« TMvs奈良クラブ 心配してない | トップページ | 最終回進行中 »

2011/10/11

先週の雑感記 突っ込んだ話をしますよ

COMITIA98、10/30(日)11:00~16:00、有明・東京ビッグサイト西1・2ホール。「かってに応援団 L18a」で参加です。

仕事の中休みにペン入れしてましたが、割引率のいい締め切りに間に合わないかもしれない。モブが多すぎる。(+_+)

さて先週は、シェルクンチク次回最終回のお知らせが出ました。

そしてただいま、最終回作業中であります。

今日の記事はそれに絡めて。

突っ込んだ話をしますよ。

まずそのお知らせとは関係なく、こんなつぶやきをしてたのです。

出版状況クロニクル41(2011年9月1日~9月30日) - 出版・読書メモランダム http://d.hatena.ne.jp/OdaMitsuo/2011… こういうニュースをずっと追っているので、出版やばいなあと思うのです。

ただ、よく再販制が古い体質の象徴として槍玉に上がるんだけど、アメリカにはないのにどんどん進んでいることを考えれば、流通をどうするとかそういうレベルの話じゃないと思うのです。もっと大きな変化。

本について語る人は、やっぱり本が好きで、その形も含めて愛しちゃってるので、分かっていてもどこかそのままでいて欲しい気持ちがあるんだろうなあ。でもいろいろ捨てていかなきゃいけない局面に来ていると思う。その中で自分が最後まで守りたいものは何か。

僕にとってそれは、「自分ならではのお話を作ること」だったので、絵は人に任せてもいいやとか、漫画じゃなくてもいいやとか、いろいろ変えてるのです。逆に売れ線のネタを入れろと言われても、それを入れた結果自分じゃなくてもいい話になるなら、徹底抗戦。だから苦しい(^^;;)

なんとなくの予感としてスマホが全ての基盤になるのではと思っています。そしたらケータイコミックの形が主流になるかもしれない。もっと行っちゃうと漫画より文章の方が読みやすいということになるかもしれない。そうなっても自分は対応する。自分が書かなきゃこの世に生まれない話を作るのが最優先。

逆に紙本がダウンサイジングしていった結果、好きな人たちによってのみ支えられる、ばか売れはしないけどすごく居心地のいい、コレクターズアイテムとして成り立つ世界になるかもしれない。それもいいかな。11/10/1

こういうことをずーっと考えていて。

お知らせが出てから、こんなつぶやき。

ヤングガンガンコンビニで買ってきたから、もうつぶやいてもいいよね。シェルクンチクは次回最終回です。さっき最後の背景を描き終えました。今回は変則スケジュールで、明日中休み。

僕は初めてこの業界に来た時、先輩にいろんな編集部を回れと言われたので、週刊誌、月刊誌、いくつか行ってみた。その時ハーメルのページが増えて、間近で見ていて毎回長めのページで描くのは面白そうだと思ったので、月刊誌に狙いを絞った。ハーメルで進路が決まった。

そして最近、僕がやたら電子書籍がとか、持ってくなら合ってる所とか言ってるのは、ナベ先生の苦労を間近で見たからだ。雑誌側とのずれを、よくぞここまで持ちこたえたなというのが正直な感想。昔に比べて狙い所がシビアになってる。二兎は追えない。

最初からがちっと狙い所と合ってないと、作家の個性がとか、描きたい物がとか、奇麗事言ってる場合じゃなくなる。でも僕には描きたい物があるので、じゃあ別の何かを諦めないといけない。そういう点で、またハーメルが進路を変えた。11/10/7

公式発表がないと、なかなか言えなかったことがあって。

ここで電子書籍に期待する記事書きながら、何でそんなにその話ばっかしてるのか、読んでる人には分かんないよなーと気になってたのです。僕が逃避しているように見えそうだから。

でも、「ナベ先生の背中を見てたら思いを強くしました」なんて書けないでしょ。連載大丈夫かなとファンの人が心配するから。

残念ながら大丈夫じゃなかったわけですが、その結果そういう配慮はもうしなくていいので、その辺を含めて、すっぱりくっきりと考えてることをまとめて見たいと思います。

まず、僕がこの業界来て、もう20年経ってるわけですが、来たころがちょうど業界のピークなんですよね。入ってちょっと経った90年代の半ばから、売り上げ下がり始めるのです。

