今週の雑感記 続々好きなものを描け
出してた企画、犬SFが滑り、しょんぼりな今週。
なるべく揺らがないようにしようと思うんだけど、どうしても揺らぐ。やっぱりボツは辛いよなあ……。
でも、それでも、切り替え、切り替え。闘い続けるためには、それが大切。それを2006年シーズン、レイソルに学んだのだ。
そんな中、刺激を得るための本読みは加速中。
○ 通りすがりのレイディ
カレンダー・ガール
逆恨みのネメシス
そして、星へ行く船 (新井素子 集英社)
続けて読んでました、「星へ行く船」の続編。
後書きによれば、二冊目の「通りすがりのレイディ」を書いてる時点で、全五巻の構成が出来上がっていたようです。
四、五巻が前後編になってるんですけど、そこでいきなり話がでっかくなるんで、びっくりしました。二、三巻が完結読み切りのように見せておいて、伏線に使われています。
そういう構想が実現できるのは、小説のいいところですね。漫画の今のシステムだと、かなり難しい。
それにしても、すごいエネルギーですよ、この本。
けっこう展開とか論旨の部分で、強引なところあるんですが。それに対して僕は、ネガティブな意見ではないのです。
だって、「強引」と「荒唐無稽」は、漫画のおはこだし。自分だってさんざんやって、むしろいかに強引にやるかが腕だね、と考えてるぐらいで。
こういうのって、細かい整合性とか、辻褄合わせよりも、エネルギーが大切だと思うんですよね。
いかに作者の言いたいことを出しきるか。どれだけの想いを込められるか。
隙がない作品を作るより、そっちが大切。それがエネルギーとして読者に伝わるので。細かいところを直すのは、熱伝導をよくするのが目的であるべきだ、と。
そんなこと考えてる僕が、この本を読んで。
すっげえ、エネルギーだな、と感じた次第。
登場人物に注ぐ愛情。
テーマをストレートに、余すところなく書き切ろうとする情熱。
そういうものが、文章からあふれ出してる。
実際それが伝わって、当時の中高生の読者に支持されて、人気だったんだろう、と思います。
ほんと、エネルギーこめないと。そのためには、揺らいでフラフラしてちゃ、だめだ。
そんな刺激を受けました。
○ 星虫 (岩本隆雄 ソノラマ文庫)
出だし、「宇宙飛行士になる夢を子供の時から追っているんだけど、みんなに笑われるのが嫌なので、それをおくびにも出さず、優等生を演じている主人公」を、僕は上手くつかめず、ちょっと入り込めなかったんですが、主人公の地が出てきたあたりから乗ってきて、そこから一気に読めました。
この作品も大きなテーマがあって、それを書き切るぞ、というエネルギーで動いています。人類の成長。種としての新たなステージへの脱皮。
しかし、僕が読み進めていたエネルギーは、「主人公の女の子と、最初嫌な奴だと思っていた男の子の恋の行方」でした。
美人の女性科学者とのただならぬ様子(実は姉弟)に、自分では自覚してないんだけど嫉妬して、むくれたりしてるんですよ。わくわく。
○ 続々 好きなものを描け
先週、「万難を排して好きなものを描け」とか書いてたら、ボツの知らせ。
ホントに万難がやって来た。タイムリー過ぎ(嘆)。まるで計ったかのよう。
まだ他にも審査中のがあるんだけど、「心の平穏のため、次弾装填をますます急がなければ。何書こう」と考えていたところ。
「面白くするためにどうするか」じゃなくて、「通すためにどうするか」を考えている自分に気付きました。
いかんいかん、揺らいでいる。切り替わってないよ、引きずってるよ。
これが万難のうちの一つ。己の弱さとの戦い。
そりゃ、通したいしね。通したら、受けたいしね。
でも、それに覆われてしまったら、それは媚び。好きでもないのに媚びて書いたら、エネルギーが足りなくて、ダメな物が出来てしまう。
好きなものが一個しかないって事はないんだから、好きなものの手持ちのカードを上手く組み合わせて、通り抜けなきゃ。
手持ちカードは、ちょっとほのぼのしたりとか、可愛かったりとか、楽しそうだったりとか。
あるいは切なかったりとか、ロマンだったりとか、ファイティングスピリットとか、あとは……。
どういう組み合わせだろう、と考え中。まず、どっちへ一歩、踏み出すか、だよな……。
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