マグダラで眠れⅡ
マグダラで眠れⅡ (支倉凍砂・著)を読みました!
このシリーズの主人公クースラの仕事は錬金術師。
しかし、ファンタジーに出てくる魔法使いっぽい能力を持っている人ではなくて、実際の歴史にも出てくるようなリアルな錬金術師。後の化学につながるお仕事です。
昔の錬金術師は別の物質から金を作ろうとして、水銀を加熱して中毒になって変死したりしてるから、怪しげな仕事と思われたんですよね。
そんなことになっても真実を求めた錬金術師の探究心、好奇心が描かれているので、科学好きの僕としては好感度大なのです。
ということで、以下感想。
まずはあらすじ。
グルベッティの工房で、錬金術師として働くクースラとウェランド。異教徒最大の鉱山町カザンに、近々入植があると知る。それはここが最前線の町ではなくなることを意味していた。
最前線であればこそ、経費は使い放題、研究はやりたい放題だったのだ。本来ならば自分達のような若造では得ることのできない幸運。それを手放さないためには、カザンの一次入植団に参加するしかない。そのためにはそれなりの実績をあげなければいけないのだが……。
主人公クースラとヒロインのフェネシスの関係が、狼と香辛料のロレンスとホロの時とは逆になっています。ロレンスはホロに尻にしかれ、クースラはフェネシスを手玉に取る。
僕の好みとしては、ロレンスの方が好感度高いのだけど、クースラには一点とても共感できるところがあります。前述の通り、彼は錬金術師。実験に生きる科学者なのです。
作中では、錬金術師それぞれが持つ夢を「マグダラ」と称していますが、何もかも捨てても、そのマグダラを求めたい。判断基準がそこ。
己の寄る辺となる目標を持てとフェネシスに諭すクースラ。「飢えて死にそうならば、腐ったパンでも食べるだろうが、本当に食べたいのは焼きたての小麦パンかもしれない。だとしたら、腐ったパンを食べて食あたりで死ぬよりも、小麦パンを求めて這いずり回って死ぬほうが意義深いということもあるだろう」
極端な話なんだけど、妙に納得。
というか、自分がそういう生き方になっちゃってるんだよな。
フェネシスは自分のマグダラを見つけられるのでしょうか。その萌芽は見えています。どう育つのか注目。
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