日記・つぶやき2006

2006/12/31

2006年のかわせひろし

今年も終わることですし、2006年の自分を総括。

そらもう、今年と言ったらなんと言ったって、生涯初の打ち切り体験でしょう。

だいぶ経って落ち着いている今の感想としては。

マラソンのつもりで走っていて、さあ競技場を出るぞ、ここからだ! と意気込んでいたら、なんとびっくりトラック競技だった、という感じです。

当然それだけが打ち切りの原因ではなく、理想を言えば、それでも勝てちゃう力が欲しいところなんですが。

そんな圧倒的な実力を持ってるわけでもないのに、勘違いして一人違うレースしてたら、絶対勝てないべさ……。

その部分が、この事態で一番勉強になりましたね。

さて。

打ち切りの現場自体は、ナベ先生の所で一度体験済み。確かに嫌は嫌だし、気力の維持は困難だったけど、最後の頃には、もう勝手に続き描くつもりだったし、今にして思えば、最悪のメンタルコンディションというわけではなかった。

ITの発展により、昔と違って、個人が世に作品を発表すること自体は、困難ではない。単に気力の問題。そりゃ、お金にはならないし、知名度だって、埋もれちゃってさっぱり上がりませんが(笑)。

でもそれはそれで、まあ仕方ないねと割り切れる。

問題だったのはここからです。

7月に最終回の原稿が終わって、夏の間に単行本の作業をして、秋になってさあ次回作となった時。

自分の中に混乱を発見。

自分の一番信じてる描き方して、それで打ち切りという駄目出し出てるもんだから、判断基準を失ってしまっていた。

ホントは使える部分と使えない部分があるはずなのに、この描き方では結局全部駄目なんじゃないか、という疑心暗鬼。

打ち切りの一番の恐ろしさは、この次回作に及ぶネガティブな影響なのかもしれません。

描いても描いてもピントが合わず、周りの評判もガタガタで、このまま行ったら、マジでまずいぞ、と真っ青になったのが10月頃。

とにかく完全にリセットして、落ち着いて一から描ける状態にしないと精神的にまずい、とバタバタと動き回り、ようやく平静を取り戻したのでした。

色々な事を考えさせられた一年でしたが、最後に何とか、整理がつき。

激動の2006年も終わりを告げます。

それでは皆さん、良いお年を。

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2006/12/21

多忙の末

本日打ち合わせの予定。

素材を間に合わせるべく、てんてこ舞い。

そんな中、爆弾が爆発。

腰痛い……。

肩こり腰痛は、職業柄お友達。仕事している以上完治はなくて、騙し騙しでお付き合いなわけですが。

予防運動する暇なくて、根詰めてたら、悪化した。

痛くて寝付けない。思わぬ睡眠障害。

これだけ頑張ったんだから、打ち合わせで成果が欲しいところ。

本日の結果は、いかに(笑)。

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2006/10/08

キャラ立て

昨日書いた通り、オーバーヒート気味なので(笑)。

ここに書いてちょっと整理。

要するにキャラクターがきちっと立てば、終わりなんですけれども。

そこが一番難しい。

漫画では最初のキャラ立てが非常に重要です。

小説に比べた場合。当然絵で描いてあるので、キャラクターに感情移入しやすい。その分キャラクターがの良し悪しが、面白さの中で占める割合は大きくなる。

ところが、一冊の本の中に描けるエピソードの数は、漫画の方が、桁違いに少ない。となると必然的に、最初に出てきたシーン一発で、バシッと印象づけないといけない。

アニメやTVドラマのような映像作品と比べた場合。向こうさんも姿かたちが見えてる分、キャラクターに思い入れしやすい所は同じですが。

漫画は動かないし、音も出ない。興味を引く、という点では圧倒的に不利。演出としての不備があると、簡単に読者の集中力が切れちゃう。やっぱり最初、まだ読者が温まっていない時間帯(?)は、かなり気を使わないと駄目。

