賞と顔」という賞を取った人のコーナーに、僕の記事が載ってます。何で漫画家なのに小説を書いたのかということについて書きました。HPでも公開されています。
撮ってもらった写真を見たら、自分が思ってるより丸くなっててショック(^^;;)
さて1ページ分で800字ぐらいという依頼だったので何とかまとめましたが、結構こぼれたなあと思うので、ここで補足を。
いきなり畑違いの事を始めたのではなくて、もともと子供の時には、漫画も小説も書いてました。面白い物を読んだら影響されて、自分も書くぞ! となるパターン。
ジョン・W・キャンベルの「月は地獄だ!」を読んで、自分も日記形式のお話を書こうと、絵日記帳に書き始めたりしました。日記調だから淡々としてるのに事態がどんどん悪化していくのがむしろ緊迫感を強調していて、はらはらして面白かったんですよねー。
ただ、漫画は最後まで描き切れたのに、小説は挫折したのです。
漫画は、子供向けに漫画入門みたいな本が出てて、話作りの起承転結とか、そのページ割りとかが解説されていました。最初はオチのないひたすら続く漫画(というか落書き)を描いてましたが、それを参考に読み切り漫画を描くようになります。最初は読み切りを描きなさいって書いてあったし。
ところが小説の方はそういう出会いがなく、読んでた本が全部長編だったので、それを真似ては途中で頓挫。前述の日記形式のお話も、確か宇宙レースの話を書こうとして、第一チェックポイント越えた辺りで展開思いつかなくなって飽きちゃったんじゃなかったっけ。
そんな感じなので、自然と漫画の方に進んでいったのです。
さて、漫画家修行が始まりました。程なくして僕は、「ああ、自分は絵じゃなくて、話で飯を食うんだな」と悟ります。褒められるのはいつもそっち側、特に構成力についてです。ちなみに今回もそこを褒めていただきました。
そういう気持ちがあるので、漫画原作にもトライします。佐々木少年先生と組んで仕事をしたりしました。
ところが、話で飯を食うはずなのに、ネームの通りが悪い。何度もボツを食いながら、もがき続けます。なんかおかしい、自分は勘違いをしているのではないかと、心の片隅で思いながら。
それが決定的になったのが、「ケッタ・ゴール!」の打ち切りでした。
構成力を生かそうとするのだから、先のことを考えて、伏線を張ろうとします。キャラクターたちが生きていると考えたら、内面にも行動にも、ちゃんと因果関係があるはずです。
また、好きこそ物の上手なれで、もともとそういう話の方が面白いと思っています。そこにスポットを当てて、じっくり描きたい。
で、そういう伏線の回があるので、ここはなるべく楽しいシーンを入れるとしても、そんなに票は取れないだろうと達観していて。担当さんにも、伸びるとしたらこの先、大会入ったらと言ってあって。
一番底になるはずですと言ってあった回で、打ち切りが決まったのです。
言ってあって、担当さんも頷いてたのに、それが聞き流されていたのがすごいショックでした。僕は意図があるんだから溜めの回は見逃されると思ってたけど、最初からそれはなかった。それが僕の「勘違い」だったのです。
アンケートで物語の存続を決めるシステムなのだから、求められている「面白さ」は、その回で表現されるもの。もっと言えば、一つのシーンの中で表現されていることが望ましい。絵の魅力だったり、すごい演出だったり、そういう物が絶対強い。そこに力を注がないとだめ。
構成力の優先順位は、すごく低かった。
そりゃあ打ち合わせで苦労するはずです。力の入れ所を間違えてるんだから。まるで競技を勘違いしていた感じ。100m走なのに、マラソンのペースで走ってる。勝てるわけない。
でも、そういう事に気付いてから、じゃあ話の筋をこう変えればよかったと後悔したかと言うと、そういう気持ちは湧いてこなくて。
どう考えても、こうするしかないよな、という結論に落ち着いてしまう。だってそういう話が一番面白いと思っているんだから。
ただ、何とか次を通さないといけないので、ちゃんとルールに合わせないといけません。となったらハイテンション・エンドレスバトルだよな! とネームを切ります。
上手く行きません。
頭では分かっています。最初からガーンとインパクト残して、そのテンションを高いまま維持する。
でも、上がり切らない。性格もあって、それに向いたキャラクターが動かせないのです。自分が描ける、ちょっとかわいいキャラに無理にそれをやらせるからちぐはぐです。
キャラはある意味自然と生まれるもので、作者本人の資質が大きく関わります。計算で作ったものには生きてる質感が出ません。となると物語には自然と落ち着くところがある。作り手の都合を優先してそこを外すと、不自然なつぎはぎだらけのものになる。それが「物語が死ぬ」ということです。
それを避けようとすると描けない。やっぱり向いてない。得意なパターンはだめ、合わせようとしてもだめ、もう八方塞がりです。
そこでふと、「一回」が短いのがいけないのではないかと、発想の逆転が起きました。
一回25pぐらいだから急角度でテンション上昇しないといけないのであって、300pとか、500pとかあれば、もっとゆったり構成する余地があるだろう。急峻な山場じゃなくて、裾野の広い山場でも大丈夫。
漫画はそんな形ではあまり出版されてないけど、小説は書きおろしが普通です。そこで小説が視野に入ってきたのです。
しかも、その時点で、僕はこのブログを毎日書き続けていて、自分が結構文章書くの好きだなと感じてました。
子供の時は続かなかったけど、書き続ける胆力は上がっているはず。しかも、漫画修行で物語の進め方、オチへの持っていき方も学習した。出来るはずだ。
こうして小説修行に突入となったのでした。
ちなみに漫画原作の持ち込みも続けていました。一回当たりを長くするという発想の逆転と同時に、そもそもテンション上がる必要のない話を描くという逆転も考えたのです。でも残念、そちらは昨年3月、もう無理だから来なくていいですと宣言されました。
ハッチーが通ってくれて、ほんとによかった。
続いてくれたら、なおよろしい。続けー。
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コメント
どうして打ち切りになったのか私はあまり理解できません(涙)
せっかく面白いところで次からどんどん面白くなっていくというところで打ち切りなんて・・・いま考えてみましたが、やっぱりおかいしいなと思いました。編集者の人はもう少し、3~4ヶ月ぐらい、打ち切りを伸ばしてあげるべきだったんじゃないかと思います。
そうすればケッタくんは人気漫画になっていたと思います。
投稿: エドワード博士 | 2013/03/12 15:33
そう言ってもらえるとうれしいです。
でも、そういう戦術なんだということをきちんと把握せずにやってた僕が、やっぱり甘かったんだと思います。聞き心地のいい話じゃないから、あまりはっきり語られていないけれど、長くやってたんだから気がつかないと。チームの戦略戦術を決めるのは監督で、選手はそれに沿ったプレーができなきゃ使ってもらえない。そういう当たり前の話なのです。
個人的にはそういう漫画があってもいいじゃんとは思うんですが、まあそれは勝手に続ければいいので、そちらでがんばります(^^)/
投稿: かわせ | 2013/03/14 05:00