今週の雑感記 星空から来た犬
フットサルで、体力の低下を実感。
運動不足。最近フットサル以外、ほとんど動いてないから。
もともと、テクニックよりも運動量のタイプなのに。これでは何も残らない(嘆)。
運動しよう。
○ 星空から来た犬 (ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 早川書房)
著者のジョーンズさんは、「ハウルの動く城」の原作「魔法使いハウルと火の悪魔」を書いた人です。
しかし、僕はそうと知らずに、タイトルで手に取りました。
だって、星空に、犬ですよ!(笑)
そして大当たり。
最初タイトルを見た時には、僕も犬型宇宙人の話を書いたので、同じことを考えた人がいたんだな、と思ったのですが。
この話はSFというよりファンタジー。星人と呼ばれる存在が出てきますが、宇宙人というよりは、星に宿る神様みたいな感じ。それぞれの星に宿ってて、いろんな仕事をしています。
主人公は大犬座のシリウスに宿る星人だったのですが、謀略に巻き込まれ、星人仲間の間で有罪とされ、その罰として、地球の生まれたての子犬の中に宿らされてしまうのです。
生まれたての子犬が、雑種だから売れないと、ひどいブリーダーの手によって殺されそうになり、なんとか助かって、心優しい女の子に救われ、だんだんと本来の自分を取り戻して……というお話。
犬の世界が丁寧に面白く書かれていて、それに大きな謎も絡んで目の離せない展開。引き込まれた僕は、一気に読み終えました。ホント面白かった。
さて、今年、児童書をよく読むようになって。
そこで思うのが、良い児童文学というのは、語り口は平易でも、けっこう難しいテーマを、ぽんと子供に投げかけるよなあ、という事。
この物語では、当時のイギリスの社会情勢が、織り込まれていました。
主人公を助けて飼い主となる少女のキャサリーンは、アイルランド人。お父さんがアイルランド独立活動に関わっていて、捕まっており、親戚の家に預けられています。
で、親戚がイギリス人で、ここの母親とか兄弟とかが、この子をすごいいじめている。近所の子も。理由はアイルランド人だから。
イギリスは長くアイルランドを支配下においていて、今でも北部はイギリスです。
そしてイギリス人の中には、そういう歴史のため、アイルランド人に対して優越感を抱いていて、バカにしている人がいるのです。
昔々、僕がクウェイトに住んでいた頃。
せっかく外国に暮らしているんだから、子供達に英語ぐらい身につけさせよう、と思ったウチの親は、イギリス人の家庭教師を雇いました。
ミス・ウェンディという若い女の先生は、英語さっぱりだった僕らに、色々な教材を用意して教えてくれていたのですが。
ある日。
その教材の中に、ちょっとしたジョーク集みたいなものがあり、その一文が。
どんなジョークだったかは忘れてしまいましたが、オチが「だってアイルランド人だからさ!」「はっはっは!」みたいなオチ。
何でおかしいのかさっぱり分からずにきょとんとしている僕を見て、ミス・ウェンディは悲しそうに、恥ずかしい事だけど、イギリス人にはアイルランド人を馬鹿にして笑う人がいるんだ、と教えてくれました。
わざわざヒロインをそういう設定にしたのは、作者にも思うところがあったのかなあと、あの時のウェンディ先生の顔を思い出して読んでました。
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