先週の雑感記 アマゾンに激怒と未来の話
カットの仕事をしてました。チェック待ちでひと段落。
本日の話題は長いですよー。書くのに半日かかったもん(笑)。
まず、この記事が発端。
アマゾンに激怒。
「こんなの論外だ!」アマゾンの契約書に激怒する出版社員 国内130社に電子書籍化を迫る - BLOGOS編集部 - BLOGOS(ブロゴス) http://news.livedoor.com/article/detail… 著者→出版社→アマゾンのルートはないかもしれないね。
アマゾンも油断してるなーと思うのは、ネット上では企業の規模と影響力はそんなに関係ないという点。アマゾンのレコメンドはそんなに当てにはならないし、もし著者の営業努力で、自分のブログとかから読者を誘導しなきゃいけないなら、印税率の低いルートを通す必要性はない。
今はキンドルとかiBooksとか、専用装置と販売サイトが一つになった囲い込み戦略だけど、著者と読者のエンゲージという点では、そんなに有効ではないと思う。埋もれるし。販促に力を入れてくれるところがオープン戦略で逆転できる目は十分残っていると思う。
とにかく僕の興味は小さくても回るシステムなので。ぼったくりのプレーヤーはいらない。11/11/1
こんなことをつぶやいたら、ここで紹介した記事を読んだ友達から、アマゾンが55%、出版社が45%というのは、ここで怒ってるほどひどいことなのか、という質問がありました。
電子書籍に関して、日本の出版社はずっと腰が重かったので、また自分たちの都合で怒ってるのではと思ったようです。実は見出しを見たときの僕の感想もそうでした。
が。
読み終わったあと、僕が思ったのはこうです。
「ROSATはベソスの頭の上に落ちりゃよかったんだ」
解説。ROSATはこの間落下したドイツの人工衛星。ベンガル湾に落ちた模様。ベソスは、アマゾンの創始者で会長さん。
要するに大激怒。
なぜかと言いますと。
従来の出版で、取り次ぎ、書店など流通にかかるコストは30%ぐらいと言われています。なので、電子書籍個人出版が出来るようなサイトでは、手数料30%というところが多いようです。そのまんま持ってきたわけですね。
そして、部数で変わると思うんですが、印刷が20%ぐらいみたい。
アマゾンの55%というのは、これを根拠にしていると思われます。要するに出版社の取り分はだいたい同じにしてやるから、電子書籍になって浮く分は全部俺によこせと。
で、値段は下げろと来るから、取り分の割合は同じでもお金は減っちゃうわけですよ。
ただ、電子書籍だと返本がなくなって、廃棄分がなくなる。戻ってきた本のうち再出荷される物もあるだろうから、廃棄ロスがどれくらいなのか正確な数字は知らないんだけど、それによってはお得になるのかもしれない。
でも、従来の本も全部電子書籍にする場合。これはけっこう手間です。だいたい、既刊がそんなに売れるわけないから、ちょっと昔の本でデジタルデータがない場合、足が出ちゃうかも。
それに対してアマゾンは左うちわです。
そもそも、印刷、取り次ぎ、書店と本が流れる時には、そこでみんな働いているわけです。
印刷所では紙を仕入れてインクも買ってきて、機械に人が張り付いて、出来た本をあっちに持ってったりこっちに持ってったり。取次ぎも、トラックに燃料入れて、倉庫に持ってきたりそこから本屋に運んだり。本屋さんでは店員さんが、あっちの棚に並べ、こっちの棚に並べ。
それに比べてアマゾンは、サーバーちゃんと動いてるかなーと、見守ってるだけじゃないのか。
印刷分寄こせと言ってるけど、電子書籍の形にするのは自分じゃない。
熱心な書店員さんはポップを作ってくれたりするけど、アマゾンのレビューはお客が書き込んでるし、著者ページは著者が自分で書いてたりする。
だいたい流通30%だって、紙本のトラック動かして人手をかけてに比べたら、電子書籍はぼろい商売だなと思うのに、55%だなんて、絶対そんなに働くわけない。
そしてですよ。
出版社の取り分変わらなければ、著者印税も多分変わらないんですよ。電子書籍化のコスト減の恩恵受けるのは印刷流通の部分で、その手前は別に大して変わらないから。
印税10%のまま値段下がるから、著者は減益確定だぜ?
