イラストの仕事、PCで仕上げているんだからベタもそっちで塗った方が絶対に速いのに、なぜか自分の手できれいに塗らないと気がすまないのは、僕が古い人間だからでしょうか……。
特に髪の毛のベタは必須。今回は他のもぺたぺたと。
きれいに塗り潰していると、無我の境地にひたれるのはなぜでしょう。
散歩がてら図書館へ。道中、小学生の姉妹と散歩している犬。
とてもよくしつけられた犬で、女の子のそばを離れず、様子に気を配って歩調も合わせてる。
うむ、ご主人様をしっかりお守りするのだぞ。
帰りには、街灯の下、漫画を読んでいる高校生ぐらいの男の子。
読んでいるのは3月のライオン?
寒いのにもう夢中。風邪ひくなよー。
○ COMITIA90
まずはお知らせから。
COMITIA90に参加します。11/15(日)東京ビックサイト西1ホール「の19a雲形発着場」です。お隣はやんむらさんの「すいか工務店」。
梅木君のクラウディア航行記新刊の表紙がこちら。
最近梅木君にまかせきりで、会場に行くのは久しぶり。コミティアは漫画っていいなあと思わせてくれる雰囲気が会場に満ちているので、行くの楽しみ。
○ 来てほしい未来
佐藤秀峰先生のオンラインコミックの続報。以前の記事がこちら。
一ヶ月で70万円位だそうです。
うーむ。やはり知名度を考えてこれだと、まだ未来は見えてこないなあ。外部委託があるから、そこで経費がかかるし。
こういうニュースを注視しているのは、僕に「来てほしい未来」があるからなんですよね。
佐藤先生も触れてますけど、今、漫画雑誌は大ピンチです。
老舗雑誌も休刊する現状。休刊の代わりに創刊もあるので、数はそんなに減ってませんが、社員の仕事を作るための色彩が濃いように思え、いつまで維持できるか不安です。出版社の赤字も拡大しているようですし。
雑誌の衰退って、漫画にとってかなりダメージなんですよね。雑誌に載ることによって原稿料がもらえるじゃないですか。
小説は単行本書き下ろしで印税のみっていうケースが多いそうです。漫画業界より収入的に厳しいのですが、ただその代わりに兼業に向いてます。小説書いてみて気付いたのですが、一日中集中して書くというのが、かなりつらい。
以前村上龍先生が、TVで「創作に一番必要なのは根気。一日8時間机に向かえないと」と言っているのを見ました。ずいぶん少ないなと、その時は思いました。漫画なら倍の16時間は行かないと。さらに倍、32時間という修羅場もあるのです。
でもやってみると、ずーっと前頭葉を働かせ続けるためか、8時間がかなりきつい。
他のものに例えると、入試で難関校を受けて、ちんぷんかんぷんの問題と取っ組み合いした時の感じ。午後にはボロボロ。試しに漫画と同じように一日中、一ヶ月続けたら、精神的におかしくなりそうになりました。
という事で、一日中作業は、小説の場合元々無理。短期間ならともかく、続かないと思います。直木賞作家の桜庭一樹先生は、執筆は午前中だけだそうです。
つまり兼業でも作業時間は十分取れるのです。実際そういう人がたくさんいます。
それに対して、漫画は作業量が圧倒的に多いです。やってみた感じでは少なくとも3倍から、下手するとさらに倍の6倍かそれ以上。
そして、物語の分量として小説の一冊と漫画の一冊では、進み具合が全然違うので。
一日中描いて、人手も使って……。フルタイムの専業プロじゃないと、漫画の場合、話がさっぱり進みません。
なので、毎月原稿料で生活できて、制作費も出る状態じゃないと、やってけないわけです。
なのに雑誌が弱ってく。まだまだ止まりそうにない。
雑誌が売れなくなっていくのは、時間潰し需要が他の物と奪い合いになっているという、技術革新によるライフスタイルの変化があるので、ある程度は諦めるしかないと思います。なので、収益性を高める方向に努力するしかないわけです。
現状では、それがより単行本を売ろうという流れ。しかしそろそろ、コストカットとかダウンサイジングとかを考えなくてはいけないのでは。
web雑誌になると、印刷代の分だけコストダウンになります。もしキンドルのような電子書籍リーダーが普及すれば、電子雑誌もあるかもしれません。
そうやっていろいろと出版社も模索していくであろう中、作家にとって究極のダウンサイジングが。
自分で作って自分で売ること。
これが可能な世の中になれば、何が起きても大丈夫と安心感抜群。佐藤先生のインタビューにも「自分で作品を発表できる場を今のうちに確保」とありますね。
今でも描くだけなら同人誌がありますが。
これと商業誌の間の部分が埋まるといいですねー。より多くのお客さんがアプローチしやすくて、腕次第ではそれで回る。
自分が食べる分を自分で何とか稼ぐ、ギリギリでも専業プロ。それがしやすくなればいい。
そういうスモールビジネスの仕組みが普通になれば、こうして「業界の未来はどうなるんだろう」なんて、一介の作家ではどうにもならない無駄な悩みを抱えずに(^^;;)、「作品を面白くするにはどうすれば」という創作上の悩みだけでいいんですよ。腕次第というのは、やりがいのある悩みだから。
そんな未来が、早く来いー!
