GOSICKsⅢ 秋の花の思い出
仕事大忙し、の間に今日はCOMITIA。
移動中は読書予定。このシリーズが面白かったので、「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」も借りてみました。
○ GOSICKsⅢ 秋の花の思い出 (桜庭一樹 富士見ミステリー文庫)
「ベルゼブブの頭蓋」から帰ってきて、疲れから熱を出してしまったヴィクトリカ。一弥はお見舞いに、お菓子と花と本を持って訪ねます。
持ってきた本を朗読する一弥。するとヴィクトリカは、本の中には書かれていない、隠された秘密をかぎ当てて……。
今回は今起きている事件ではなく、一弥が持ってきた本に隠された秘密を推理するという趣向。持ってきた花と、その花言葉にも絡めるという粋な構成。面白かったです。
さて、このシリーズはミステリーであると同時に、誰にも愛されずに育った一匹狼のヴィクトリカが、一弥との間に確かな絆を紡いでいく物語でもあるわけですが。
その絆はしっかり太く育っています。憎まれ口ばっかりだけど、嬉しいんだな、という演出が随所に。一つ引用。
それは紫がかった、温室咲きのチューリップの花束だった。一弥が窓から覗きこんでいる、ヴィクトリカのおうち……小さな猫足テーブルと椅子、チェスト、素敵なじゅうたんのある、しかし床は書物であらかた埋め尽くされている部屋に、その花束ははっとさせる、原色の華やかさを持ち込んだ。ヴィクトリカは興味なさそうに花束を受け取ると、胸の前で、黙って、ぎゅうっと抱いた。
「なんだ、こんなの」
と言いながら、小さな鼻をうずめて、匂いをかぐ。
「うむ……!」
花束を抱きしめて、背中を向ける。
いいシーンだなあ。
さて、そしてそこにはライバルがいて、三角関係になる……はずなのですが。
アブリルの旗色は、めっちゃ悪いです。明るく一途で好感度が高いので、彼女にもいいこと起きて欲しいなあと思っているのですが、全くそんなことはなく、いつもじたばたしてばかり。
こちらの方は全く進展がないまま、短編集も三巻になってしまいました。ちょっとかわいそう。
この最新巻が2007年で、桜庭先生はこの辺りからライトノベルじゃなくて一般書の方に行っちゃってるので、続きはもうないのかなと思ったら。
来年アニメになるらしい。そうするとそれに合わせて続きが出るかもしれませんね。いや、出て欲しい。そしてアブリルにもいい思いをさせてあげて欲しい。切に希望。
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