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2010/06/11

子供といっしょに見たい名作アニメ

どうせ子供にTV見せるなら、いいもの見せたいという親の気持ち。

この間カラオケ行った時、話題に出たのです。

その時に「昔の名作アニメのシリーズいいよー」とアピールしてたのですが。

ほら、カラオケだから、歌わなくちゃいけなかったから。

なんか半端にアピールが終わったような気がして。

そこで、どこがいいのか、どれがいいのか、まとめておこうと思います。参考にしてねー。

さて、まずはどこがいいのか。名作アニメがいいよーとアピールしたのには理由があって。

子供が好きな、変身して戦うやつとかは、今でも作られているわけですが。

自分が漫画描いてても直面するのですが、いわゆるいい話は話作りの点からなかなか成功させるのが難しいので、需要ほど供給されていないような気がするのが、まず一つ。

もう一つは、いっしょに見て、大人が楽しめるから。仕事柄、昔自分が好きだった番組が楽しかったのは、どんなところが作用してのことか、と再放送なんかをチェックして、研究しているのですが。

特に気持ちのやり取りがとても細やかな物は、大人になってから見ると、違った視点から見れてとても新鮮です。

子供もわくわくはらはらできて、大人は深い所まで楽しめる、そういう物なら、見た後に会話も弾むんじゃないかなと。

というわけでいきましょう。

まずはご存知「アルプスの少女ハイジ」。

とにかく動きがとても細かい。動き回るハイジを見てるだけで、気持ちが伝わってきます。

それもそのはず、この作品は場面設定・画面構成が宮崎駿、演出は高畑勲という、後のジブリの名監督コンビなのです。

「クララが立った!」というクライマックスが有名ですが。

僕がそこに劣らず好きなのは、第25話「白パン」。クララがハイジに「七匹の子ヤギ」の話をするシーン。

アルムの山に帰りたいのに帰れないと、布団にもぐりこんで泣くハイジを慰めようと、「七匹の子ヤギ」の話を熱演するクララ。でもハイジが出てきてくれないので、だんだんクララも悲しくなって……。

ここの気持ちの上下動が見事です。ずうっと気持ちが沈んで行くところから、ぱっと明るくなる。もらい泣きするシーン。

宮崎駿&高畑勲のシリーズは他にもあって。まずは「母をたずねて三千里」。

マルコの大冒険がすごい。マジで死にそうになるので、はらはらします。幼少期の僕は、マルコが雪の中で行き倒れるところがかなりのショックでトラウマになっていたようで、「アルゼンチンは寒くてつらいところなんだ……」と、大きくなるまで思い込んでいました(^^;;)

大人になってから見て感心するのは、ものすごい細やかな伏線が張り巡らされているところです。

マルコのお母さんが、わざわざアルゼンチンにまで出稼ぎに行くのは、お父さんの仕事が上手くいっていないからなんですが。

お父さんの仕事は、貧乏な人のための診療所を運営すること。子供の時には風貌や性格のイメージで、なんとなく頼りないと思ってたお父さんでしたが、大人になってから見ると、かなり偉い人です。

お母さんがお父さんを手伝うのもそれが理由。一話目に、お母さんの育った村にはお医者さんがいなくて……というさりげない伏線があります。

そして、貧困の問題は作中に何度も顔を出します。極めつけは第44話「フアナをたすけたい」。

旅の途中でインディオの少年パブロと仲良くなったマルコ。その妹のフアナが熱を出すんだけれど、呼びに行った医者は皆、住所を聞いたとたんに来てくれなくなるのです。貧乏人の住む地区で、診療代が見込めないから。

まさにお父さんは、こういう人のためにがんばっている。そしてマルコはこの旅を経て、お医者さんになってアルゼンチンに帰ってくると決意する。そんなストーリーが背景に流れています。

他にも細かい伏線がたくさんあって、見るたびに新しい発見がある、すごいアニメですよ!

そしてこのアニメは、多分僕の見てきた中で、第一話の完成度がNo.1。話の展開、伏線の張り方、演出、演技、完璧です。

小さなマルコが船で旅出つお母さんを追って埠頭を駆けていくところで、これを見た全てのお母さんが泣くはずだ。もちろんお母さん以外も。

さて、宮崎&高畑コンビは、「赤毛のアン」も。宮崎さんは途中までみたいですが。

このアニメを見ていて、「立場が変わると視点も変わるんだ」というのを強く意識したのです。実は子供の時には、そんなに熱心に見ていなかった。むしろ母が熱心だったような記憶。