これは多分仕方なかった。ネットが普及していって、さらにケータイも普及し、時間潰しの需要が取られちゃった。

ドラゴンボール、スラムダンクと終わって、ジャンプの部数ががくんと落ちたとかあるけれど、そのお客さんをよそで拾えなかったわけで。

で、そうなると、読者が減るにしたがって、余裕がなくなってきます。

大雑把に例えば、売れ線のジャンルの十番目ぐらいまで採算取れるぐらいお客さんを集められてたとしたら、売り上げが三分の二まで減ってしまった現在では、七番から先は採算割れなわけです。

ここからは個人的体験なので、ウチは厳しかったよという人もいる思うのですが。

僕が持ち込み始めたころは、ガンガン編集部には余裕がありました。ちょっと変わったものでもまあまあ売れるかもしれないし、もしかしたら意外に大当たりするかもしれない。

実際あの当時、個性的な漫画ばっかりでしたもんね。

そういう雰囲気があったので、打ち合わせの時の編集さんの指摘も、「もうちょっとこの辺盛り上げて」ぐらいの大らかさで、細かいことは作家にお任せで化けたらいいねという感じでした。

ナベ先生なんか、ほとんど野放しでしたからね。じゃなきゃ通らないですよ、あんなにギャグとシリアスが極端なネーム。

ですが、はっきりと売り上げが下がってくるに従って、狙いがシビアになっていきます。売り上げ下がってる中でも売れてる物はあるわけで、それが正解だ、そうしなければという雰囲気が強くなっていく。

「もう待ってられないんですよ」と面と向かって言われたこともあったなー。

これは特にガンガンがというわけではなくて、よそへ行っても、他の人の打ち合わせの話を聞いてもそんな感じなので、全体的にそうなってると思います。

実感としては、六番目までどころか三番目ぐらいまでじゃないかなあ。売れ線でOKなスタイル。

そうなると、一、二、三番のタイプの人は、重宝されるしそのまま好きなように描いていいのですが。

そこから先のタイプの人は、「正解」を描かないといけません。( )の中に当てはまるものを書きなさい。

そのセリフいらない、そのコマいらない、その山場は面白くない、そんなの売れない、代わりにこのネタを入れろ、こういうシーンを描け……。ほんとに赤ペンで添削されるのです。そのコマで作った間がいい感じでお気に入りだったのに、と思ってもそれどころじゃない。

僕のネームは「そつなく隙なくついでに華もない」タイプなので、バッテンつけられるより、これを足せと言われる方ですが。でも雑誌ってページ制限あるから、やっぱり代わりにお気に入りの何かを削るはめになるんですよね。

ただ実際、こうなるのも仕方ないと思うのです。

電子書籍でいろいろ調べてて思ったんだけど、日本の漫画は採算性が悪い。

ニューススタンドなんかで売ってる、数十ページのぺらぺらのパンフレットみたいなアメコミと、その十数倍のページのある日本の週刊少年漫画誌が、同じぐらいの値段で売ってるんですよ。

キンドルが出た時に、アマゾンが電子書籍を9ドル99セントで売ったら、出版社がいつも20ドルぐらいで売ってるのに安売りしすぎだと怒ったんですよ。その時の為替レートは1ドル100円超えてた。1000円で安売りし過ぎって、少年漫画の単行本なんて400円ぐらいなのに。

これは値上げし損ねた結果なのです。ニューヨークより東京の方が物価高いのに、漫画の値段は僕の子供のころからの物価上昇率に追いついてない。

だから、売り上げが下がりだしちゃうと、あっという間に悪くなっちゃう。たくさん売れるのが前提だったから。

かといって、身に染み付いた相場観があるから、いきなり単行本2000円で売ってたら、ぎょっとするし。

なので一、二、三番、まだ売り上げ下げ止まってないから下手すると一、二番になっちゃうけど、それは受け入れるしかないなあと。

ちなみにこの採算性の問題はいろんなところにあるので、漫画業界批判してるわけでもないのです。

何でラノベで似たタイトルの似た話が増えるのか、何で家庭用ゲーム機で人気シリーズの続編ばっかり出るのか、何でなつかし漫画やアニメの実写映画ばっかり作るのか。どこにでもある、ビジネスの話なのです。

