GOSICK Ⅵ 仮面舞踏会の夜
作業予定は看板倒れで全く進まず、肩ばっかりこった、そんな一日。
○ GOSICK Ⅵ 仮面舞踏会の夜 (桜庭一樹 富士見ファンタジー文庫)
水没する「ベルゼブブの頭蓋」から、辛くも脱出した一弥とヴィクトリカ。帰りの列車「オールド・マスカレード号」はソヴレムへと向かう。
混み合った列車のコンパートメントで同席したのは、六人。お互い自己紹介しようとした時、つい会話の流れから、本名ではなくあだ名で呼び合うことに。「孤児」「公妃」「木こり」「死者」。面白半分でつけたはずのあだ名は、実はそれぞれの隠された事情を指し示していて……。
前巻からの続き。一つ事件は解決したはずが、帰りの列車の中で、それに絡んで新たな事件発生です。
事件解決後、ヴィクトリカは隙を見て、犯人を助けます。この国の内部の勢力争いで、手先となって働いていた犯人。消される可能性があったからです。
犯人が、自分とかぶる、大人たちに利用された人生を送ってきたからでもあります。
ヴィクトリカはこれまで、周りの人間(主に兄)に散々嫌がらせをしていましたが、自分の運命には従う姿勢でした。
大物貴族の父の野望のために、愛もなく生まれ、幽閉されたまま育った。でも逃げ出すわけでもなく、自分から友達を作ろうとしたこともなく。
「灰色狼の子」として、その頭脳を武器として、いつか来る次の大戦時に国のため働くことを望まれるだけ。そんな人生。
そんなヴィクトリカが、逃げ出して運命を自ら切り開くことをよしとした。これは一弥という友人を得て、ヴィクトリカが怪物から人間に変わったから。
一巻からずっと、少しずつ、事件を解決する影で流れていたテーマが、一つ実を結んだシーンでした。いいシーン。
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