しかも、アマゾンって名前のついたサーバー見守る仕事の方が、まいんち朝まで机にかじりついて、肩痛い腰痛いのに耐えながら原稿描くのより、五倍の価値があるってのたまわったんだよ、あいつら。
おまえの書いた本の価値の半分は、アマゾンのサイトで売ってることだ、と言ったわけじゃろ?
9日ごろに地球に32万4600kmまで接近する小惑星は、ちょっと軌道を変えて、シアトルに落ちたらいいんだよ。(解説。アマゾンの本社がある)
とまあ、最後無茶なことを言い出すぐらい、そりゃもう猛烈に腹立ったわけですけど。
その後、これは交渉術なんだから、自分有利な条件を最初に突きつけるのはビジネスとして当然、日本の出版社もタフに交渉せよという意見も見て。まあそういうもんなのかなと思い。
嘆いてみせてるあの記事の出版社の人も、向こうがリークするならこっちもしちゃえという対抗戦術だったらいいなーと、思ったりもし。
火山大噴火マグマ大噴出的な怒りは収まったのですが。
でも、何か釈然としないものが残ったのです。
ということで、次の話題。
企業の未来。
釈然としないもやもやした感じを覚えてるとき、ふと閃いた。
これがウォール街占拠なのではと。
いきなり何言い出してるんだと思われそうなので、説明しますと。
あの、ウォール街で起き世界に広まったデモ活動。始まった当初、報道するメディアはとても困惑してたそうです。
「ウォール街を占拠せよ」という呼びかけに、人がどばーっと集まったのはいいけれど、インタビューしても要領を得ない。
普通のデモ、例えば反原発デモなら「原発を今すぐ止めろ」とか、明確な主張があるわけですが、それがない。
「ウォール街はけしからん」というところでは一致してるんだけど、他がばらばら。集まってから、スローガン決める話し合いしてたそうですからね。
で、見出しがないと記事書けないから、「反格差デモ」というところで落ち着いたみたいですが。
僕は本質はそこじゃないんじゃないかと思います。
「お前、もう、うざい」が正体では。
何かの行為に反対というより、その後ろ、「ビジネスなんだから」という考え方に、もううんざりという話なのではないでしょうか。
別に違法行為はしてないんですよ。ローン売りつけた代理人には詐欺まがいの人がいたみたいだけど、その後の金融危機は、何か犯罪をしたわけじゃない。金融商品に想定されていなかったリスクがあっただけ。
でも、人としてはどうなの? という部分。
違法じゃないけど、自分の失敗に巻き込まれて、家も仕事も失って公園で野宿みたいな人が大勢いる時に、巨額ボーナスもらって喜んでる奴って、人間としてどうなのと。
その前には、自分のさらなる金儲けのために小麦やトウモロコシを高騰させて、お母さんが子供に食べさせるパンも買えないと嘆いていたけど、それは人間としてどうなのと。
これ、隣にいる奴だったら、かなりやな奴ですよね。
「勝手に巻き込むなよ!」と文句も言いたくなりますよ。
で、ここからさらに話が膨らむんですが。
今、中東では反体制デモが起き、西側諸国で反格差デモが起きている。共通項は、ソーシャルメディアを通して活動が広がったこと。
今グローバル化で物と資本が国境を越えて動き、世界が狭くなっていますが。
ソーシャルメディアによって、人と人とが気持ちを共有しやすくなり、物理的距離が関係なくなっている。そういう意味でも世界は狭くなった。
そうなった時、「お前は良き隣人か」ということが、企業に問われてくるんじゃないでしょうか。
企業にも人格あると思うんですよ。企業体質ということなんだけど、特にソーシャルメディア上では、一人格に見えてくる。一アカウント、一人格。
そういう時、昔なら情報の流路が少ないから、マスメディアに広告どばーっと流していいイメージに塗りつぶすことができたけど、今は情報量が増えてるから、ぼろが出る。
