まんがあれこれ リアル 9
めっちゃ寒い。
このあとイラスト仕事が待っている僕としては、風邪をひくわけにはいかないのです。
暖かくして免疫力アップ。
○ ハーメルンのバイオリン弾き シェルクンチク 第34楽章 合宿開始 (渡辺道明 ヤングガンガン)
素敵な夏合宿というみんなの思惑は見事に外れ、連れて行かれたのは無人島、始まるのはサバイバルタッグ戦。
最後で衝撃の展開です。
タイトルがシェルクンチク、ロシア語でくるみ割り人形だし、素肌を見せたがらない伏線をいろいろ張っていたし、勘のいい読者の方なら予想していたと思います。
僕なんかは企画段階から聞いていたし、ネームも見てるんですけど。でもやっぱり絵で見るとショッキングですね。
ナベ先生と常々言っているのが、どういう順番でアイディアを披露していくといいペースなのかという事で。
続編ということもあり、前作を一つ目安にしているのです。3巻末にサイザーが登場、4巻でパンドラが出て魔界軍側が描かれ、5巻冒頭でフルートの出自が明かされる。で、6巻で第2次スフォルツェンド大戦。
4巻のここでシェルの正体が明かされるのは、ペースとしては同じような感じではないかと。
ただ時代の変遷か、掲載誌が青年誌だからか、昔のようにのんびりギャグをやりながらコツコツ話を進めようとするといろいろ大変。よくナベ先生は頭を抱えているけれど。
頭抱えてるうちに現実逃避、「もうジャム工場で働く!」と嘆くのをなだめるのが僕の役目だったりするけれど。そして勝手に立ち直ってたりするんだけど(笑)。
でもこの人、信念変わらないなあと思うのです。
ペースを確認しようと思って前作の単行本を開いていたら、5巻にこんな作者コメント。まるで今書いたかのようだったので、引用。
よく「ハーメルの昔はどーだったの?」「ライエルとハーメルの子供の頃に何があったの?」「オーボゥの正体は?」「サイザーは、いったい?」と、いろいろ尋ねられます。謎が多くて申し訳ないです。
本当はいっぺんに全部教えたいぐらいです。
やりたいシーンはいっぱいあります。でも彼らは旅をしています。
まだ、それをするべき場所には着いてないんです。
辛くて長い旅かもしれないけど、いっしょに冒険してくれよな!
○ リアル 9 (井上雄彦 集英社)
この漫画はホントに難しいことにチャレンジしてるよなあ、と思いながら読んでました。
車椅子バスケという題材は難しい。障害という問題を避けて通れない。軽く扱うと安いお涙ちょうだいになるし、かといって重過ぎると読むのがつらい。
でも井上先生はそこをうまいこと読ませているからすごい。
そして。
主人公格が三人いて、さらに大変な描き方だなと思ってたんですけど。
もしかしたら高橋君が一番重要な主人公なのかもしれないと。
健常者で一番入りやすい読者視点の野宮、物語の始めから障害者で、車椅子バスケをやっていた戸川。
それに対して、事故で障害を負うところから描かれた高橋。一番難しい部分を引き受けている。
出来たことが出来なくなるという事は、どういう事なのか。厳しい現実。しかしその試練の中で、悪い事だけではなくいい事も起きる。人として少しずつだけど成長して。
そしてこの巻の最後。何も目標を見出せなくなっていた時、車椅子バスケを思い出す。
この伏線張ったの、1巻ですよ。長かったなー。そしてここから、どうするのかなー。
この漫画は本当に、今、この人じゃなければ描けない漫画だよなあと思います。次巻も楽しみ。
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