蒼路の旅人
蒼路の旅人 上橋菜穂子
帝である父と、そりの合わないチャグム。宮廷内でも帝派と皇太子派で派閥ができている。わずらわしく思いながらも、事を荒立てないよう、じっと我慢する日々。
しかし、罠の可能性の高いサンガル王国からの救援要請に、自分の後ろ盾であるトーサ大提督を送り、邪魔者を排除する姿勢を見せられては、我慢できなかった。トーサ大提督は自分の祖父であると同時に、帝にとっては妻の父なのだ。
妻の悲しみさえ考慮しない無情な父に、厳しく進言するチャグム。結果、帝の都合よく、自分もトーサ大提督の救援に送り出されてしまった。罠の張られた海域、チャグムを待ち受ける運命……。
チャグムが主人公として、そりゃもう立派に成長していて、素晴らしく燃える展開なのです。
まっすぐ純真な性格。理想を捨てない姿勢。応援したくなる主人公の大切な要素。
そこに数々の困難がやってきます。宮廷でのしがらみ、帝との軋轢。さらに、タルシュ帝国の北侵が本格化してきて、ピンチに次ぐピンチが。
そんなもうだめかという中から、一縷の希望を見出して、全てをそこに賭ける。
すごい面白かった。まさに手に汗握って読みました。
ここまでのお話はエピソードとして独立していて、そこに先々の伏線が織り交ぜられていたのですが、この巻からそれがどどーんと動き出しています。この巻ではエピソードが完結してなくて、チャグムどうなっちゃうの! というところで次巻へ続く。
キャラクターがこれだけしっかり育ってから大事件が起きたら、もう読むのを止められません。大急ぎで次巻へ。
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