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2011/09/19

先週の雑感記 電子書籍の現状考察

このコーナーのタイトルを雑感記に戻したのは、もっと日記風にしようと思ったけど原稿描いてるだけの変わりばえしない日々で、結局雑感ばっかりだと悟ったからです。

というわけで原稿描きですよ。下書きが進まなくて困ってた先週。

なんかどんどん遅くなってる気がする。下手を気にしてちまちま描くからだ。でもそれでもたいしたクオリティにはならず、さらに気にしてちまちま描く悪循環。ちょっと違う方向に踏み出した方がいいんだろうなーと思う今日この頃。

けれどそこでネガティブにならず、さくっと開き直るのが僕のいいところ。(←自分で言う)

攻めの姿勢。

昨晩友達と漫画話。その友達だけじゃなくて、いろんな人の打ち合わせの話聞いてて思うんだけど、「こうしないと載せない」みたいな守りの姿勢が、各所でますます顕著になってる印象。お金を出す側が欲しい物はこうですと注文するのは普通だと思うんだけど、その内容が、売れ線を模倣する保守的発想。

正直その路線に未来があるとは思えない。売り上げがずーっと下がってる中、少しでも食い止めるために手堅くという発想だけど、むしろ逆効果なんじゃないかと思ってる。

実際最近大当たりした漫画は、「進撃の巨人」だったり「聖☆おにいさん」だったり「ちはやふる」だったり、スタイルとか題材とか、他と違うものを強く打ち出しているわけで。攻めの姿勢が大切だと思う。攻めるぞー!11/9/12

ちなみに僕の打ち合わせもすぐそういう状態に陥るんですが、サッカー的に表現すると、片や攻め、片や守りの姿勢だと、中盤が間延びしてそのチームはがったがたになるので、よろしくない。でも、攻めの姿勢で行けるところを探すというのが、また難しい。

開き直った僕の攻めの姿勢とは。

今まで描く話に合わせて絵の技術を何とかしようという発想だったのを、小説書くようになってそっちにもアイディア振り分けられるんだから、向いてないのはそっちに振って。

絵柄に合ったものだけ漫画にして弱点が見えづらい形にする、いやむしろ、絵もどんどんそっちに伸ばしちゃえ、というものです。

それをやると明らかに売れ線と違っていっちゃうからためらいがあったんだけど、多分これから時代ごと変わるので、どんと行け精神で。

ということで、時代の流れの考察。↓

電子書籍の現状考察。

電子書籍その1。そんな話題で盛り上がったので、考えをまとめておきます。電子書籍は便利なのに出版社が全然熱心じゃないねという話。iPadが来た時に電子書籍元年と持ち上げたわりには、その後あまり普及が進んでいる感じではなく。でもそれについてちょっと考えなきゃいけない点があると思われ。

電子書籍その2。まずそもそも電子書籍はもう来てる。海の向こうで電子書籍がーと騒いでいる時、実は日本の方が売り上げが大きかった。ケータイコミックが。ただ変な話、漫画ってやっぱり今でも表舞台の話題にされない所があるので、スルー気味。しかもエッチな漫画が流行ってたから、さらにスルー。

電子書籍その3。しかも向こうは天下のアップルが出したかっこいい未来型ガジェットで、こっちはその時熱心にバッシングしていたガラパゴスケータイでの話だから。イメージ的な差がかなり大きく、話題が数字を反映してなかった。

電子書籍その4。無料のケータイ小説が流行ってた事も考えたら、電子書籍は日本の方が先行してたと思います。直近の数字は分からないけど。

電子書籍その5。あと、日本の出版社が熱心ではないとされる点。確かに熱心じゃないけど、実は向こうも熱心なわけじゃない。だって、電子書籍を仕掛けたのは、アマゾン、グーグル、アップルで、全部出版社じゃない。電子書籍で一番おいしい思いをするのはプラットフォーマーなので、それは当然。

電子書籍その6。で、日本でも、配信サイトはいくつもできた。でも向こうがITの巨人だったのに対してまったく無名なので、世間にその事実は広まってない。日本でもソフトバンクや楽天が率先して仕掛けたら話題になったかもしれません。

電子書籍その7。つまり向こうでは目立つ企業が表舞台でガンガン仕掛けてて周りを巻き込み未来のイメージを作り上げてて、日本では地下でこっそりひっそり進行中、どちらも出版社は受身の対応、市場規模にイメージほどの差はない、ということではないでしょうか。

電子書籍その8。日本の場合、電子書籍ガジェットを騒ぐようなアーリーアダプター層と、ケータイコミック、ケータイ小説を読む層が別世界に住んでるんですよね。社会の分断……。

電子書籍その9。でも、電子書籍は、読者にとっては絶対に便利。すぐ買える、場所をとらない。だいたい自炊が流行るぐらいなんだから。電子書籍で出版することは、作家にとって必須になると思うのです。

電子書籍その10。なので日本の場合、地下で静かに侵食してって、いきなりどどっと地上が崩壊して、取って代わる形になるんじゃないかなと。その時作家の側から見て必要なのは、流通ルート、お代の集金、で、もう一つ重要なのがプロモーション。