という事で最初のキャラ立てが、成否の鍵を握る。

「キャラクターを立てる」という言葉にも、考えなければいけないことがあって。

主に二つ、「目立たせる」という意味と「自立させる」という意味がある。

目立たせる、は分かり易く、「印象に残す」事で。キャラクターデザインで頑張ったりとか、面白い設定つけたりとか、口癖作ったりとか色々と。

ただ当然、目立ちやすい性格と、そうじゃない性格とがあって、そこんとこが難しい。

目立ちやすい性格、よくしゃべってよく動く活発なキャラの方が作るのは楽。ただ、そういう理由だけで設定しちゃうと、描ける話のバリエーションが制限されてしまう。

これはもう一つの意味が関係している。「自立する」ということ。作者の都合、話の都合から、キャラクターは独立していないと駄目。じゃないとそれは一つの人格ではなく、お人形。

また、人格として確立できると、作者としても、放っておいても勝手に動いてくれるので、後々凄い楽。

キャラクターが話の都合で動いてしまいやすい、一番よくあるケースは。

しょっぱな目立たせるため、人の迷惑顧みないぐらいの破天荒なキャラで立たせておいて、オチはいい話にしようとするケース。

昔目立ったパターンで言うと、ファンタジー漫画で。旅人の主人公が歩いていると、「助けてください!!」とヒロインがすがって来て。これを「ヤダ!!」と無碍もなく断る出だしで。

「めんどくさい」の「金よこせ」のと無茶を言って目立たせておいて、その後ヒロインの苦労話を聞いたとたん、コロッと同情、悪者を倒すという話。

前半と後半でキャラが変わっちゃっているから、説得力がない。同情したシーンが偽善に見える。そうなるとやっぱり読者に伝わらないから、結果出ない。

じゃあ、このパターンで成功させて、仕事になってた人はと言うと、実は一段高度なレベルで描いていて。

非常に近い所に1人、いるんですけれども(笑)。

ナベ先生はちゃんと意識して描いてたんですよ。

ハーメルの場合。実は最初一巻の間、いい話は一つもない。「ヒロインの苦労話を聞いて、コロッと同情したかと見せかけて、ギャグオチ」とか、そんなのばっかり(笑)。一巻最後の最後に、「あれっ? もしかして優しいのかな?」ぐらいのシーンがあるのみ。

二巻の真ん中でようやくフルートのことを気遣うけど、それもやっぱりギャグオチ付き。

凄い時間をかけて、こっそりこっそりシフトチェンジしている。話の都合でキャラクターを変えるのではなく、キャラクターに沿って話を転がす。

結果「昔々は素直ないい子だったのに、その後ひどい体験をしてすっかり性格捻じ曲がってしまったハーメルが、フルートの素直な心に触れて、ちょっと優しくなる」というお話が出来上がる。

成功していた人たちは、きっとそういう、「矛盾を成立させる気配り」をしていたはずです。

この漫画が乱立する戦国時代、目立たないとどうにもならないんだけど、そこでさらにいい話を描きたいのであれば。いや、結局自分が描きたいんですけど、いい話。そのためには。

「傍にいると迷惑だけど、根はいい奴なんだよな」という高度なキャラ立てをする。

「いい子だから目立ちづらい」のを、巧みな演出で無理矢理印象付ける。

「人間だからいい所も悪い所もあるんだよ。そんな奴でも駄目な自分を全肯定してるわけじゃなくて、ある日何かのきっかけで、頑張る事だってあるんだよ」という、難易度の高いストーリーテリングの技を見せる。

の三点が、代表的な解決策と思われます。三番は多分青年誌。今自分がやろうとしているのは、二番。

巧みな演出か……。思いつけば終わるのに……。

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2006/09/24

F-16

コメントの返事で飛行機の話をしたんですが、コメント欄には画像が貼れないので、こちらに。

お茶目なF-16君。

F16

よくシャークマウスのノーズアートがあるけれど、あれの代わりに可愛いつぶらな瞳を描けば出来上がり(笑)。

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2006/09/21

パンチラ

今月、たまたま同じ主題で、人と話す機会があったのです。

大雑把にまとめると、「無理に露出過剰にしたり、演出過剰にしたりしてサービスしてくれなくても、脇にちょこっとあるお色気でも十分なのに」という話。過剰演出があると、本筋が吹っ飛んじゃう。その辺のさじ加減。

