崖の上のポニョと天空の城ラピュタ
「バルス!」によってサーバーが落ちたりしていた日。
僕はその深夜に、ようやく「崖の上のポニョ」を見ました。
見たいなーと思いつつ、なるべく混んでない最後の方がいいなとしりごんでいたら、近所での上映終わっていたという。よくやるんですよね。
なんとなくそのまま見てなかったんですが、DVDを借りて観賞。
なにか変な居心地の映画だなあという感想でした。
どこに軸足を置いて見たらいいのか分からずに、何かふわふわした感じ。
最初は、海の描写でやたらごみが強調されてたり、「人間が海を汚した」みたいなセリフがあったりしたから、ナウシカのように「あらぶる自然と人間」というようなテーマなのかなと思ってたんですが。
途中から人魚姫の話になり。
自然をありのまま愛せよというメッセージと考えられなくもないけれど、それを示唆するシーンがあったかなと首を捻ったり。
あと、宗介は子供だから事態を丸々飲み込んでてもいいんだけど、周りの大人のリアクションが何かこうストンとひとところに落ち着かないので、それもふわふわ感の原因の一つ。
これはおとぎ話なんだから変な事が起きててもみんな気にしないんだよというスタンスなら、見てる方もそういうもんかと気にならないんですが。
気にしてないのかと思ったお母さんが「変な事が起きているけど」と言ってたり、トキばあさんが「人面魚じゃないか!」とホントのこと言ってたり。
街が山のてっぺんだけ残して水没するという異常事態に、みんなけっこうのんきだけど、序盤はジブリらしくリアルな雰囲気だったんだよなーとか。
見ていてなんかもじもじと落ち着かなかったです。オチもばさっと切れてるし、見る人にカタルシスが用意されてなくて、宮崎監督の頭の中をそのまま覗いているような気がしました。私的な映画なのかな。
そういう点でラピュタは、「こういうふうに見ろ!」というメッセージがすごくはっきりしていて、それがあの「バルス!」に向かって一点に収束していきます。
もう全部身をゆだねちゃって見てていいんだーという、すごい安心感があって、だからみんな大喜びでバルス祭りになるんじゃないかなと思います。
ただ、頭の中をそのまま覗いていると言う話で言うと、カーアクションとか、海の大迫力とか、ポニョの疾走感とか、水没しちゃった世界の美しさとか、さすが宮崎監督という見所はたくさんありました。
海原を漂う小船と島とか、木漏れ日のさす緑のトンネルとか、それをぼんやり見ているだけでうっとりというのはすごいです。
でもそこはウチの古くてちっちゃなテレビでは魅力減(^^;;) しまった、やっぱり見るなら映画館、せめて誰かの家のでかいテレビで見るべきだったと後悔しました。
あと特に言っとくと、ポニョがうつらうつらとしているところが良かったです。
とても可愛い。子供が可愛いお話は見てて幸せ。
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コメント
かわせひろし先生…はじめまして。
コミティアには今まで行けていませんが、先生のイラストとコラムはとても感慨深く
読ませていただいております。特に、SFなどの小説の感想などは、
自分もSF好みなので「こういう作品もあるんだ…」と、驚きもありました。
ですが自分は読む…というより映画で観る…ほうが多いです。
最近では、「セレニティー」とか「第9地区」とか。
他には現代戦争映画やポリスアクション映画等を
観るのが多くなってます…(絵と世界情勢の資料的な意味で)
読むといえば、「ソラリスの陽のもとに」、「砂漠の惑星」、「エデン」などの
スタニスワフ・レム氏の作品が主ですが…あと、アーサー・C・クラーク氏の
「2010年宇宙への旅」から、「3001年終局への旅」も読みます…
(「2001年宇宙への旅」は、未だ映画しか見ていません…)
それらに合わせて哲学本も少々…ニーチェやキルケゴール等…
ジブリ作品は、キャラクターよりも
背景(最早この言葉は該当しないと思います)の自然、都会、幻想風景などが主役と
言っても差し支えない作品だらけだと思います…「ポニョ」は、まるでゆったりとした港町の日常の延長線上の様な溶け込み方という意味で恐ろしい程、肩を抜いて観る事が
できました。おばあちゃん達の活発さ等も微笑ましくて、時折観る
15分連続ドラマを観る様な感覚もありました。
海のごみの描写などは、「千と千尋の神隠し」にも似たような描写が少しありましたし
「もののけ姫」は正にストレートに人と自然(それを守る神々)の文字通りの「争い」を
描いていましたし、原因も、例えるならカースト制度のような「神>武家(帝含む)>庶民」
という、現代の格差社会みたいな現状(のように見て取れました)を
打破しようとする人達の生々しい感情が根底にあった感じがありました。
単に「自然との共存を求めるテーマ」というだけでなく
「虐げられる状況から脱却する為に自然を利用する」人々の
立場も折り込まれていた、複雑な作品でした。
「天空の城ラピュタ」は…工場、飛行船の整備の様子や銃器、大砲の描写が良かったり(ムスカのリボルバーのリロードなんか特に)、各キャラクターの台詞回しが良かったり…パズーの大きく前向きな性格と相まって、
冒険モノの王道をわが道と言わんばかりの清々しい作品でした。
あと、これらの作品(以外も)にほぼ共通しているのが、
料理がどれもこれもとっっっても美味しそうに見えたり
子供もお年寄りも、凄く元気に活躍していたり…等でしょうか。
ちなみに、自分は「もののけ姫」が一番気に入ってます…
初めて、映画館(小さいけれども)で観た宮崎作品というのもありますが、
ハイスピードな戦闘シーンと昔の森と木々と草原に覆われた日本の情景と、
大河ドラマ的な音楽、演出が強く印象に残っているので…
ナウシカは、漫画版で続きと終り方などの違いがありますが
(大友克洋先生のAKIRAもそうでしたが)
終り方とテーマで万人受けするのは、やはり映画のほうなのかなとも
思えてしまったり…しました。
長文…しかも自分私見での感想などを書いてしまって、本当に
申し訳ありませんでした。
投稿: あかさたな午後のロードショー | 2011/12/13 20:30
僕は映画はつい身構えてしまって腰が重くなり、こういう仕事しているわりには見てない方だと思います。読む方が多いですね。
スタニスワフ・レムの「ソラリスの陽のもとに」は僕も読みました。映画より小説の方が好きです。
レムと聞いて、子供のころに楽しそうなタイトルに惹かれて「泰平ヨンの航星日記」を読んだのを思い出しましたが、今考えると、あの名前のだじゃれは原文だとどうなってるんでしょう(笑)。
投稿: かわせ | 2011/12/13 22:06