今週の雑感記 なだらかな山
仕事中、風邪がぶり返しました。今年の風邪はしつこいですね。
夜寝るころにちょっと咳き込むぐらいまで回復していたんだけど、ウイルスはこっそり潜んでいて、仕事が続いて疲れてきた頃に反攻してきた模様。おのれ。
他の人にもうつしてしまったかもしれない。ごめんなさい。
○ webに移籍
週刊少年サンデーで連載していた「呪法解禁!! ハイド&クローサー」と「GOLDEN★AGE」が、本誌からwebに移籍するそうです。
2作品とも、失礼ですが言ってしまうと、大人気で連載安泰という感じではなかったので、多分従来であればどこかで打ち切りだったんだろうなあと思うのですが。
ただ、現行の人気アンケートによる打ち切りシステムには、作品と一緒に少数派とはいえその作品が好きなお客さんをばっさり切り捨ててしまい、多数派の客層に絞り込んでしまうという欠点があるな、と僕は感じていて。
ビジネス的には、品揃えの良さというのは集客の大きなポイントなわけだし。
実際、ネット書店とか大規模書店では、ロングテール商品と呼ばれるちょっとずつ売れる本が、売り上げの中でけっこうな割合を占めているらしいし。
この2作品のように技術的にしっかりしていれば、ばっさばっさ切っちゃうのはもったいないよなと。
それにせっかく追っててオチが見れないんじゃ哀しいし。
そういうふうに考えると、今回のこの試みというのは、いろんな漫画が存在できる可能性を広げ品揃えを良くするという点で、いいことだと思います。他誌にも広がるといいな。
○ なだらかな山
こないだ仕事中にしていた話なのですが。
僕が学生の頃って、今ほど漫画雑誌が多くなくて。
そのために、漫画家になろうとしていた僕みたいな卵達の意識の中には、プロとアマチュアの間にはっきりとした壁があったよねと。
間仕切りというより、絶壁という感じの。アマチュアの住む裾野と、プロの住む天上界。テーブルマウンテンとか、ギアナ高地とか、そんな感じのイメージ。
それが雑誌が増えたり同人誌が盛んになったりネットが発達したりで、だんだん崩れてきた感があって。ここから上記の話題とも絡むのですが。
上の話題は山頂の方から崩した事例。載るか載らないかの二択しかなかったところに、第三の選択肢ができた。こういう事がいろいろ起きていって、さっきの山のイメージで言うと、富士山みたいななだらかな山になるのかなあと思うのです。
不特定の人に読んでもらうということが難しかった昔から、今ではwebで簡単にできるようになった。まずプロの土俵に上がることがとても難しかったのに、web上ではプロもアマも関係なく同じ土俵。
この間書いたように、今は産業革命以来の革命が起きていると思われ、きっといろいろな物が変わっていく時期で。創作の分野で考えると、今まではプロデューサーとか編集者とか、選ぶプロを自認する人達がふるい落としていたけど、直接お客さんの手にゆだねられる方向に行くんじゃないのかなと予想。
ただ、それで楽になるのかというとそうではなく、山のてっぺんは相変わらず高いし、競争相手が増えるってことは、まずふもとの樹海を抜けるのが大変で。
「不特定の人」を「不特定多数の人」にするのは、やっぱり一筋縄ではいかない難しい事なのです。がんばろう。
○ 紅牙のルビーウルフ 2 面影人魚
紅牙のルビーウルフ 3 西の春嵐 (淡路帆希富士見ファンタジア文庫)
神国グラディウスの女王となった、元盗賊の狼少女ルビーウルフ。彼女は今、騎士のジェイドと共にとなりの神国トライアンを訪問していた。そこでルビーは、創造神ロゥヴァースの本体と伝えられる古文書<全知の書>が見つかったと知らされる。
神国に散る神具の数々とともに、創造神を復活させると言い伝えられる<全知の書>。しかし、それを持ってきた少女キアラは、明らかに何かを隠しているようで……。
一途な想い、巨大な陰謀。真っ向勝負の冒険活劇は、読んでて心地よいのです。ルビーもまた気持ちいい性格だし。
そして強引にまとめるハッピーエンド。こういう感想をよく書いているような気がするけど、力づくなハッピーエンドはやっぱり好き。
続いて3巻。
開拓の下見にグラディウスの西域エインフェルにやって来た、ルビーと騎士のジェイド。領主ハリスの娘クラリッサは、ジェイドに好意を持ったようで、それがルビーにはどこか面白くない。
ある日、ジェイドとクラリッサは出かけたまま帰ってこなかった。馬だけが屋敷に戻ってきて、そこにはジェイドと共にグラディウスを出るというクラリッサの書き置き。まさか、駆け落ち? 動揺するルビー。しかしそれはルビーをとりまく計略の一環で……。
こちらは総じてハッピーとは行かず、悲哀のまま終わるエピソードもあり。
しかし最後は楽しく。盗賊団に育てられたルビーは色恋沙汰に疎く、真面目なジェイドはこの手のことにはニブチン。
周りにはもろバレなのに本人が自分の気持ちにも気がつかないというラブコメは、読んでて微笑ましくて楽しいですね。
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