獣の奏者 Ⅰ闘蛇編
獣の奏者 Ⅰ闘蛇編 (上橋菜穂子 講談社)
大公のために闘蛇の世話をする闘蛇衆の村で生まれ育った少女、エリン。母ソヨンは腕の立つ獣ノ医術師だったが、よそからやってきた「霧の民(アーリョ)」と呼ばれる謎の民族の出で、村の中では浮いていた。
ある日村で、世話をしていた闘蛇が死んでしまうというという事件が起きた。自分の責任を問われることを嫌った監察官は、よそ者ソヨン一人の責任にして処刑しようとする。母を助けようとしたエリンは、短刀をくわえ、沼を泳ぎだしたが……。
友達のツイートを見て、面白いのかなと思って読んでみた。面白いです(^^)/
ただそのツイートがベストカップルについてだったので、新キャラ出てきたときに、ははーんこいつが……と分かってしまったけれど(笑)。
僕は、読者に面白く感じさせるには、好奇心を引き出すことと感情移入させることが必要だと思っているのですが。
好奇心を引き出すのには、この先どうなっちゃうんだろうという展開にすることが有効です。このお話は、いきなりお母さんが捕まって、そこからエリンの波乱の人生が始まり、はらはらの展開です。
感情移入させるためには、スパッとキャラクターが立つシーンがあると有効です。漫画は冒頭何ページでこれができてないとだめってぐらい重視するんですが、小説はもうちょっと緩やか。
僕に一番有効だったのは、村から逃げ出し蜂飼いのジョウンに助けられたとき、与えられた薬が高価な物だと知ったときのリアクション。働くからここにおいてもらえないかと申し出たときのけなげな様子。
視点がジョウン寄りで保護者目線なのは、僕がもうオッサンだから?(^^;;)
次点が、ジョウンに蜂に手を出すと刺されるから注意しろと言われたときには、すでに好奇心に負けて刺されていたところ。素直さと旺盛な好奇心、そして特にこのあと大きくなっていく自然に対するエリンの心構えの萌芽が書かれていて、いいシーン。
子供エリンが可愛いです。大きくなっちゃったのが惜しいぐらい。
そして大きくなったらなったで、また色々な運命がやってくるので、目が離せません。続き読まないと。
左がハードカバー。読んだのは児童向けの青い鳥文庫版で、こちらは二冊に分冊。文庫も出始めたようです。
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コメント
す、すみません。
でも、ほら、私が妄想してるだけってことで(汗)
私が物語に求めるのは
感情移入できるか、情熱が感じられるか
なので、獣の奏者はとても好きです。
いろんな人に感情移入してしまう。
投稿: まきまき | 2011/05/19 00:13
そうか、妄想か!
……この記事書く時、単語を確認しようとしてウィキペディアを開き、先の部分ちらっと読んじゃった(^^;;)
出てきた時にははーんと思った別のも当たってた(笑)。
SFとかファンタジーで舞台が大きいやつって、そっちに引っ張られて人物描写がおざなりになりがちなんだけど、上橋先生上手い。短い描写にぎゅっとつまってて、すとんと伝わる。キャラが生き生きしてる。
僕も楽しく読めるかどうかは感情移入が鍵なのです。だからすごいよかった。感情移入させられた状態で、波乱のドラマを見せられると、もうはらはらしちゃうよねえ。
投稿: かわせ | 2011/05/19 06:27