で、そんな話をした後、藤子・F先生の「パーマン」を読んで。

藤子・F先生、意外にお色気ネタ多いんだよな。

しずかちゃんのお風呂シーンは有名だけど。パーマンでも。

「いつもなにげなくながめていたが…、あれはスミレちゃんのパンティだったんだね」とか、「パー子もう海水浴したの」「ハワイでね。スミレちゃんのお仕事についてったの。どうしてわかった?」「日やけしてるから。スカートの中まで」とか。

でも絵柄もあるし、ネーム的にも、本筋の邪魔にならないようになってるので、楽しいトッピングといった感じ。

これぐらいが好きだなあ。

エロ主題なら、当然もっと突っ走ってくれないと面白くないんだけど、そうじゃない話なら、これぐらいのトッピングがいい。

ただ、トッピングじゃ済まなくなりがちな事情、というのも分かってるのです。

これはまた別の人と話してて出てきたことなんだけど、エロネタに限らず、吸引力のあるネタに話がふっ飛ばされちゃう傾向は、どうしてもある。

話がネタを載せるための土台、みたいになってる場合が多々ある。とにかく今漫画はたくさんあって、その中で目立てないと、どうしようもないから。

でもそういう中で、主流派じゃないのかもしれないけど、お話そのもの、筋の起承転結を楽しみたい、というお客さんもいると思う。そういう人を取りこぼしているんじゃないか、という気もします。

自分も、筋がしっかりしててかつ楽しいトッピングが、という作品が好きな口なので、何とかそういう話にならんものかと、今苦闘しているのですが……。

藤子・F先生のネームは、抜群に上手いと思うのです。自分に出来るかな……。

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2006/09/05

まだ望みが?

格下げは「間違い」米科学者が批判、続く冥王星騒動

国際天文学連合(IAU)が冥王(めいおう)星を惑星から“格下げ”した定義を決定したことについて、米国の有力な惑星科学者、アラン・スターン博士が「明らかな間違い」と強く批判した。

米科学誌サイエンス電子版が1日、コメントを掲載した。スターン博士は本紙の取材にも応じ、「IAUの惑星定義は、技術的にも言語表現としても欠陥がある」と指摘。冥王星を発見した米国での反発は依然根強く、同誌は「冥王星を巡る争いは終わっていない」としている。

米国は今年1月、冥王星探査機「ニューホライゾンズ」を打ち上げた。スターン博士は探査計画のリーダー。博士ら米国の一部の惑星科学者は、決議に反対の意思を表明。署名活動を展開して数日間で300人以上の専門家の同意を得た。

読売新聞06/9/2

専門家にも味方がいた!!

ぜひ、何とかしてください!!

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2006/09/02

冥王星降格騒動記

冥王星がいきなり惑星ではなくなってしまった、今週。

大ピンチでした。

マジで漫画描く気力が、ガクーンと落ちた。

こりゃヤバイ、と本人が青くなるほどでした。

冥王星と漫画と何の関係が? と、変に聞こえることでしょう。ずいぶんこだわってるなと、おかしく思われているでしょうが。

ホントにまずかったんですよ。

僕は思い入れのあるなしで、モチベーションが大きく左右されるタイプの人間で。ある時とない時の振幅のでかさが、半端じゃない。

で、そんな僕は昔から、SF漫画が描きたくて仕方ないんだけど、これも宇宙ロマンに物凄く思い入れてるからで。

今回の事態は、自分にとっては、そこの部分に思い切り冷や水浴びせられたようなもので、それであんなに激高し、こんなに落ち込んでしまっているわけです。

そしてそれが漫画にも波及。

今まで僕は、結局、「好き」な物を「好き」に任せて描いて来た。それが。

「好き」に水を差された途端、すんごいモチベーションがダウン。冥王星降格と、自分の漫画と、全然関係ないじゃん! と自分に突っ込みながらも、描く気が急速にしぼんでいくのが手に取るように分かる。

アイディアが湧いてこない。

自分の漫画が色褪せて見える。

「太陽系を舞台に描こうと思ったけど、太陽系もなあ……」→「大体SF漫画も、ブームだったのは大昔で、今一生懸命描いても、それで仕事取るの有利になるわけじゃないしなあ……」→「大体漫画も……」

やばいです!!