○ 美少年美少女が描けないタイプの作家がマンガで食っていくことができなくなる
上の未来が来てほしいと思うのには、もう一つ理由が。それがこちら。
先週、若木先生のブログのこの記事がニュースになっていました。特に美少年美少女のくだり。元記事は5月に書かれたものですが、ニュースポータルなどに取り上げられて、わっと広がったみたい。
若木先生の記事は、全体としては、業界の地盤沈下が起きると才能が集まらず悪循環に陥ることを懸念していますが、このフレーズが一番インパクトあって、ちょっと一人歩きしている感じです。
いやあ……。
僕のことですね(嘆)。
女の子を主人公にした漫画で、ネームは通したのに絵で編集長ストップを何度も食った身としては、思い当たる節がありすぎです。まあ、他にもいろいろありますが……。
僕は、1・あまり手が速くないので週刊誌は無理、2・SF漫画が描きたい、という主に二つの理由でマイナー系の少年誌をうろついてましたが、あそこは特にそんな感じです。
……と書いてたら、さっき買ってきた別冊少年マガジンの表紙に「ネギま!?neo描き下ろしHポスター!! さらにエッチな全員サービスもあり!!!」とありますよ。来月は「大暮維人、降臨。性なるプレゼント! 特別付録 美麗!超レア!!激エロ!!!ポスター」。この雑誌も、今は混沌としてるけど、そっちの方に落ち着くのかなあ。
やんむらさんも書いてた。ありますよね、そういうこと。僕は裸のコマを大きく、でしたよ(笑)。
でも考えてみると、これは当然のことで。初動がいいんですよね。
例えば、可愛い女の子が描けるかどうかは、その子が出てきた一コマ目で、もう判断がつきます。可愛く動かせるかどうかも、何ページかあれば明らかです。
それに対して他の要素の面白さは、判断するのに待たなくちゃいけない。僕は、アイシールド21の序盤のネームの冴えが素晴らしかったので、「これはスポーツ漫画史上最高傑作になるかも!」と期待していたのですが、大会始まったらあんまり試合が盛り上がらなくて、ちょっとしょんぼり……。
なので、速くアンケート結果が出ること、単行本1巻目からブレイクすることを目標にすれば、美少年美少女が有利なのは自明の理なのです。
打ち合わせで、「可愛い女の子が出てればいいのかよ? と思うんだけど、結果はそっちなんだよねえ……」という、担当さんのため息交じりのセリフを聞いたことがあります。編集部も、全部同じようなのにしない方がいいと思ってはいるのでしょう。
でも、現状は後退戦です。余裕がある時は「化けるかもしれないから、ちょっと様子見とこう」というスタンスが取れたかもしれませんが、今は厳しい。
となると、初動がいい方に絞り込まれていくのは、仕方ない。美少年美少女、エロ、バトル辺り? 話の進め方も、しょっぱなから見せ場たっぷりなやつ。
でもじゃあ、そうじゃない漫画はどうすればいいのか。
その時に、スモールビジネスとしての漫画が根付いててほしいな、と思うわけですよ。
商業誌で「これは難しいかな……」とこぼれちゃった漫画でも、作家本人にやる気と腕があれば何とか回るようになってれば。
生態系の生物多様性ならぬ、漫画界の作品の多様性は保たれて、豊かな世界がやってくると思うのです。早く来いー!
……なんか今回、やたら力入っちゃった(^^;;)。さあ、未来を望んでばかりじゃなくて、目の前の仕事終わらそう。
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