あしたのジョー その9
あしたのジョー第52話。力石の葬式にジョーは出席せず。ダメージで休養中と聞いた記者が様子を見に行くと、子供たちと相撲を取っているジョー。一見気にしていないのかと見せて、でも実はふとしたはずみに心ここにあらずに。
取り憑かれたように素手でサンドバッグを叩く。散歩と言って夜の公園で一人嗚咽を漏らす。楽しいシーンが先にあるだけに、ジョーの深い哀しみが浮き彫りになる。
お話で食べたいなら、こういう事をするように心がけないと。逆に振る事。とことん掘る事。それなりで止めたらだめだ。
掘り方は考えないと、個性が出ないけど。
あしたのジョー第53話。哀しみにくれ、街を徘徊するジョー。店頭で力石の死に顔がフラッシュバックしたり、いないはずの力石が見えたり。そして自分にとっての力石がかけがえない相手だったことを自覚する。
そんな相手を殺した自分が、リングの上の事だから無罪だなんて我慢できないと、ちょうど居合わせたぼったくりを殴り殺して刑務所に行こうと決意。どこまで落ちていくんだろう。すごい追い込み方。
あしたのジョー第54話。すっかり落ちぶれたジョー。記者に連れられて行った盛り場で、やはり苦しみから目をそむけて踊りあかす葉子に出会う。葉子はそこでジョーを焚きつけるんだけど、自分の事はすっかり棚に上げてるタイミング。一見八つ当たりにも見える。
でも、ジョーの事をリングで死ぬべき人間と言い切った葉子は、例えそれが口喧嘩の弾みであっても、自分の事としても捕らえた。運命の分岐点。
あしたのジョー第55話。いまだ吹っ切れず街をうろつくジョー。ヤクザの喧嘩に出会うと、そこに用心棒としてやってきたのはジョーにあごを割られて引退し たウルフ金串。未練がましく落ちぶれきったその姿。友人が絶賛していたのを思い出した、ある意味名シーン。ああはなれないと立ち上がるジョー。
あしたのジョー第56話。そして泪橋に帰ってきたジョー。再起を誓うパンチがサンドバッグに突き刺さる。12/9/17
力石の死の影響を何話もかけてたっぷりと描いています。
先行きどこに行くのか分からない展開というのは、面白さの重大な要素です。予想を裏切ることが大切です。でもそれには二通りの方法があって。
一つは違う展開、違う展開へと持ち込む方法。次から次へと突発的な事件が起きて、ストーリーの外側から新しい要素がどんどん投入される。
もう一つは、どんどん深掘りしていく方法。この展開はこちら。
ジョーにとっての力石は、ものすごい大きな存在だった。それはしっかり見てる人に伝わっている。何しろプロのリングで対決するのに、放送は一年近くかかってるわけです。
だからその死もものすごく大きい。当然ジョーの落ち込み方も大きい。そこの部分がとても自然なので、逆にストーリーの都合では吹っ切ることができないのではないか、という緊迫感があります。このままだめになってしまっても仕方ないのではないか。
そうなると、もう目が離せません。人気を考えたらそんなことするはずないと思っていても、こんなに本気のストーリーならあるかも、とひやひや。
そして僕は、そういうお話が大好きなのです(^^)/ やっぱりすごいなあ、あしたのジョー。
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