(今出版社は流通ルートの関所であることで、創作コンサルティングを抱き合わせ販売してる形だけど、米アマゾンで個人作家がどんどん出てきちゃってるのを見れば、それは必須じゃない。切磋琢磨する場はあった方がいいけど、それは別の話なのでまたいつか。)

電子書籍その11。雑誌連載とか店頭に並ぶとか、紙本にある人の目に触れる機能を、ネット上で別の形で提供してくれる所が、作家が集まっていい作品が並び、それがさらに人を呼ぶといういい循環になって、最後に勝つんじゃないかと思います。

電子書籍その12。今僕は @booklogjp さんのパブーを使っているけれど、場を盛り上げるためにいろいろ企画を仕掛けてるからその点で有望。ウェブベースだし、キンドルが日本に来る前に日本制覇できるかもしれない。日本産サービスとしてがんばってほしいです。11/9/13

こういうつぶやきをしたあと、読んだ記事がこちら。

提携関係ややこしすぎです>電子書籍の向かう先――主役不在で離陸せず、シャープは専用端末撤退…(1) | 産業・業界 | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンライン http://www.toyokeizai.net/business/indus…

出版印刷流通に、通信電機が絡んでみんなでおいしい思いをしようとしてるから、話が先に進まないんだと思われ。思い切った裏切り戦略が必要なんだろうけど、それができないのが日本人。音楽配信が同じ状態で下がってるとは思わなかった。重症?

全体で沈んでいくのなら、AtoC(著者→読者)の仕組みに、一足飛びに行くのかもしれない。というか特に漫画は、期待されているうちに端末で読む習慣を定着させないと、他のコンテンツに負けて淘汰されちゃうんじゃないか。そんな危機感。11/9/15

つまりですね。アメリカは、アマゾン(ネット書店)、グーグル(情報企業)、アップル(電子機器メーカー)が仕掛けて、それにバーンズ&ノーブル(リアル書店チェーン)が応戦した形。つまり印刷、流通、販売という部分が電子書籍では一本化できるので、そこを一人で総取りする作戦。

日本はいろいろ提携して、関係プレーヤーみんなでそっちに移ろう、電子機器メーカーさんも一緒にどうぞ、みんなで分け合おうよ、という状態。

いかにもアメリカ的でいかにも日本的。お国柄がよく出ているなと思うのですが。

読者的にはどう考えてもアメリカ型に軍配。

例えば、自炊代行業者に出版社と作家が抗議してたけど、先に電子書籍版を出しちゃえば、そもそも商売成り立たないと思うのですよ。わざわざ業者に持って行くより、手元でぽちっとなで買えた方が絶対楽だもんね。

だからとっとと全部電子書籍にして、話題の本も電子書籍でも買えます、という状態にすれば、自然消滅するんじゃないか。

でも日本型はそれができない。紙本電子書籍同時発売したら、紙本の売り上げが落ちちゃうかもしれない。書店さんを見捨てることになるし、流通業者もいい顔しない。出版社もトータルの売り上げが下がるかもしれないから、そこまで力を入れられない。

アマゾンがキンドル日本版を出してもどうかな……?

アメリカは実は日本より人口が多くて国も広いのに、ずっと本屋さんが少ないので、出版社よりも大手流通のアマゾンの方が力があって、かってに安売り! とか強引だけどビジネスの離陸に効果的な作戦が取れたんじゃないかと、ちょっと思ってるのです。

個人出版とか、出版社の領域までどんどん攻めてるもんね。出版社の顔色を伺わなくていい状態なのではないか。日本にキンドルがなかなか来ないのは、力関係がアメリカと違うからではないか、という推測。

これはほんとに推測なので、来てみないとよく分からないのですが。それよりも。

地下でじわじわ進行してどどんと崩れたとき入れ替わるというイメージは、作家の側から苦境を見ているからなのです。

出版不況でパイが縮んでるから、力のある作家さんでも仕事にあぶれちゃうわけですよ。

そういう人が例えば次の仕事が決まってないあいだに、何にもしてないのもなんだからと個人出版で発表するようになれば。

そういう中からぽこぽこっと質の高い面白い作品が出るようになったら、読者もそこを注目するようになる。

最初からケータイコミックで発表する作家さんも増えてますしね。そっちもある。

で、地上が崩れたとき。(出版社よりも本屋さんが限界で崩れるような気がする)

そういうところに受け皿ができてたらいいなと思うのです。

作家さんもどんどんチャレンジして欲しいですね! 攻めの姿勢で描いたものの方が絶対面白いから。

ということで、そういうところで書いてる自分の作品の話だけど、ビジネスの話してたのに、いきなりそれとは逆ベクトル。

無料公開。

CLONE04を無料公開に切り替えました。全文読めます。

最初、これも本にしてコミティアで売ろうかなーと思ってたから値段つけてたんだけど、在庫積み増すのが怖くなったのでやめました。

ビジネス化は遠いな!(笑)

無料だったら自分のブログで全文公開もできるんだけど、パブーはPDFとePubのファイルも自動で作ってくれるので、それを落とせばいろんな端末で読める……みたいです(←自分は持ってないのでよく分からない^^;;)

よろしかったらどうぞー。

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