今週の雑感記 空き家
空き家を探しています。
実際の家ではないです。
雑誌のラインナップの中の空き家です。
好きな物を描いたら、それがどんぴしゃ売れる物だった、という人はいいのです。それはある種の得がたい才能です。才能を生かしてどんどん描けば大丈夫。
でもそうじゃない人は、自分が生きていける場所を探さないといけません。
一番売れる場所は危険です。人がひしめいています。その中には当然本物の人がいて、小手先のまがい物なんてその人の描く物の前ではすぐにメッキがはがれてしまいます。
なので空き家探しです。
これがなかなか難しい。
そこが空いているのは、そもそも需要がないからなのか、それとも担い手がいないからなのか。
一番よいのは、潜在的に需要はあるけれど、描くのが難しい作品を何とか物にすることです。そこでの成功者がいなかったり、いても少なかったりするのは、上手く描けなかったからで、上手く描けばお客さんがいる所。
成功すればオンリーワンです。
今考えているのは「テーマを持たせること」「メッセージを強く出すこと」です。SFやファンタジーでは、ここを雰囲気で流す作品が多いので、はっきり描けたら違いを作れるなーと。
テーマやメッセージにページを使うと、全体のエンターテインメント性が下がること。テーマの把握がいいかげんだと、きれい事の机上論を語っているだけになってしまい、面白くもなんともないこと。ここの所がハードルです。
僕は作業中、バラエティー番組を流すならニュースやドキュメンタリーを流すタイプの人なので、テーマを前に出すのは性格的には向いていると思う。あとはハードル超えるのに必要なレベルまで行けるかどうか。腕前の勝負です。
そう心に決めているので、火曜日の打ち合わせでちょっと違う路線に行きそうだったのを、戻してきました。
成功例を挙げるとこの辺り。「銀河鉄道999」「火の鳥」。
……うわあ、ハードル高い。
がんばろう。
○ 行くしかないのだ
こないだ、「電子書籍、電子書籍と言うけれど、ほんとに儲かると思ってる?」と疑問を呈されました。しかも、別々の機会に複数名から。
僕は困難に対して真っ向勝負ではなく、ついゲリラ戦を考える、ベビーフェイスにはなれない性格なので、みんなと話が合わない時があります。実はすごい迂回路についてしゃべっているのです(^^;;)
でも行きたい所があるのなら、行くしかないだろ、とは思うんですよね。
諦観は進歩の敵。ゲリラ戦の方がまし。今の日本は諦観がはびこっててよくないよ。
今日もゲリラ戦的に考えています。
僕は「好きな漫画描いて暮らしていきたい」わけですが。
好きな物を描いて飯を食うのはかなり困難です。
そもそも打ち合わせで止められます。
だいたい、ニーズを考えず、お客さん少ないかもしれないけど好きな所に行きたいと言ってるのですから。
ビジネスとしては止めて当然。それが分かるぐらいには大人になった。
そこで、じゃあ自分で出そう、コストを下げればお客さん少なくてもいいんだ、好きな所が一致する人に向けて描けばいいんだ、と考えて、電子書籍に希望を見ているのですが。
電子書籍も全然簡単じゃない。
雑誌という、人が集まるプラットフォームを捨てるんだから、簡単なはずない。まず埋もれる。お客さんが集まらない。好きな所が一致する人をどうやって集めるのか、この集客のところが大問題。
ということで、「儲かると思ってる?」という質問には、「当面無理。僕の魂が救済されるだけ」というのが答え。
なので、カードを二枚切るのです。
端っこの、これなら何とか商業誌向きじゃないのかというやつと、真ん中の一番描きたいやつ。
まず「好きな物を描きつつご飯を食べる」作戦。
そして先々こっそり、一致させる。
そのためにカード同士も上手いこと繋いでおかないと。
そんなゲリラ戦をもくろんでいます。
だって、そこに行きたいんだから。
行くしかないでしょう。
○ 今週の絵
というわけで、端っこカードの商業企画の方は、付け加え分が出たのでネタ出しへ。
真ん中カードの作業はこんな調子。
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