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2011/06/17

獣の奏者 Ⅲ探求編

獣の奏者 Ⅲ探求編 (上橋菜穂子 講談社)

<降臨の野>でリランを飛ばし、シュナンを救ってから11年。ある闘蛇村で<牙>の大量死が起き、エリンはその調査を依頼される。それは昔、エリンが母を失った事件とよく似ていた。

霧の民であった母には分かっていた死因。しかし母は、それを禁忌として口にすることなく亡くなった。エリンは死体を解剖し、野生の闘蛇を観察し、とうとう原因をつきとめる。

闘蛇の謎から始まって、やがてこの国の埋もれた歴史にまで広がっていくお話。途中襲われたり逃げたり、はらはらの展開も含まれます。面白い。

そして副題の「探求編」が示すとおり、エリンの、王獣と闘蛇、そしてそれをこの国に持ち込んだ祖先の人々の謎の探求がまずあって。

妻となり母となったエリンには、どうしたら家族一緒に幸せに生きられるのかという人生の探求もあって。

さらには周りの人々、特に真王セィミヤの、自分の存在意義に対する探求もあったりします。セィミヤは真王としての自分の運命を受け入れて育ったのですが、体制が変わり真王のあり方が変わって、そこが揺らいでいるのです。

うーむ。

深い話です。

知り合いの家の、この春小学三年生になった女の子が本読むのが大好きで、高学年向けの本もどんどん読んでいたので、僕が一、二巻を読んでいるときに、面白いよーと薦めたんですよ。

そしたらすぐに図書室で見つけてきて、すごい勢いで読んでたんだけど。

ここまでくると、ちゃんと読み取れるとは思えない。

テーマは深い、文体は加減してない、そして主人公が子供でさえない。

でもね、それがいいんだと思うんですよね。

「よく分からないけど面白い」「深くて足がつかない」で、いいんですよ。おぼれるようにあっぷあっぷしながら読んでていいんです。

「よく分からなくても残ったもの」が肥やしになって、心を豊かにしていくのです。

よく分からない本を背伸びして、なんか頭痛くなってきたと思いながら読んでた、むかーしむかしに少年だった人として、そう思います。

今頃がんばって読んでるかなー?

そして僕も、「手加減しない話」を作りたいなーと思いました。

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コメント

「手加減しない話」
うん。うん。まさにぴったりの表現だと思います。
その時理解できなくてもそれは必ず読み手に響くはず。
上橋菜穂子さんが「運命の本」と言っている
ローズマリ・サトクリフの「ともしびをかかげて」も
「手加減していない」感がすごかった。
そういうものを読むという体験そのものが
のちのちの人生を豊かにしていくのではないかと思います。

投稿: まきまき | 2011/06/17 01:07

僕の場合例えば、小説じゃなくて漫画だけど、手塚先生の火の鳥を小学生のとき繰り返し繰り返し、擦り切れるぐらい読んでた。
 
あの無常観は子供の自分にはなんとなくの雰囲気だったけど、それでも、登場人物たちが大きな運命の流れの中で翻弄されていくドラマが面白かった。
 
そして人生折り返し点に来ちゃった今になると、良く分かる。ちっぽけだからこそ、あがかないと。
 
悪いことしてたからひどい死に方をしたとしか見えてなかった、鳳凰編の仏師、茜丸の、「私はまだ生きたい! 私はまだやりたい仕事がいっぱい残っているんです」が、すごく心に響くこのごろなのです。なんでだろ、もう死ぬのかな(^^;;)
 
この本も「ああ、これか!」っていう瞬間の種を、たくさんの子に植えてるんだと思います。

投稿: かわせ | 2011/06/17 17:36

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