ねらわれた学園
ねらわれた学園(眉村卓・著)を読みました!
今の子供たちがSFに触れるとしたらどこからだろうと、本屋とか図書館の棚を眺めると、昔のSFが小学生向けの本として並んでいたりします。
青い鳥文庫にもfシリーズとして、SFが収録されています。大御所の先生の名前がずらり。
普通に書いたつもりのハッチーが少し幼いという評だったので、どれぐらいの感じが小学生向けとして売られてるのかなと読んでみました。
ということで、以下あらすじと感想。
関耕児が通う阿部野第六中学校。進学校で、勉強一本やりのストレスからか、最近おかしないたずらが流行っている。この日も黒板にいたずら書きがされていて、一騒ぎがあった。
そんな中、新たな生徒会長に当選した高見沢みちるは、学校に秩序を取り戻すとパトロール隊を結成、取締りを始める。しかしそれはあっという間にエスカレートし、超法規的組織となっていく。抗議する耕児たちだったが、みちるは不思議な超能力を持っていて……。
権力が暴走し民衆を締め付ける、全体主義、健全主義の危うさがテーマなのですが。
この作品は1973年に発表されたもの。なので、パトロール隊がみんなを抑圧し、それにみんなで立ち向かっていく構図に、学生運動のような反権力の雰囲気があります。
ところが40年後の2013年。それはお上から押し付けられるものではなく、むしろ下から湧いてくるものとなりました。最近そういうところがあって、窮屈だよね日本。
なので暴走していく様がリアルに感じられてちょっと怖いです。
これが小学生高学年からとして売られてるなら、確かに僕のは幼いな。
この物語は、日常の中の非日常形式。普通の学校生活が何か少しおかしくなってきて、超能力とかのSF的非日常がどんと出てきます。
導入が身近なので、多くの人が入りやすい形式です。そういえば最近あまり見かけない? もうちょっと捻ったところから始まっているような。
読者が読み慣れてくるともっと刺激の強い物を求めるようになるので、だんだんと捻ったところからスタートするようになるのは、どのジャンルでも起きること。ただそうすると読者層が慣れた人中心になっていく。
「ねらわれた学園」はこの冬アニメ映画が公開されています。「時をかける少女」(1967年発表、アニメは2006年)もありましたが、40年前のものが原作として使われるのには、そういう入りやすさが一つ理由なのかなと思います。
入り口は入りやすく、後半は事態がこじれてどんどん盛り上がり、面白かったです。
いろいろ発見があるので、この辺りをもう少し読んでいこうかな。
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