今週の雑感記 個人出版周辺のサービス
まずはお知らせー。
COMITIA95に出ます。2/13(日)11:00~15:30、東京ビッグサイト東4ホール「に16a かってに応援団」です。
漫画の方は、背景が終わり、今度はナベ先生の仕事中。そしてその後仕上げ予定。体力もつかなあ(^^;;)
さて、先週つながりの話。
○ 個人出版周辺のサービス
食事休憩ー。仕事の間にたまってた記事を読む。出版関連。最近の僕の感触としては、1・出版の規模は小さくなる。2・さらにそのうちの何割かは個人出版になる。3・特に小説、漫画ではその傾向は強いと思われる。
1・出版の規模は小さくなる。紙は縮んでいくのは明らかで、じゃあ電子書籍だけど、多分普及しても紙本減少分を全部穴埋めは出来ない。ゲームとの時間潰し需要の奪い合いがあるから。ただ、僕は元から零細なので、苦しいことには大差なし(^^;;)
2・さらにそのうちの何割かは個人出版になる。技術的に可能なんだから、これも必然。ただ、ほとんどが販売チャンネルの弱さで儲からない。出版点数の割合より、売り上げの割合の方がきっと低い。漫画では今の商業の下、同人の上の所のセミプロ層がどっと増える。
3・特に小説、漫画ではその傾向は強いと思われる。作品を発表する目的として、このジャンルは創作衝動が多くを占めるから。まず描くのが先で、それが売れたらいいなあと夢見てる。
今でも即売会でスカウト→プロにというパターンがあるので、個人でやっておいて、ピックアップされるようがんばるという人が多くなるだろう。出版社側は、一から新人を育てるより、目利きして連れてきてメディア展開で大きくする、というプロデューサー的仕事が増えるのではないか。
個人出版周辺の、従来出版社が提供していた部分をどうするか。そこを切り出して実費でサービスするビジネスもありのような気がする。11/1/15
先週の「出版社による大規模出版と個人による小規模出版」をもうちょっと詳しく。
僕は電子書籍個人出版についてあれこれ語っていますが、出版社が全滅して全部そうなると思っているわけではありません。
確かに規模が小さくなる過程で、いろいろと大変だろうとは思います。リストラがあったり、昔ほど給料もらえなくなったり。
でも、個人出版が主役になるかでさえ、?マークなのです。
じゃあ何でこんなに入れ込んでいるのかと言うと。
そこが作品の多様性を守る砦になるのではないか、と思っているからです。
漫画を一つのコンテンツとして見た時、他ジャンルに比べて優れている点は、小回りがきくことです。
大勢の人が関わるジャンルは、みんなの生活がかかっているから外せない。するとどうしても確実に売れる物を求める。例えばゲームがシリーズ物ばかりになるように。
その点、その気になれば個人で作れる漫画や小説は、作者の閃きをそのまま形にしやすい。いろんな面白さを追求できる。それが強みだと思うのです。
なので、その強さを究極に発揮できる、個人出版が流行って欲しい。
そこで、最後の「従来出版社が提供していた部分」になるわけですが。
漫画制作における出版社の役割として順番に言うと、まず、お話作ってる時の編集さんのアドバイスがあります。
人の意見を聞くのはとても大事です。個人でやる場合、「好きに描きたい」という思いを実現できますが、人は自分に甘くなるもの。
「駄目だしされるのが嫌だ」と、「好きに描く」が「好きなものを描く」ではなく「文句言われず楽して描く」になってしまったらマイナスです。
ただ、編集さんの意見でなければ必ずしもいけないかというと、そうでもありません。
編集さんのするアドバイスには、創作的な視点とプロデューサー的な視点があり、プロデューサー的な意見は、業界で働いていて売り上げ動向のデータをきちんと把握している編集さんの方が分かっていますが。
そもそも個人出版に作品の多様性を求めているわけだから、プロデューサー的意見はいらない。
むしろ自分と漫画の好みが合っていて、自分のやりたいことに理解を示してくれる人の方が重要です。漫画に詳しければ、「そうしたいなら、こうじゃない?」という意見を言ってくれる友達でもOK。そういう意見をいくつか聞いて、自分で選ぶ。
というわけで、僕は必ず周りの人の意見を求めるようにしています。周りにプロがいるので、「そのテーマならここにこういうエピソードが要るけど、そしたらこっちがこうなって……」という質の高い意見が聞けます。