逆にそんなマスメディアがなかったさらに昔、口コミだけが頼りだった昔に、条件としては近くなってくんじゃないか。昔の近江商人は、三方よしといって、「売り手よし、買い手よし、世間よし」ということを気にしたそうな。
「自分だけ儲けられればいい。騙して売ってもばれなきゃいい。世間様に迷惑かけてもいい」だと、評判悪くなって、結局、商いが続かなくなってしまうからです。
心理的な距離が近くなって、まるで一つの街のようになり、そういう世界になっていくような気がしてるのです。
産業革命もその影響で世の中の隅々まで変わるのに何十年かかかったから、多分、ここ何十年かかけて。
そういう文脈で、ウォール街占拠も起きているのでは。
と、ずいぶん話を膨らましましたが、その文脈で、話をアマゾンの突きつけた条件に戻すと。
まあ最終的にはいろいろな交渉によって、八方丸く収まるような条件で落ち着くのかもしれないけど。
相手が間抜けで気付かなかったり交渉で優位に立てたりすれば、相手が損して泣いても気にしないんだよね、と。
そういうのが自分の身近なところで起きて、巻き込まれそうになってることに、もやもや感があるのでした。
だいたいこれ、著者ほったらかしだもんね(^^;;)
というわけで著者にとっての電子書籍の未来についても考えます。
そう言えば、著作権も出版社が買い取れという一文がありましたが、あれどうなんだろうなー。
欧米ではそれが一般的で、日本は版権しか取ってないからプロモーションもきちっとやらない、という意見も見ましたが。でもそれで得するの、一部の売れっ子だけじゃないかな。まさに1%と99%な感じの。下っ端にはどうせ金かけないでしょ。
さらにスーパーマンみたいな例もあるしねえ。著作権取られて会社追いだされたから、大ヒットしても一文も入らずに、貧乏極めたそうだし。
思うにですね。
ソーシャルメディアが広まってくと、ほとんどの作家って、そこでの自分の営業努力で本売るようになってくんじゃないかと思うんですよね。自分のブログとか、ツイッターとか、フェイスブックとか。そういうとこから人に広まっていく。
リアル書店に比べて、ネット書店って一覧性が悪いし、本屋の平積みよりも押しが弱くなると思うんですよ。本と出会う力が弱い。だから売れてますって表示される一部の作品との差が開いて、ホントに売れっ子の1%とその他の99%になると思う。
でさらに言うと、IT企業って入れ替わり激しいじゃないですか。
参入障壁が低いからですよね。最初にあんまりお金がかからないから、フェイスブックのザッカーバーグ氏のように、アイディアとプログラミングの腕があれば、大学生でも立ち上げられる。
アマゾンに対抗して紙本の流通システムを作るには、まずお金がいるから大変だけど、アマゾンに対抗して電子書籍のシステムを作るのはそれに比べたらずっと簡単。アイディアと腕次第でもっといいサービスが出てくる可能性がある。ここはまだ終着点じゃない。
そう考えると著作権を出版社に渡しちゃうのはどうかな。
多分、アマゾンとかアップルとかが、電子書籍ですよ、未来が来ますよ、という感じでどーんと推し進めてくれないと普及しないと思うので、最初はそうだとして。
でもなんかの時のため、身軽に移れるようにしとくのは大切なような気がします。
パブーなんか、今登録されている本が1万8000ぐらいだけど、一桁増えて10万超えて、面白い本にどんどん出会えるようになったら、いい勝負になるかもしれない。ソーシャルグラフを作ろうとしてるし。
iPadもキンドルの新機種KindleFireもネットにつながるから、パブーもそこで手軽にすぐ読める。出版社ももう自前で何とかしないなら、こっちに出したらいいのに。
ということで、そろそろこの間の漫画をパブーにアップしようと思うのでした。身近なところに話を戻して、本日はこれでおしまい。
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