ミニスカ宇宙海賊 3 コスプレ見習海賊
ミニスカ宇宙海賊 3 コスプレ見習海賊(笹本祐一・著)を読みました!
前巻に続き、こちらもアニメで見たお話。読むと映像が浮かんできます。
僕も児童向けだけどSF小説を出す身なので、科学設定の取り扱いについてちょっと考えました。
というわけで以下感想。
まずあらすじ。
病院船に運ぶコンテナから、病原菌を持った猫猿が逃げだしてしまい、弁天丸乗組員に感染。そのまま病院船に隔離された。茉莉香はちょうど船を離れていて無事、クルーも症状は軽く大事には至らなかったのだが、弁天丸が動かせないと、私掠船免状が停止になってしまう。
何とか臨時の乗組員を雇って営業を続けようとする茉莉香だが、なかなか見つからない。最後の手段で、白鳳女学院ヨット部の部員を弁天丸に乗り込ませることになり……。
お話は一度アニメで見ているので、そうそう、そうだったという感じで脳内再生して楽しみました。
さて、アニメでは省略されていたのが理屈のところです。
あとがきにこんな一節が。
今回も、超光速に人工重力とお約束の超技術使いまくりなスペースオペラですが、実際のところ人工重力ってのはどうなんでしょうねえ。
作中で茉莉香が弁天丸の特定の部屋の人工重力を点けたり切ったりしていますが、原理はともかく、あれって実際にやるとこちらは人工重力が効いているのに、あっちの部屋は無重量、みたいな不思議な状態になります。
しかしながら、物理法則上は重力ってのは光速でどこまでも伝わるものです。こちらの部屋を無重力状態にしても、壁ひとつ隔てた隣の部屋の人工重力が効いてるなら、今度はそっちに引っ張られるんじゃないかしら。
格納庫に機体を収納するシーンで、慣性の法則についてはしっかり描写してあるのです。で、入ったところで、人工重力を点ける。
たぶん超光速を実現するには空間をゆがませないといけないだろうから、そうすると重力ぐらいいじくれるようになってるはず。
でも、人工重力を使う作家側の理由は「その方が普段見慣れてて、描写がしっくり来るから」です。だって、本来だったらエネルギーの無駄だもの。できたとしても節電で使わないんじゃないか。
どこを嘘に、どこをほんとにするのか。
スペースオペラという言葉はホースオペラ=西部劇のもじりです。ですが西部劇と違い、舞台が科学の進歩によってどんどんアップデートされていきます。しかも、SFの中では理屈よりも活劇重視のジャンルなので、作者の裁量権が大きい。そこに面白さがあると同時に、難しさがあります。
あのシーンはそういうウソとホントがつなぎ目なく上手くつながってて、わくわくしました。腕の見せ所ですよねえ。
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