No.6 #9
No.6 #9(あさのあつこ・著)を読みました!
この巻が最終巻。きちんと決着がつきました!
面白かったです(^^)/
さて、今回からちょっと、書き方変えてみようと思っているのです。
自分の目指すところを考えると、もっと突っ込んで行った方がいいんじゃないかと思って。
ということで、画像をはさんで以下感想。
全巻読み終わったので、シリーズの感想。
管理社会であるNo.6とその外に広がる貧民街。その建前と真実。人が人を評価し振り分けていくことの危うさ。理想が個の欲望によりゆがんでいくこと。
最初は理想があったはずなのに、自身とそれを同一視して、結局おかしなことになっていく。異論を自分への攻撃とみなし、反対する者を力で押さえ込む。目的が正しければ手段は正当化されると勘違い。
そんな中でも自分の意志を持つこと。自分で未来をつかんでいくこと。
そんなことを書いたディストピアSFでした。
正直、あさの先生は普段からSFを書いている人ではないので、SF的な部分ではどうかなと感じたりもしたのです。特に最大の謎エリウリアスが、神話っぽいファンタジーな存在で終わっているところとか。
多少なりとも理屈付けしてあるとSFになるという、微妙なところなのですが。
ただ、作り手としては、物語は人に伝えて完結だと思うので。
そこよりも、伝えたいことがきちんと書いてあることの方が大切。
特にレーベル的にはSFレーベルというわけではないので、ならば、設定よりも心に響くテーマと魅力的なキャラクターが重要です。
さてそのキャラクター、主人公の紫苑とネズミは、一巻を読んだ時から、懐かしの少女漫画の香りがする、と思ってました。
萩尾望都先生とか、竹宮惠子先生の漫画。
少年が繊細で儚げで美しいものとして書かれている。
そして友情と愛情が渾然とした、二人の世界ができています。
特にアクションSFだったので、僕の頭の中では竹宮先生の絵で動いてましたよ。
そういう少年愛が描かれた物は、同性からするとちょっと入りづらかったりするのですが。
とにかく物語が、はらはらし通しな展開だったので。そっちでぐいぐい引っ張られ。
中でも沙布が捕まって、脳を取り出され、コンピューターに組み込まれてしまうくだりは、伏線からそうなるんじゃないかと思ったけれどもなってほしくないという、作者の手のひらの上で転がされている状態でした。
息もつかせぬ、とても面白い作品でした。
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