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2009/10/28

空ノ鐘の響く惑星で 8

こちらはめっきり寒いです。

去年はこの気温差にやられて何度か風邪ひいたので、警戒中。暖かくして仕事しております。

○ 空ノ鐘の響く惑星で 8 (渡瀬草一郎 電撃文庫)

タートムのアルセイフ侵攻が始まった。記憶消去処置の後遺症で自我を失ってしまったウルクを心配するフェリオだったが、王族の務めとして前線へと向かう。

国境の戦線では、開戦当初はアルセイフ側の時間稼ぎの策が功を奏していたが、タートムに仕える暗殺者シズヤ達の玄鳥による空中からの攻撃により戦況は一変、タートム軍の侵攻を抑えきれずにいた。王都まで攻め込まれる危険が増していた、その時……。

という事でこの巻で一エピソード一区切り。ウルクの失われた記憶も元に戻り、めでたしめでたし。

しかしその間にキャラクター達の思いをたっぷり積み上げているので、ここから先どうなるのか。ウルク、リセリナどちらもけなげないい子なので、落とし所が読めません。出た順で言うと、ウルクが先だから正ヒロインと断定できなくもないけれど、あれは子供の時の話で、一巻はほとんどリセリナの話だったし……。さてはて。

落とし所と言えば、この巻辺りから、リセリナを追ってきた来訪者イリスの立ち位置が変わっています。冷たく、リセリナ憎しで動いていたけれど、その奥底にはこんな事情があって、こういう弱い所があって、と。

敵役には、完璧なヒールの場合と、実はかわいそうな事情がある場合があります。分かりやすい勧善懲悪の物語だと前者ですが、ちょっと複雑なドラマになると後者が出てきます。

「もし立場が違えばお前とは分かり合えたかもしれない」とか、ちょっとかっこよかったり切なかったりなシーンに持ち込めるので、わりと人気なのですが、動かすのはけっこう難しい。何だかんだで悪事は働いているわけで、中途半端な御都合主義に陥りやすく。

上手く立ち位置を変えるのに成功した例としては、「未来少年コナン」のモンスリーが挙げられます。

最初出てきたときは完璧に悪役、コナンに対しても本気で殺すつもりで散々やってるし。あれはコナンが銃弾でも平気で避けられる無敵キャラだからいいけど、普通は死んでる。

だけど、途中レプカに反抗しコナンを助けるところで、見事に禊(みそぎ)をすませて味方に。あそこの演出は見事です。展開、演技、タイミング、細かいこと一つ欠けてもだめだと思う。前半の部下を叱責する「バカね」と最後のダイスにつぶやく「バカね」が、同一人物のものとは思えないぐらいで、ホントにすごい。

さて、イリスもモンスリーばりに、これまでまったくいい所がなかった。リセリナ憎しだけなら養父を殺されたという事情があるからいいとして、ウルクの記憶は奪うし、そのために部下の小さな女の子シアが罪悪感に押し潰されそうになっても知らん顔だし、実際の行動やセリフも実は根っこはいい子だなんて間違っても言えない悪人のパターン。

この印象を払拭して立ち位置変えるのか、それとも運命に翻弄された可哀想な人として散るのか、こちらもさてはて。

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