ガニメデの少年
一年の計は元旦にあり、ということで背景描き中であります。
ひたすら作業の時は、トイレでちょこちょこ読み進める小説が気分転換です。今読んでいるのは「スターマン・ジョーンズ」。感想は去年読了したこちら。
○ ガニメデの少年 (ロバート・A・ハインライン 訳・矢野徹 ハヤカワ文庫SF)
人口爆発により食糧不足に陥り、食料が配給制となっている地球。ビル・ラーマーはそんな地球のカリフォルニアで、父親と二人で暮らしていた。そんな折、父親が再婚して木星のガニメデへ殖民するという。
父親は、地球に残って高等教育を受けてから来なさいと言ったが、ビルはついていくことにする。配給さえも減り続けている地球に比べて、ガニメデには希望があるのだ。しかし到着してみると、ガニメデにはこれだけの移民を受け入れる準備はできておらず……。
SFやファンタジーのような異世界を舞台にした物語の難しいところは、やらなきゃいけないことがたくさんあるという点です。
実際に読者が暮らしているのではない世界観を、一から構築しなければいけないのだから、その描写に費やすページはどうしても多くなりますし。
当然その世界を魅力的に描写できないと、せっかくの異世界なのにわくわくしませんし。
それをやりながら、こちらはどんな種類の物語でも共通ですが、キャラクターを立たせないと、読者を引っ張っていけません。
どっちかが欠けちゃうことが、結構多いのです。
その点、この作品は素晴らしいです。
ガニメデ殖民という架空の出来事が、がっちりと書き込まれていてリアリティを生んでいて。
そんなに事細かに描写していないのに、キャラクターは生きていて、ビルの内面が伝わってきます。
妹になったペギーとの関係は、あまりページを割いてはいないけれど、亡くなった時には悲しみが伝わってきたし。
最初けんかから始まったハンクとの仲が、いつの間にか相棒になってるのも自然だったし。
お隣のシュルツさんちの長女、赤毛のおさげのグレーチェンなんて、短いセリフが一個しかないけど、絶対ビルのこと好きなんだぜ!
それだけしっかりしていて、命からがらの大事件が起きるから、目がはなせません。
ハインラインの描写力に感心させられる作品でした。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ストグレ!(2024.08.15)
- 白をつなぐ(2023.12.23)
- セントエルモの光(2023.11.29)
- 今週の漫画感想 破廉恥の力(2023.09.01)
- どんまい(2023.09.08)
コメント
おお。SF者としては懐かしいタイトル。
ハインラインはハマりました♪
投稿: mn | 2011/01/05 19:34
次の企画に生かそうと、現在順番に読み直し中。
おもしろいよねー(^^)/
投稿: かわせ | 2011/01/06 15:08