「アンってうるさいなー」という感想だったのです。登場人物に年が近かったから。ところが大人になってから見ると。

自分の視点がマシューやマリラになっていることを発見。すると、子供の時にうるさいなーと思っていたアンが、ちょっと変わった子だけど、素直だしいい子なんじゃないかなと。

さらに成長したら落ち着いて、よりいい子になるではないですか。口下手なマシューが、「アンはわしらの自慢の娘じゃよ」と言うシーンがあるんですけど、ほんとにそう思った。感涙した。

もしかしたら男の子は幼少期の僕と同じ感想持つかもしれないけど、娘といっしょに見るには最適なアニメではないでしょうか(^^)/

ちなみにこの作品、冒頭の五話が一エピソードになっています。手違いで来てしまったアンが、グリーン・ゲイブルスに住むことになるまで。

これを第一話と考えると、前述の母をたずねて三千里の第一話に匹敵する出来です。セリフで分かりやすく説明していないんだけど、「あっ、今マリラの考えが変わった」というのが、伝わってくるのです。素晴らしい演出。

高畑監督の最高傑作は、この「赤毛のアン」ではないかと思います。

さて他の名作アニメとなると、これを挙げなくてはいけません。「ペリーヌ物語」。

ペリーヌ物語は、序盤少しゆるいです。けれどそこを過ぎて、お母さんが病に臥せった辺りから、がぜん盛り上がってきます。

とにかく演出のタイミングが絶妙で。やっと出会ったおじいさんに、孫娘のペリーヌですと言おうとするたび、おじいさんがすごい怖い人だったり、会ったことない息子の妻や孫のことを悪く言ったりで、言いそびれます。

それでいておじいさんの方は、孫娘とは知らずに秘書に雇ったオーレリィ(ペリーヌの偽名)がすっかり気に入ってしまうのですよ。一言言えば万事解決じゃん、ああもう! と、そのすれ違いっぷりにやきもきすることしきり。

じらしにじらして、とうとうペリーヌの正体が知れる第49話「幸せの涙が流れる時」の演出が、また見事の一言なのです。何度見ても泣ける。

泣けるアニメと言えば、「フランダースの犬」が有名ですが。

実はちゃんと見直していません。

冒頭何話か見た時点で、演出レベルがとても高い事に気づかされ、そしてネロとアロアがとても可愛く……。

このレベルで最後があの悲劇だなんて、耐えられない!

パトラッシュが金物屋に虐待されているシーンですでに、手の上で踊らされてカッと来てましたので。これで最後まで見たら、なんか僕がまずいことになりそうな気がして止めました(^^;;)

と言うわけで、語れないんですが、たぶん大傑作。

さてさて他では。

大人になってから見ても、インジャン・ジョーが怖かった、「トム・ソーヤーの冒険」。

僕はあの島に漂着したら一週間で死ぬな、と思った「家族ロビンソン漂流記 不思議の島のフローネ」。

終盤、ルーシーが記憶喪失になってから、かなりハラハラさせられる「南の虹のルーシー」。

強引なまでのひっどい虐めと、そこからの大逆転が痛快な「小公女セーラ」。

この辺りが、大人になって見直しても面白かった作品です。

名作アニメのシリーズ以外にも、面白かった作品はあるんだけど、広がりすぎて収拾つかなくなってしまうので、いつか機会があったら。

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コメント

あのカラオケは圧巻でしたね。
個人的にはキカイダーで本当に大満足(笑)
このリスト全部見てたことを考えると、
ものすごい影響受けてるような気がしてきました。

投稿: mn | 2010/06/11 12:35

これらの名作アニメは、今の子でも
全然いけます。
トムソーヤとか赤毛のアンとか
多分、息子はワンピースやNARUTOより好きです。
あと、未来少年コナンとガンバの冒険。
今の私がマルコを見たら
涙涙で大変なことになってしまいそう。

投稿: まきまき | 2010/06/11 23:25

>mn
僕のヒットは宇宙船サジタリウスです。映像付きだったし(^^)
 
子供の時に、これだけしっかりしたお話らしいお話を見れたのは、結構大きいと思う。やっぱりいろんなシーン覚えてるんだよね。
 
>まきまき
「母をたずねて三千里」は、むしろ大人が見ないと損をするレベルの作品なので、ぜひ見てください。子供相手だからという手加減が一切なくて、ほんとにはらはらするから。
それに、「お母さんを大好きな小さな息子が旅に出る」という、ある意味息子を持つ母のために作られたような作品だよ(^^)/
 
コナンやガンバも思いついたんだけど、そっちまで行くと、この三倍ぐらいのリストになりそうだったので。
今度まとめるね。

投稿: かわせ | 2010/06/13 00:26

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