今週の雑感記 彼女はキュートな撲殺魔
間をおかずに仕事。疲労感を見て見ないふりな日々。
○ タマラセ 彼女はキュートな撲殺魔 (六塚光 角川スニーカー文庫)
タイトルが内容を的確に表していました。
魂裸醒(たまらせ)という、幽体を武器に転換する能力を持つヒロイン。その武器が敵を殴り倒すごっつい手甲。そんな彼女が、性格はとてもけなげで可愛らしいという設定。
ライトノベルをあまり読んでこなかったので、いろいろ読んでみるかと、最近集中的に読書中なのですが。
ライトノベルは他のジャンルの小説に比べ、漫画に似てキャラ立ての比重が大きいなと思います。そこで成否が分かれてる感じ。
こちらは成功例。夏月ちゃん可愛い。楽しく読めました。
○ 時載りリンネ! 1はじまりの本 (清野静 角川スニーカー文庫)
時載りという、本を糧に時間を停められる種族の女の子、リンネが主人公。生き生きと描写されています。
出だしで、おっ、と思いました。大きな設定や仕掛けのある話は、割りとそのまま大仰に始まる事が多いのですが。
身近な風景を書いて、ぽんとキャラクターを立ててます。使う言葉の選び方もいい感じ。ちょっと児童文学風。
○ はったり
上の「大きな設定や仕掛けのある話は、割りとそのまま大仰に始まる」に関連して。
要はガツンとはったりかますってことなんですが。
これを「読者の横っ面をひっぱたくような」と、表現した編集さんもいました。
作風的に苦手なんで、いつも苦労するんですよね。
これだけ物語があふれている現状では、とにかく目立って、無理矢理にでも読者を引っ張り込まないと、埋もれてしまいます。
漫画の現場ではかなりその部分に力を入れていますし、多分他のジャンルでもそうだろうなと、見ていて感じます。
ただ、近年、ぶっちゃけた話。
もともとゴリゴリと押しの強い話が特に好きなわけじゃない、という個人的な嗜好もあるんだけど。
出だしやクライマックスの、目立つはったりの所に力を入れ過ぎて、他がなおざり、山場までの道中がガタガタで、途中でけつまずいて見たり読んだりする気をなくす、みたいな物が増えているような気がします。
でかい出だし見ると、逆にハズレじゃないかと身構えるようになっちゃった(笑)。
漫画の不況とか、ハリウッドの不振とかに、この傾向の影響は皆無とは言えないと思うのですよ。
要は全部揃ってないとだめだ、という事なんですよね。僕みたいに、お客さんを引っ張り込む部分が苦手と言っててもだめだし、逆にはったりさえかましときゃいいって雑な作りになってもだめだし。
お客さんを招き入れて、飽きさせずストレスを感じさせず、どんどん先へ読み進ませて、たっぷり満足してもらって送り出す。
人を楽しませようと思ったら、いろいろ出来なくちゃいけないから大変です。
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