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2011/12/18

今週の雑感記 贅肉をそぎ落とす

レイソル祭りが続く今週です。

何かたった半月ですごいところまで来たなあという感じ。世界と戦ってるんだよ。

一昨年の今頃は、ああ落ちちゃった、さて来年みんなちゃんと残ってくれるかなとすっかりオフシーズンだったわけで。

それを考えると、人生不可能はないなと思います。

今日も勝ちたいですね!

さて、本日の雑感記のお題はこちら。

hon.jp DayWatch - 「電子書籍の作家には文字数は指定しないほうがよい」米Harvard大学のジャーナリズム研究誌 http://hon.jp/news/1.0/0/296…… こういうところも変わってくんだと思う。

ページに合わせるというのは職人的技能で、これができるようになると全体が見通せるようになる。俯瞰して全体の調節をしながら描けるようになるから。最初のうちは頭から描くのが精一杯で、前が膨らんで後ろが尻すぼみとか、バランスが悪くなることが多い。

また、無駄を省かなければ入らないので、部分部分の重要度を比較する習慣もつき、構成力は上がる。なのでページ内に収めるトレーニングをすることは悪いことではない。

ただ、面白さの追求につながるとは限らない。ホントはここは大きく取った方がいいんだけど、ページに入らないからほどほどの大きさでとか、ここ膨らましたいけどやめとこうとか、妥協が必要になるから。

ページ制限は紙面の都合とかスケジュールの都合とか、紙である制約から生まれているのだから、とっぱずせるならない方が面白くなると思う。要所をついたぎゅっと詰まった密度の高い面白さを保ちつつ、それでも最適なページを模索しながら描くのが一番。

描き始めの人にお勧めの練習は、12pぐらいでオリジナルの漫画を描くことです。スパッとキャラを立てなきゃいけないとか、説明は最小限とか、それでいて大きな見せ場を取るにはどうするとか、すごい頭使うから。11/12/15

プロの記者に比べて長くなりがちなブロガーの記事を、試しに電子書籍として売り出してみたところよく売れた。紙媒体時代には常識だった文字数の指定は、電子書籍時代になったらいらないんじゃないかという記事。

漫画の場合もそうなるんじゃないかな、その方が面白いから、と思うのですが。

ただ、ページ制限の中で描く苦労をするうちに、身につく構成力というものは確かにあって。

これができないと、ただ無意味にだらだらーっと長くなるだけで、面白くなんないんだよなとも思うわけです。

そんなことをツイッターでつぶやいてたら、高山瑞穂先生からリプライをいただきました。

高山先生はボンボンやガンダムエースでガンダムの漫画を描いてらした方です。

高山先生は、京都精華大で講師もなさっているそうで、許可いただいてやりとりをご紹介。やっぱり有効な練習法のようですよ。

(高山)@kawasehiroshi ですよね。ウチの大学でも通常課題として8ページや16ページの読短編み切りを描かせています。それでキャラや世界観や物語を描き切れるようになれば、長い作品になってもきっと大丈夫。

(かわせ)@mizpi 僕は昔ショートコミックの企画で、二十何本描いて採用は二本というとてもつらい打ち合わせをしましたがw、あれの前後ではっきり自覚できるほど構成力が上がりました。一エピソードに絞って大ゴマも可だと12pぐらいかな、という感覚です。長い話でもそれの繰り返しで作れますよね。

(高山)@kawasehiroshi 基本的な構成は長い連載作品でも短編でも同じですもんね。作品を面白くする方法の基本は「削ること」だと思っています。盛り込むことなら誰だってできるけど、削るのは本当に技術やセンスが必要になって来ると思うのです。

(かわせ)@mizpi 思いついたこと全部並べたらわけ分かんなくなりますもんね。ほんとに伝えたいこと見極めて、要素同士の関連性を考えて、贅肉そぎ落とす作業は必要ですよね。ただ「その余分なお肉がぷにぷにして触り心地がいいのに」ということもあるから、面白くするのって難しいですよねー。

削るのが大切というのはよく言われることです。僕がそれをお肉に例えたのは、高山先生の言うセンスを含めたかったから。

美しい身体と言ったとき、脂肪分ゼロがいいわけじゃないじゃないですか。ゼロだとむしろ気持ち悪い(^^;;)

