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2010/09/09

黒猫の愛読書Ⅰ 隠された闇の系譜

○ 黒猫の愛読書Ⅰ 隠された闇の系譜 (藤本圭 角川スニーカー文庫)

内気で目立たない少女、紙村綴(かみむら・つづり)。彼女の唯一の友達は、本。ただ、これは読書家という意味だけではなく、綴は本当に「本の声」を聞く力を持っていた。

図書委員でもある綴は、ある日、嵐が丘の下巻のリクエストを受ける。延滞されているその本は、調べてみると借りた人が謎の変死を遂げている呪いの本で……。

主人公の綴には、本の声が聞こえる、という特徴がついているのですが、内気で目立たない、という性格設定。

となると人物的には今ひとつ面白みがないわけで。ちょっと入りづらいな、どうしようかなと、冒頭読みながら思っていたら。

ものすごい妄想癖があって、それがいきなり大爆発していた(笑)。

学校で人気の先輩に、ちょっと声をかけられたら、それが図書委員に本の行方を聞くというものだったにもかかわらず、そこからべったべたの恋愛物の妄想に突入。悪癖と自覚しつつも、それを自分でコントロールできない。しょっちゅう暴発。

表に出せないので大人しい子と見られているけど、内面はとても豊か。それをまずギャグで書いておいて、だんだんと本筋に絡めていく手法です。

ラスト、勇気を出して自分の殻を破り、一歩踏み出したシーンが、とても微笑ましく読めました。

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