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2012/09/11

輪環の魔導師10 輪る神々の物語

輪環の魔導師10 輪る神々の物語 (渡瀬草一郎・著)を読みました!

シリーズ最終巻です。

僕はじっくり書かれたスケールの大きなお話が大好きなのですが。

なかなか出会うのは難しいのです。

漫画だと出だしのアンケート結果次第で打ち切られちゃうから、じっくり描いてる場合じゃないとなりがちだし、小説は一冊書下ろしだから漫画よりは余裕があるけど、でも売り上げ次第で続巻が出ないということはあるし。

実際、それよりも刺激を求めるお客さんも大勢いるわけで。そこで上手くバランスとって書き切るのは至難の業。

渡瀬先生は「空ノ鐘の響く惑星で」も12巻にわたる長いお話を書き切りました。そして今回もがっちり10巻書いて完結。

面白かったです(^^)/

ということで以下詳細な感想。

いろんな伏線がクライマックスで一つになって、それが解決してラストに流れていく。大きなお話はそれが楽しいのです。

セロの両親は、何でこんな物騒な物をセロに埋め込んだんだろう。ほんとに実験に取りつかれた人達だったのか。

北天将ルーファスは、セロのお父さんだけど、何で魔族になんかなってるんだろう。

フィノはどうも子供の頃にトラウマがあるみたいだけど、何があったんだろう。

そういう疑問がじっくりと育てられてきました。その答が明らかにされ、それが絡み合ってクライマックスに。

特にセロが実験台にされた理由には、なるほどそういうことかと思いました。

じっくり書かれた話が好きなのは、ただ伏線が張れるからというだけではなくて、その間にキャラクターもたっぷりと書かれるからです。大きな話は好きだけど、架空の舞台のお話は、当然現実感はありません。キャラクターがたっぷり書かれてると、そんなフィクションにもしっかりした手触りが出てきます。

特に渡瀬先生の作品は、そうしてキャラクターを描写する時の、視点が好み。ハッピーエンドにつながる優しい視点なのです。

ですが、実の子供を実験台にしてしまうマッドサイエンティストっぽい両親は、そのイメージとは違います。セロは悲しい出生を背負って生きていくのかなと思っていたら。

そこにどんでん返し。実験台にした理由は子供への愛ゆえだった。

理由がストンと腑に落ちて納得。

そして父はやはり息子を大切に思っていて、それがクライマックスにつながっていました。悲しいけれどもやはり優しい視点。

さらに舞台設定で出てくる異界の神々が、このお話だけじゃなくて、以前に書かれた作品パラサイトムーンと共通で。他の作品にもはみ出しているほどの大きさだったのですが。

最後の最後にそれもリンクさせてあって、しかもそこも優しい視点で書かれていたのです。

最後の一口まで堪能しました。大満足のお話でした(^^)/

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