言葉の意味にけっこう幅があって、体脂肪率一ケタ台のアスリートのようなシェイプされた身体を美しいと言う時もあるし、ぷにぷにした柔らかい曲線を美しいと言う時もあるわけで。それでどこを目指すかが個性。適切な所を削ってきれいな形に整えるのがセンス。

例えば、セリフもなるべく削った方がいいと言われるんですが、荒木飛呂彦先生は、削るどころか、一つのフキダシの中の言葉の量も多いし、フキダシもたくさんある。

でも、荒木先生にはきっと面白くするための取捨選択の基準があるんですよね。セリフめっちゃ多いんだけど、むしろそれが楽しい。

セリフの削り方一つにも、寡黙な漫画から饒舌な漫画まで幅があって、自分はここだ!という場所を見つけるのは、けっこう大変なのです。

そのためにも描いて練習だと思います。

ただ、最近は長い連続物の漫画が多く、コンパクトにまとめる時のお手本が、なかなかないかもしれません。

今僕のとなりの本棚にあるやつだと、そうですね。藤子・F先生がすごく上手いです。

子供向けのドラえもんだとそんなに感じないかもしれませんが、SF短編集とか、あとエスパー魔美は、難しいお題をコンパクトなサイズでバシッと描き切っていて、匠の技を感じます。

SF短編のミノタウロスの皿がすんごいインパクトなんだけど、ちょうど全集で出てた。未見の方はぜひどうぞ。

さて、最初のツイートと同じサイトで、こんな記事も見ました。

米Amazonの2011年の電子書籍販売ランキング、トップ10作品のうち3作品は実は個人作家

【編集部記事】米国の電子書籍ニュースブログ「eBook Friendly」によると、Amazon社(本社:米国ワシントン州)は現地時間の12月14日に公開した2011年度の書籍売上ランキング表で、Kindle部門トップ10のうち3作品は、出版社を介さない直接出版による作品であることが判明したとのこと。

紙書籍と人気評価を含めた総合ナンバー1はおおかたの予想どおり「Steve Jobs」(著:Walter Isaacson)。しかし、このランキングをKindle部門だけに絞ってみると、1位は個人作家Darcie Chan氏の「The Mill River Recluse」で、2位もやはり個人作家Chris Culver氏の「The Abbey」となっている。【hon.jp】

「まさにゴールドラッシュ状態」米USA Today紙、電子書籍市場を牽引する個人作家たちを取材

【編集部記事】米国の全国紙USA Todayが現地時間の12月14日、米国の電子書籍市場を席巻している個人作家たちの取材記事を掲載している。

米国では、2年前にAmazonがApple対抗策として個人作家向け電子書籍出版サービスの支払ロイヤリティ率を大幅引き上げした頃から、電子書籍の執筆に参入する個人作家が急増。すでに年収1億円以上の“ミリオンセラー個人作家”も数名登場しているが、今回USA Today紙が最初に取材したのはMichael Prescott氏というベテランの個人作家。そのPrescott氏は、最新作の原稿が出版社25社にボツ扱いされた後、もったいないのでそれを今年電子書籍で発売してみることを決断。結果、30万ドル(約2,100万円)の収入を獲得したとのこと。

記事中でPrescott氏は、「電子書籍を発売したときはどうせ数百ドルくらいの売上にしかならないだろうと思っていた」「まさにゴールドラッシュ状態」と現在の電子書籍市場を表現している。【hon.jp】

11/12/16

個人出版でも、出版社を通すのと同等のちゃんとしたビジネスにできる可能性があるのだ、というのは分かって。

最近気になっているのは、二つ目の記事なんですよね。プレスコットさんは25社ものボツを受けたそうですが、それが成功。

このパターンを何度か聞く。つまり今までの出版の常識の外に、重要なポイントがあるということですよね。

編集者がついてきちんとチェックして、クオリティとしては上と思われる作品に勝つのだから、すっごい重要なツボなはずですが、それはいったい何か。とても気になる。

でもなあ、英語で読んでも、あらすじ理解するのが精一杯なんだよなあ(^^;;)

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