何とか自分の中で整理しないと!!

ホントに描けなくなってしまう!!

というわけで、真剣に考えていた今週。

素人考えなので間違ってるかもしれませんが、今回の分類の仕方を大まかに整理すると。

昔々、宇宙に漂っていた、太陽系の元となった星間物質があって。

これが自分の引力でどんどん集まっていって、ガスの圧力が高まった結果、核融合が起きて、太陽が出来る。

この時余った星間物質は、太陽の周りを回りはじめ、その中で衝突合体を繰り返して、大きくなっていく。

この時あまり大きくならなかった物が、小惑星、今回の定義でsmall soler system bodiesとされた物。

で、そういうものがさらに衝突合体していって、原始惑星というべき、ちょっと大きな星になる。

このサイズの星がさらに衝突合体して、最終的にその軌道上の物質を全て飲み込むか、弾き飛ばすかして育ち切った星が、今回の定義で惑星。育ち切っていない星が、矮惑星。

大雑把だけど、こうして太陽系の進化と絡めて考えると、この分け方自体に異論はない。

僕が引っかかったのは。

衛星もこの文脈の中で考えることが出来て、例えば月は、昔々、原始地球がドカンと衝突した時に散らばった破片が集まって出来たものだ、という説が濃厚。

つまり地球と月は同じ起源を持っている。

他の衛星で言うと、例えば木星のガリレオ衛星なんかも、軌道要素等々考えると、同様に木星と一緒に出来た可能性が高い、と思われ。

それに対して木星には、それは後からどこかの小惑星を捕まえましたね、という衛星もたくさんある。

問題は。

分類上どのカテゴリーに「惑星」という名前を使うか、だったのです。

最初に出されてた案も、分け方としては、別にそんなに変わらない。違うのは、大分類として惑星にして、その下に新たなカテゴリーを作るか、小分類の所に惑星という名前を使うか、という事だけ。

人間は、哺乳類で、サル目ヒト科なわけですが、ワクセイ目にするのか、ワクセイ科にするのか、という事です。最初の提案だと、天体類ワクセイ目古典惑星科チキュウだったんですね。

衛星はこんなこと考えずに、何でもかんでもバンバン増やしていたから、当然惑星も大分類に使う名前なのだと思ってた。すでに小惑星という言葉があるからややこしいんだけど、それでもでかいのが見つかったら、有無も言わさず惑星になるんだと期待していた。

とすると、SFにあるような、惑星が何十個もあるような大恒星系に、この太陽系もなるかもしれない。

凄い!! かっこいい!! ぜひなって欲しい!! そこが僕の感じていた宇宙ロマン。

でもこの条件だと、もうなりそうにないんですよね……。だから物凄くガッカリしたわけです。

しかし、これをこのままほっとくと、前述してるように、ホントにやる気が萎えてしまうので。

ここからさらに考えた。

別に星自体が減ったわけじゃないんですよね。言葉のイメージの問題で。かっこいいイメージを汚された!! と怒ってたわけだから、そこを回復すればよい。

分類のレベルがずれちゃっている事を考えると、「衛星」と対になる単語が必要だ。

つまり、今自分に必要なのは、その単語。そのうちちゃんと決まるかもしれないけど、作中で使う、旧「惑星」に該当する言葉。勝手に作ったSF用語で構わなくて、むしろそれでかっこいい渋いの思いついたら万々歳。

エンタープライズ号が未知の星系を探査しに来て、とりあえず星系全体をスキャンした時に、恒星を回る天体を指して使う単語。惑星か矮惑星かは、軌道を確定しないと分類できないからね。

何がいいかなー。

……と、どん底までモチベーション落ち込んで、ようやく上がってきた今週。三日ぐらい掛かった。つくづく厄介な人だよ(笑)。

でも漫画家なんて、ある意味、夢と妄想を形にする仕事。思い入れを無くしたらやってられない。マジで品質に影響するので。

常にワクワクしながら描けるように、コンディション整えるのも大切だと思うんですよ。

それが例え、言葉のイメージが悪くなってガッカリ! という、一見おかしな話だとしても(笑)。

というわけでじたばたしていた、冥王星降格騒動記でした。

参考:

