葉桜が来た夏 2 星祭のロンド
仕事場で風邪もらった模様。
○ 葉桜が来た夏 2 星祭のロンド (夏海公司 電撃文庫)
宇宙からやって来た異星人アポストリの少女、葉桜との共棲を受け入れた学。二人に課せられた使命は、人類とアポストリの友好を一般市民にアピールすることだった。交流フォーラムに出席するために、二人は東京にやってきた。
フォーラムの間の休憩時間、ホールの喫茶店にいた学は一人の少女と出会う。何者かに追われていたその少女は星野友深(ほしの・ともみ)。学が幼い日に出会った女の子にどこか面影が似た少女……。
アポストリはぶっちゃけてしまえば吸血鬼な設定。不死身と思わせるほどの生命力と耐久性を持ち、銀でしか殺せない。人間とは比較にならない運動能力を持つ。
そんなヒロインが脇にいると、普通の人間である主人公では、見せ場を作るのが大変だと思うんですが、そこで知恵比べに持ち込んで、上手く立たせているので感心。
しかも、この調子だと先々学は重要人物にのし上がるかもなあ、という予感も感じさせます。「なんて子なの」的などんでん返しって燃えるんですよねー。
そして、お互いの好意を素直に出せない不器用な二人、という定番な関係なのですが、でもやっぱり読んでてうきうき。ベタな展開が上手く書いてある時が楽しいのです(^^)/
楽しいってどういう状態を作れると導けるのだろう、というのは作者にとって永遠のテーマだと思います。僕もずっと考えてきました。
今現在到達したのは、主に二つの楽しさがあって、そのブレンドなのかなということ。
一つは「分からないから楽しい」という刺激。次にどうなるか先行きが見えず、話がどんどん転がっていくスタイルの物はこれが主体。
もう一つは「分かっていても楽しい」というもの。感情移入させる話だと、一度読んで最後のオチを知っていても、やっぱり山場で燃えたり感動したりできる。それが心地よい、というものはこれ。あと、定番の展開でも楽しいのも、これだと思います。
で、その二つを上手くブレンドさせると面白い。そして、その配合が個性になって、上手いバランスを取れるとよい。
このお話は、上記に挙げた定番部分だけではなく、アポストリ内の政治とか日本政府との関係とかの込み入った事情を書いていて、ストーリー展開は先読みできない。そういう面白さとのブレンドがいいですねー。
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