もうしょうがない。

でも、そういう問題があっても。

実際には僕はネームの力を信じていて、ジャンルの不利は腕次第でひっくり返せると考えてる。そういう風にして売れてる漫画もちゃんとあるし。

普段はこういうの読まないけど、これは面白いから読む、ということがあるわけですよ。

上手く全部がちっとはめられたら、僕だってひっくり返せるはずだ。

だから描くことは諦めない。

そう思ってはいるのですが。

なかなかそれは通らない。

まあ大した実績のない僕が理想を語っても説得力がないので、それは仕方ないかなーと思ってたのです。完成品を出すしかないなと。

しかしナベ先生の場合。

そのスタイルにお客さんがいることを一度証明し、しかもそのハーメルの続編です。いきなり打って変わって実験漫画を描こうとしたのではなく、むしろ以前のノリで、趣向を変えるのは今回は学園ものとしてスタートして……と、けっこう堅い計算だと思ってたのです。

ところが始まってみると、それでもだめだった。別の種類の注文がどんどん出て、自分らしい持ち味で攻めるどころではなかった。

野放しで、野性の漫画家だったナベ先生まで、首輪をつけ、柵の中に押し込められてしまうのか……。

実際雑誌を読んでると、確かに言われてる種類の漫画が載ってるなと思ったし。

こりゃもう、諦めるしかないと悟ったのですよ。

理想を語ってる場合じゃない。

さらに自分の打ち合わせ(別の雑誌)でも、けっこう手堅い要素入れたぜ、オレ、と思ったネタが、あらすじしゃべった時点で「あー……。そのジャンルは売れないからだめです」と言われちゃったりして。

その担当さんは出来る人だったし、いい人だったし、でもそれでも。

ネームの力を見せる以前の問題では、打ち合わせでは諦めて合わせるしかない。

担当さん、編集長と、僕の未知なる力に賭ける気になってくれる人がそろう幸運を期待するには、もう若くない。それは若者の特権です。おっさんはもちっと考えないと。

というわけで考えました。それがよくここに書いてるやつです。

まずネタを思いついても、合ってないなら無理して持ってかない。「最短距離で掲載」はなくなるけど、諦めてじっくり閃くまで待つ。

諦める別のパターンもあります。この一、二、三番の売れ筋は、少年漫画の一二三、少女漫画の一二三というように、場所によって違います。

僕がよく読むのは、少年漫画、SF、ラノベ、児童文学で、多分自分の描きたい物も、その範囲のどこかに入ってる。漫画であることを諦めたら、別の場所の一、二、三番に入れるかもしれない。

それはチャレンジの価値がある。ちょっと入れそうな気もしてる。後は腕前。

で、もう一つが電子書籍ですよ。

最近自分が何者なのかを深く考えていくにつれ、もしかして自分は下手すると十番目ぐらいの人なんじゃないだろうかと感じたりしてるのですが。

採算性の問題だったら、採算ラインが下がればいいんですよね。コストカットすればいいんですよ。

それの究極が、電子書籍個人出版なわけですよ。

十番目でもばか売れ諦めれば、生き延びられる場所があるんじゃないか。

しかし問題は、採算ラインが下がるのと一緒に、集客力も下がってしまうことです。そうするとなかなか良い出会いが起きない。十番目って言ってるぐらいだから、たくさん読んでもらったら、その中にぽつぽつと同じ趣味の人がいる感じなので。

なんか新しい仕組みが生まれないと。多分ソーシャルメディア的な。

それと、「ネットはただ」文化が勝ってしまった場合、広告モデルの方がさらに採算性悪いので、一、二、三番どころか、一番の売れ筋じゃないとだめになってしまう。

なのでぜひ、ネットでもお金出す習慣が根付いて欲しいです!

とまあ、こんな感じだったのです。全部書いてすっきりした(^^)/

ちなみにナベ先生は、最後は柵を蹴破って野に帰りました。

今はちょっと寂しそうですけど、また元気に野山を走り回って欲しいです。

|

« TMvs奈良クラブ 心配してない | トップページ | 最終回進行中 »

日記・つぶやき2011」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/46606/52883983

この記事へのトラックバック一覧です: 先週の雑感記 突っ込んだ話をしますよ:

« TMvs奈良クラブ 心配してない | トップページ | 最終回進行中 »