陰陽ノ京 巻の三
本日も朝から仕事で出かけているので、サッカー記事は後日、落ち着いて描く時間のある日に。
○ 陰陽ノ京 巻の三 (渡瀬草一郎 電撃文庫)
龍神の血を引く外法師、弓削鷹晃(ゆげ・たかあきら)は、ある夜自分の笛の音を聞きほれる老法師、蘇芳(すおう)と出会う。自分は吹けないのだが笛の音が好きで、学ばせてもらおうと聞いていたというその老人は、なにやら事情がある様子。
ある日、長雨が続いた後の落雷で、鷹晃が住む山中に封じられていた大百足が解き放たれてしまった。鷹晃は従者を先に逃がし、老人を探しに山中へと分け入るが……。
そういえば、主人公保胤(やすたね)は、吸精の術というどんな物の怪でも滅ぼしてしまう大技を持っているのに、一巻以降、ぜんぜん使っていません。
二巻は説得しちゃったし、この巻では使いそびれていたら、龍神が助けてくれた。そういうアクションの部分よりも、心の内を書くのがメインなのが特徴です。
漫画でもそうですけど、ライトノベルのようなエンターテインメントのレーベルで陰陽師が出てくるといったら、普通は最後の大技が決めになると思うのです。
主人公が優しく、好戦的ではないのも、最後の大技とのギャップを出すためなのが普通。作る方もついそう考えてしまいがちなのですが。
そこで、こういう優しく悪く言えば優柔不断な主人公なら、こういうところで悩むだろう、という部分を丁寧に掘り下げて、単なる設定で終わらせていない所がいいなあと。
陰陽師で妖怪退治とか、法師同士が対決とか、ありがちになりそうな題材から個性を生んでいるのは、そういう姿勢だと思います。
また、心の内を掘り下げておくと、後々への貯金になって、今後の悩みや葛藤に深みが出てより面白くなるので、とても楽しみ。
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