あの日のボツのこと 3
という事で、最終回。
このネームには描きたいものがない。こんなことしてちゃ、いけない。それが僕の結論でした。
この企画の前に、もう一つ別の企画を持ち込んでいました。そちらの方もほぼ一発でOK。ただ、読み切りで載せるには、ページ制限があるから、あと2ページ削ってほしいという事でした。
実はこちらの作品には、描きたいものがあったのです。
自分で掴んだテーマがあって、出したい雰囲気があって。そういう時には話も進みます。読み切りの企画なのに、今後の展開、さらには最終回まで思いついてた(笑)。
なので、2ページとはいえ削りたくなかったのでした。もともとぎっちりコンパクトにまとまっていて、これ以上削るには、キャラクターを一人削るしかなかった。でもそれじゃ、話が変わって、描きたいものまで削れちゃう。
そこで僕は、別のを描くと言いました。それがこの企画です。
一発OKだったことで、コツをつかんだと思ったのが、気のせいではない事が分かっていました。自信満々です。
形にするための最低限の構成。入れるべきだとされている、期待される要素。ちょっと目を引くために、一つ変わった事をして……。
編集さんも驚く速さで、一本完成。そしてまたほぼ一発で通して。
絵柄でボツって冷や水浴びせられ、冷静になったのです。
この作品には、描きたい事がない。狙い通りに小手先のテクニックで通しただけだ。しかも絵柄を言われたから、そこも通りやすい絵柄を参考にして、小手先で変えることになるかもしれない。
それじゃ自分の好きなことが、何もない。
そんな仕事をしていたら、ただ辛いだけだ。子供のころから大好きで、だからこそ仕事にしてそればっかり描いていたいと思った漫画そのものを、嫌いになってしまうかもしれない。そんなことをしちゃいけない。
それに、キャラクターもかわいそうです。
描きたいものが特になく、ただテクニックで作った話でしたが、キャラクターには愛着が湧いていました。舞台に一本骨を通してやれば、ちゃんとした話になるはずです。
そう反省した僕は、目の前の物に飛びつくのをやめました。遠回りしてもいいから、描きたいものを描けるようにしようと思ったのです。
という事で、現在遠回り中。まだかかりそう。いや、すんなりゴールに着いてくれても、全然構わないんですけど(^^;;)
ただ、遠回りルートに乗ってから、漫画業界はいろいろ激震続き。絞り込みがますます厳しくなっているから、あそこで判断したのは、悪くなかったかも。
発掘したカットを見て、そんなことを思ってたのでした。
この子達も、そのうち、ちゃんとした話で描いてやりたいですね。
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