今週の雑感記 大悪党
大忙し中。
○ ロンドン 悪の系譜 スコットランド・ヤード (益子政史 北星堂書店)
資料読みは続いています。
その中で感銘を受けた部分。
- 人には公平に処すべし。ただしその公平とは、己に利益をもたらすために犠牲となる機会を与えてやる場合に限ってのことだ。
- 人を信じない。敵を断固許さない。復讐は手間ひまかけて根こそぎ行う。
- 人には尊厳をもって対処し、顔は友愛の微笑を絶やさず、心は憎悪で固め牙を研ぐ。
- 人間の本性は欲望の底なし沼の如し。この沼にひきずり込めば勝つ。
- すべての美徳は宝石と同じく贋造は易い。だが本物同様に身に纏うのがコツ。真贋を見分ける者はロンドン中に一人か二人いればよいくらい希だから。
- 無頼の道は極めてこそ意義深い。中途半端では後世に名が残らないばかりか、物笑いの種になるだけ。極道の意義付けくらい容易なことはないのだから。つまり社会善、困った人を助けることこそ、この道の奥義だ。ただしそれは表向きの理屈である。
- 真に求めるものは富と権勢だけである。
十八世紀、ロンドンを牛耳っていた悪の大ボス、ジョナサン・ワイルドの座右の銘。
素晴らしい。まさに大悪党。
今回調べているのは十九世紀で、時代は違うんだけど、こんな悪い奴を相手にお話作ったら、さぞ盛り上がるだろうなあ、とウキウキしました。
最近では敵の親玉は、心が病んでいる人というパターンが多いけど、やっぱりこういう性根から腐っている豪傑の方が、タフで手強そうでいいなあ。
現実世界では、いてほしくないですが(笑)。
○ ダレン・シャンⅩ 精霊の湖 (ダレン・シャン 小学館)
この物語はずっと、現代を舞台にしたファンタジーでしたが。
この巻は、異世界に飛ばされて、ハーキャット・マルズの正体を探るというお話。舞台から出てくる物から、どファンタジー。
前回で一つ大きなエピソードを消化して、仕切り直しなので、思い切って雰囲気変えてみた、という作戦かな、と思いつつ。
どファンタジーだと思って読んでいたら、最後がSFでびっくり。
物語は「面白い」という事だけが重要で、ジャンルとか型とか、知らず知らずのうちにはめ込まれている枠なんて、壊しちゃっていいんだよね、と共感。
○ 枠
知らず知らずのうちの枠、というのは、そこら中に溢れていると思います。身の回りでもよく見かけます。
ただ、「面白い」という事はどういう状態だろうと考えた時、その中には「意外性」が含まれていると考えられて。
枠にはまっちゃってると、そいつがなかなか出てこない。
気持ちが枠に囚われている中で、無理に意外性を出そうとすると、たいていの場合「突拍子もない(風に見える)展開」という手法に落ち着いて、やっぱり似た感じになってしまいます。
僕なんかはベタな展開好きだし、作風も派手さに欠けるので、「意外性のある感じ」とは、もともと遠いのですが。
枠に囚われた心を解き放って、最初のひらめきを大切にしていけば。
狙う終着点が独自のものになり、自然と、一見ベタなのに普通ではない表現、普通ではない展開になっていくんじゃないかなあ、と思っているのです。
それができる環境をどう作るかが、課題です。
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