激高してた記事

そして落ち込んだ記事

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2006/08/29

減っちゃった……

出先でこのニュースを知り、心底ガッカリ……。

減らすなんて……。

冥王星が惑星から除外

プラハで開かれている国際天文学連合(IAU)の総会は24日、従来の太陽系惑星9個から冥王星を除外し、水星から海王星までの8個とする新しい定義の決議案を出席者の賛成多数で可決した。冥王星は他の8惑星より格段に小さい上、軌道が傾いていることなどが決め手になった。“第9惑星”が格下げされる歴史的決定で、教科書の書き換えなど多方面に影響が及びそうだ。

共同通信06/8/24

この間記事書いたときには、かなりエキサイトしておりました。一応推敲したけれど、やっぱりエキサイト収まらずの間でしたので、あんまり意味無し。かつそのまま遠征に出かけてしまい。

結果、言葉足らずになっていたりする部分があるので、訂正。

「8個にする科学的根拠がない」は間違いですね。まさにそれをこの総会で決めたんだから。

それよりも、「合理的根拠」「論理的根拠」とした方が、自分の気持ちにはしっくり来る。

惑星、planetという名詞は、元々惑星が背景の恒星に対して、あっちにフラフラこっちにフラフラと、不思議な動き方をしている様から付いたわけで。

これは惑星が、地球と一緒に太陽の周りを公転しているから起きる現象。だから惑星の定義に、「恒星の周りを公転している天体」が入るのは、論理的。

でも他は、なんか後付けに見える。新天体を惑星にさせないために、ここで区切っとこう、というような。

帰ってきてから色々と、事態の推移とか新しい惑星の定義とか調べましたが、やっぱり以下の部分が腑に落ちない。

何故、惑星がどんどん増えていく定義では、いけなかったのか。

惑星が安売りされないことが重要、という意識があるようにしか見えないが、でも衛星はすんごい安売りしている。結局気持ち一つで、どうにでもいじれる部分じゃないのか。

極小の衛星に対する違和感は、ほんとに自分が昔感じたもので。どんどん新衛星が見つかって、最初はウキウキしてたんだけど、そのうちこれも星なの? と、子供心に思ったのです。実は今でも続いてる。だって、手賀沼よりちっちゃい衛星って……。

けれどそれを、そうか、「星の王子様」の世界じゃないか! と子供心に納得することにしたのですが。

惑星になったとたんにこの騒動。

なんかそういう、自分のとこ(惑星)は特別! という感覚が、物凄く嫌なんですよ。人種差別ならぬ「星差別」ですよ。

後。こっちを先に訴えないと駄目だったな、と思うんですが。エキサイトしてたわけ。

夢とロマンを曇らさないで!!

僕は科学の存在意義の中には、ドキドキワクワクさせる事、というのが入っていると思うんですよ。

知的好奇心と想像力は、人間をただの動物ではなく、人たらしめている重要な要素だと思うから。

だからそこを追及する科学には、文化としての存在意義がある。

ぶっちゃけた話、最新の天文学なんて、実生活からどんどん乖離して行ってて、知っててもさっぱり役に立たないじゃないですか。

まだ、科学じゃなくなった占星術の方が役立ってる。

僕は、すぐに役立つ応用研究こそが重要で、基礎研究を疎かにしてもいい、とは思ってません。でもねー、そういう基礎的な学問のうち、天文学はかなり「役立たない度」高いと思うんですよね。

全体の8割がたは、当分のところ(しかもこの「当分」は千年単位のSF的スケールで)、社会に還元されないんじゃないだろうか。

だからせめて、文化的存在意義を感じさせて欲しい。その一点で、僕は科学を擁護しているのです。

ドキドキワクワクさせてくれー!!

