マグダラで眠れ
さて、「狼と香辛料」を読み終わったので、支倉先生の次のシリーズに着手。
マグダラで眠れ (支倉等砂・著)を読みました!
一つ成功した作品を生み出した後、次回作をどうするかというのは難しく。
最初の一本はとにかく何でもいいから面白いければいいのですが、次は、読者の期待値が上がっていてそれに応えるだけでも大変なのに、なおかつ期待される作風に沿いつつマンネリにならないように新味も出すという、かなり難易度の高い作業になるのです。
というわけで、その辺どう考えてきたのだろうという部分を注目しながら、以下感想。
まずはあらすじ。
眠らない錬金術師クースラは、聖人の骨を焼き冶金に使おうとした罪で投獄されていた。そこから救い出した騎士団から、昔馴染みの錬金術師ウェランドともに、戦争の最前線に位置する町グルベッティの工房へ向かうよう命ぜられる。
そこで待ち受けていたのは白い修道女フェネシス。前任の錬金術師は謎の死を遂げており、どうやら騎士団の中での勢力争いが関係しているようなのだが……。
前作と主人公とヒロインの構図が逆でした。
「狼と香辛料」では、主人公のロレンスをヒロインのホロが手玉に取っていたのですが、今回は主人公のクースラが、ヒロインのフェネシスを手玉に取る形です。
ただ、前作はすぱっと一気にキャラクターの関係が出来上がったけれど、今回はそういう感じではなく。
まあ、人恋しくて馬が話したらいいのにとさえ思ってる行商人のところに裸の美少女が! という出だし、しかもあれだけはっきりしたホロのキャラクターというのは、なかなか作れないレベルです。
今回はだんだん素性が分かって、近づいていくパターン。じっくり関係を育てていくとしたら、これからどうなるのか。注目です。
そしてごく個人的な視点では。
今回は手玉に取る側ということでちょっと主人公がひねくれ風味なのですが、僕にはすごく共感できるポイントがありました。
主人公クースラは錬金術師。それも、ファンタジーによくある魔法のような錬金術じゃなくて、化学の礎としての錬金術です。前回は経済学だったけど、今回は科学だ!
錬金術は化学の発展にとても大きく寄与したのです。いろんな物から金を作ろうとしたからね。その辺がしっかり書かれてて、好感度大。
錬金術を追求する姿勢も、ただひたすら好奇心に導かれてと、正しい科学者の姿。
お金の話より科学の話の方が燃えますよ! 次も楽しみ(^^)/
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