なぞの転校生
なぞの転校生 (眉村卓・著)を読みました!
転校生の謎は早めに解けて、終盤はそこから事態が急転していきます。どう決着つくのだろうと、どきどきしながら追いました。
というわけで、以下感想。
まずはあらすじ。
団地住まいの広一は、空き部屋だった隣の640号室に引っ越しがあったことを知る。そんな気配はなかったのに不思議だなと思っていると、そこから同じ歳ぐらいの少年が出てきた。
エレベーターで一緒になった時、停電が起きる。すると少年は、いきなりレーザーで扉を焼き切ろう試みる。人が変わったような必死の形相、見たこともない装置。何者だろうと不思議に思っていると、その少年、山沢典夫は広一のクラスに転入してきて……。
この前読んだ「ねらわれた学園」に続き、青い鳥文庫版で読みました。ジュブナイル小説と呼ばれるジャンルで、もともとの対象は小学生ではなく、中高生です。
中高生向けのエンターテインメント小説としては現在ライトノベルがあって、ジュブナイルはライトノベルに置き換わったという説も見かけましたが。
最近のライトノベルはオタク向けの色合いを強く出してきているので、一般向けの物はヤングアダルトと呼んで、レーベルも変えているみたい。
さらにヤングアダルト文学のうちSF、ミステリーなどがジュブナイルという説明も見かけて、どっちがどっちなのか、この辺ややこしい(^^;;)
ヤングアダルトは書かないんですか? と振られたので、ちょっと研究中なのです。僕のイメージは、要するにその年頃の主人公で書けば自然とそうなるのでは? ぐらいなんですけど。
例えばこのライトノベルとヤングアダルトは違うみたいな空気感をつかまないと、ここからここまでという範囲を読み違えて、その方向じゃないと延々と直しが出るというのは漫画で体験済み。難しいんですよねー。
物語は、前述の通り、特に終盤の急展開のところが面白く、寝る時間だけどもう最後まで読んじゃえ、となりました。
冒頭の前書きで眉村先生が読者にメッセージを書いています。それは物語のテーマに関わることで、最後に典夫が、未来に立ち向かう意志、自ら変わろうという姿勢を見せて、さわやかに終わるところに表れているのですが。
こういう部分が、児童書、ジュブナイルと、ライトノベルの違いかもしれないと思いました。子供の読む本にはメッセージがないと、という気持ちが作り手にあるかないか。担当さんと話してても、そういうものを感じたので。
成長の文学ということでしょうか。もうちょっと探ってみようと思います。
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