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2011/09/15

神の守り人

神の守り人 来訪編・帰還編 上橋菜穂子

薬草を仕入れるタンダに付き合って、新ヨゴ皇国とロタ王国の国境沿いの町にやってきたバルサ。泊まった宿屋で、人身売買組織に売られようとしている幼い兄妹、チキサとアスラに出会った。その子たちの行く末が気になったバルサは、助け出そうと組織の者の後を追う。

しかしその男たちは、妹アスラの身体から湧き出た力にのどを切り裂かれ、絶命した。アスラはロタに伝わる恐ろしき神、タルハマヤをその身に宿す少女だったのだ……。

これまでよりも長い話で、前後編の二冊組。

その分、キャラクターたちの思惑や話の筋は絡み合い、どうなっちゃうのかなとはらはら。ぐいぐい引っ張られました。面白かったです。

話のパターンもちょっと趣を変えています。この前の三作は、すっきり解決して落ちたんですが、この話はすっきりとは終わりません。アスラかわいそう。

思えば、大きな力を秘めた幼い少女というのは、本来イメージのギャップを狙ったものなんですよね。物語がたくさん作られてきて、わりと普通のアイディアになってしまいましたが。

大人しくて、内気で、優しい少女。本来戦うタイプの人間じゃない。それなのにその身の内に人を無残に殺してしまう大きな力を持っている。それはアスラの意識を飲み込み、力を振るうので、アスラには惨事の記憶がない。それが分かってしまった時、アスラはどうするのか。

バルサは、復讐の怒りに任せてその道に入り込んでしまった自分を省みて、アスラにそうなってほしくないと願います。

途中立ち寄った衣装商家の女将は、「あなたが望むならここに帰ってきなさい。あなたには衣を見る目があるようだから、私が一流の衣装職人にしこんであげますよ」と、いかにもアスラに向いていそうな未来を示して、手を差し伸べます。

彼女には向いていないこと、他の道があることをていねいに書いてあって、さてどうなるのか。すっかり感情移入してたので、最後のシーンが切なくて……。

アスラはどうなっちゃうのかなあ。

前の巻、チャグムが主人公の「虚空の旅人」で出てきた南の大国タルシュ帝国が、この物語にも影を落としています。物語が広がっていく雰囲気がどんどんと出てきて、そちらも気になります。

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