僕はそれでOKと思ってるんですけど、じゃあ、質の高い意見が聞きたいけど周りにプロの知り合いなんていない、という場合。
こういうサービスもあります。例えばいるかMBAという漫画教室。ここは漫画初心者から連載目指してる人まで、幅広く対応してアドバイスしてくれるみたいです。
編集さん自身がフリーの出版プロデューサーになるケースも考えられて、ここの部分のサービスはいろいろ出てくるかもしれませんね。
流通サービスは、電子書籍の場合、もう出来てるんですよね。やろうと思えばすぐやれる。
というより、ここが出来たので、「出版社が中抜きされるんじゃ?」という騒ぎになってるわけです。
そして宣伝。漫画の場合、雑誌に載ることが一番大きな宣伝ですが、個人でやるとここがものすごく弱い。知ってもらえなくちゃ買ってもらえるわけなくて、ここが一番の泣き所だと思います。
多様性と言えばかっこいいけど、要は出版社では売れないと判断されるようなネタでも描くということだから、元から需要が少ない。そこでさらに目に止まらないという二重苦では、どうにもなりません。
そんな時、こういう記事。
ITmedia 「ブログ感覚で作れる電子書籍」の快進撃~「パブー」吉田氏に聞く 前編 後編
パブーは電子書籍を気軽に作れるサービスで、有料で売ることも可能。流通の部分を担うサービスです。さらに、インタビューの後編で、雑誌的に見せることについても触れています。導線の強化もしてくれるなら、とてもありがたいサービスです。
ネットは、趣味、感性が近い人がつながりやすく、そういうクラスター内にぱっと情報が広まる仕組みになれば、可能性が広まりますね。好きな人がアフィリエイトで「お薦めオレ雑誌」を編集とかしたら、同じ趣味の人が興味を持つかも。
この会社の創業者の家入さん。最近どこかで名前を見たなと思ったら、先週紹介したマイクロパトロンプラットフォームCAMPFIREを立ち上げるんですね。クリエイターを支援しようという発想がなんとなくつながってて、なるほど納得。
必要とされればサービスは立ち上がるわけで、どんどん出てきて欲しいなーと思います。
○ 餌場
NHK「関口知宏のOnly1(オンリーワン)」 http://t.co/JQs5cwb 自殺志願者支援の話。大切な活動。弱った人を救うことの出来ない社会は、強者が搾取するための餌場にすぎなくなる。11/1/16
人は何で集うのか。よりよく生きるためではないのか。多くの弱者が少数の強者に食い散らされる餌場になるなら、集う意味はあるのか。
歴史的には、規模が大きくなるほど餌場として機能し、それに抗うべく革命が起きているような気がする。
いきなり難しいことをぽろっとつぶやきましたが、実際自分が生きている世界の問題としても気になるし、これ漫画のテーマになるんじゃないかなとも思って、いろいろ考えちゃうのです。
○ 均衡点
作業中、アニメやドラマを流しているけど、面白いって難しいね。ちょっとしたことで簡単に崩れる。
均衡点みたいなものが各所にあって、それでいろんな面白さがある感じ?必要な情報、要らない情報、単純な足し算じゃない。雰囲気に合ったリズムのよさ、間の取り方、人目の引き方。バランスが崩れると、つまらなくなる。この土台があって、デコレーションとしてネタが乗る。11/1/21
「あれ? 原作ではもっと面白かったのに」ということがあるじゃないですか。
ストーリー展開は同じなんだから、これはネタの問題じゃないんだよな、「面白くする力」ってのがあるよなあと思うわけです。
読者として見る時は、まずぱっと見です。チラッと見たシーンのネタや雰囲気で、「面白いのかな?」と食いつく。
でも作り手は逆で、土台が先。「ちゃんと面白くする力」がないと、どんなネタでもつまらなくなる。
つまり、何でも盛っとけばいいんじゃなくて、バランスをとる均衡点みたいなものがあるなあと。ここに力を入れないと伝わらないとか、ここをこれ以上強調すると雰囲気が崩れるとか。
しかもその均衡点は、描きたい主題によっても違うし、あえて崩して新しい読み味を出すとかもできるし、いろんな所に存在する。そこを感覚的にきちんと掴んでいるかどうか。
「すんなり面白く読める」には、すごい力がいるんですよねえ。大変。
○ 今週の絵
背景は終わりました。
こういう背景が地味につらかったのです。ちまちましてる(^^;;)
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