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2012/02/18

続ハーメルンのバイオリン弾き

ナベ先生が進めていた企画が姿を現しました。

これのために連日電話相談だったのです。結局自分が試したところしか操作方法をアドバイスできないので、僕と同じでパブーにアップ。一話目無料だそうですよ。

何に驚いたかって言ったら、できた漫画がすごい本格的だったことですよ。

僕や梅木君という自分の弟子たちが同人誌を描いているのを見ていて、ナベ先生が「楽しそうだなあ」とつぶやいていたのは、自分の思う面白さを追求できない辛さの裏返しで。

打ち切りが決まった頃、「電子書籍を作ってみるよ」と言っていた時に僕に話していた描きたい漫画の内容は、「描けなかった学園物を別キャラで描く」とか、「別の国のエピソードを描く」とかいうようなものでした。

それを聞いてた僕の脳裏に浮かんでいたのは「心のリハビリ」という単語で。

そういうのを描いて、また「漫画楽しいなあ」という気持ちを取り戻さないと、ナベ先生は器用にそつなくこなす仕事人タイプの作家じゃないので。

熱を失ったら、熱血の人じゃなくてただ荒っぽい人になっちゃう。なので、リハビリはいいんじゃないかと。

そういう気持ちで話を聞いていたのです。

僕はよくここで「電子書籍がー」と騒いでますけど、あれはSF者の習慣で、タイムスパンが長いんですよ。未来の夢を語ってて、今の話じゃない。じゃなきゃ自分が持ち込んだり投稿したりしないし。ナベ先生にも、普通に次も商業誌を薦めてた。

だからずっと、そういう心のリハビリの漫画を描いてるんだと思ってました。外伝的な楽しい漫画。そろそろ出来上がるから、電子書籍にするやり方を教えてくれという話になった時、初めてあらすじ聞いてほんとにびっくり。

出来上がったからチェックしてくれと送られてきたデータを、ちょうど遊びに来ていた梅木君と一緒に見て、想像以上の本格さに、二人でさらにびっくりですよ。

のびのび描いてて、ナベ先生のらしさ全開。

しかもすごい伏線張ってて、本格的に大河ドラマ連載の構えです。

今業界的には、「ばんばん事件が起きて場面が変わり、目を飽きさせない面白さ」の物が優勢なのかなあと思うけど。

僕もそういうところで仕事取ろうとしているから、その経験から、もっとテンポよくつめられるとか、これは前に一度見たからはしょっていいとか、そういう意見もあるかもなあとも思うけど。

ナベ先生は絶対、じっくりじっくり溜めて高めていって、どーんと感動させる面白さの方が得意です。

そういう求められるスタイルと追求したいスタイルの狭間で苦しんでたわけで、それがなくなって、ほんとにのびのび描いている様子が伝わってきます。

こんなにじっくり描いてある一話目って久々に見たねえと、梅木君と話しておりました。

というより、ナベ先生は僕らみたいに同人誌を描いていなかったので。

仕事としての要求がなく内から湧き出たものだけで作られた100%ピュアな渡辺道明を、20年付き合ってて初めて目にしたような気がしました。

師匠の劇的な復活が、とてもうれしいです。

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漫画」カテゴリの記事

コメント

先生、こんばんは。
電子書籍とは…本当に驚きました。
てっきり商業誌と思ってしまっていて…

コミックス…は、当然出ません…ね…

でも、どんな形であれ、先生の復活で、
心が一気に活性化しました。
なんだか、ゼノサーガのエピソードⅡとエピソードⅢの
間の、空白の物語を描いたミッシングイヤーを
思わず彷彿してしまいましたが…

嬉しくて、嬉しくて…生きていく理由が
見つかりました。

投稿: あかさたな午後のロードショー | 2012/02/18 00:35

書籍版も出せたらいいですねえ。
ナベ先生はもう次にとりかかっているそうです。

投稿: かわせ | 2012/02/19 23:42

ナベ先生が、ご自分で写植をする勉強をされていると読んだ時は、
前作シェルクンチクの時に、
教頭の名前が略された事などがあったからかな?
と、おもってました。
 こんなすごいの読めるとは思いませんでした。
驚きです!
 

投稿: サツキ | 2012/02/21 10:07

本格的だったことには、ほんとにびっくりしましたよ。
この調子で続けられたら、すごいことだなと思います。続くといいですねー。

投稿: かわせ | 2012/02/22 01:02

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