でも今回の定義は、一般人には余計ややこしくなっただけで。イメージ悪いし。で、説明聞いても、やっぱり腑に落ちないし。

なんかげっそり。

僕は夢とロマンに恋焦がれ、それを追っかけているうちに、こんな仕事に就いちゃった人間なわけですから。

このダメージはかなりでかかった。

こないだまで、ちょくちょく「没ネームを使って絵の練習」という話題が出てましたが。あれはこちらの「キャプテン・ラッキー」。

子供の頃「キャプテン・フューチャー」が大好きだったので、ああいう太陽系を舞台にした冒険漫画が描きたい、と思って始めた漫画。

あんな荒唐無稽な話は今の時代やりづらいけど、代わりに知識が増えた分、描ける事もあるわけで。

メタンの霧雨に煙るタイタンとか、エウロパの海とか。

でも。

実はちまちま描き始めてたんだけど、一気に萎えた。

だって太陽系、しょぼくなっちゃったからさ……。

やる気帰ってくるかなあ……。

あーあ……。

後日談:立ち直るまでのひと騒動。

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2006/08/24

減らすなんて馬鹿げてる

太陽系惑星、今度は8個

国際天文学連合(IAU)は22日、先に公表した太陽系惑星を12個にする原案を修正し、今度は従来の9個から冥王星を除いた8個に削減して採決する方向で最終調整に入った。プラハで開会中の同連合総会に出席している天文学者から異論が続出。原案修正を余儀なくされたという。総会最終日の24日、出席者の投票で採決し、決着は日本時間25日未明にずれ込む見通し。

共同通信06/8/23

8個にする科学的根拠が全然無いだろう!!!

このニュースを聞いて、マジでガッカリ。

やっちまったよ……。

ばっかだなあ……。

確かに12個にする案も、苦しい妥協が入っていたけど。まだ科学的に頑張ってた。

ぶっちゃけ惑星が8個になる理由は、西洋人の中にある、「神様が世界を御造りになられたんだから、世界は立派なはずだ」感によるだけじゃないか。

ちっちゃいとだめ、いびつだとだめ、楕円軌道じゃだめ。

人様が住む地球と同属である惑星は、立派でスペシャルで当然だからだ。

円や球は、完璧なのだ!!

いつの時代の人ですか……。

8個に戻すなんて、19世紀に逆戻りだ。

大体冥王星を惑星に容れない根拠に、小さい事、楕円軌道を描いている事、黄道面から外れている事が挙げられてるけど。

衛星はなんでありなのか。

冥王星は確かに小さい。月よりも小さい。離心率約0.25の楕円軌道。黄道面に対して17度以上傾いている。これは今まで惑星と呼ばれていたグループの中では、確かに異質。

でも衛星なんて、ちっちゃいのごろごろある。木星の衛星は60個以上なんて言ってるけど、その半分以上はちっちゃいいびつな岩の固まり。

海王星の衛星ネレイドなんて、離心率0.75、軌道傾斜も25度以上。KBOが海王星に捕まった疑い濃厚だけど、これは不問。

恒星の周りを回る天体は、これは惑星、これは小惑星、これはKBOと一生懸命分類してるけど、何故衛星は十羽一絡げでいいのか、科学的説明は出来るのか。

遠い将来、他の恒星を回る系外惑星が、今みたいに恒星のすぐそばのだけじゃなく、ずっと離れた小さいのまで見つけられるようになった時。

他の星の惑星もそうやって分類する気なのか。

結局今まで観測技術が十分発達していなかったから見つからなかっただけで、太陽の周りを回る比較的大きい天体なんて、きっとこの先ごろごろ見つかる。

オールト雲まで調べ上げれば、100や200はあるかもしれない。

その中には、たまたまなんとなく丸くて、一応軌道を占有している、でも冥王星より小さい天体があるかもしれない。

その時はまた、八惑星の立場を守るために、細かい定義をいじって苦しい説明をする気なのか。

衛星は、それこそ最初に見つかったガリレオ衛星以外の小さい天体が、惑星探査機等々の新たな観測技術で見つかった時も、ただ惑星の周りを公転しているという一点のみで、ちゃんと衛星として認めたのに。

これは天動説の残滓だ。

新たな知見によって、今までの学説に誤りが見つかった時、それを正すのは科学者の務めなはずだ。

最後の採択で科学的理性が勝つことを望みます。

追記:すいません、かなりカッカ来てました。

採択後落ち着いてから書いた分。

何とか立ち直った分。

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2006/08/22

ハウルで雑談

フットサルの練習に行った日、終わったあと世間話していて、「ハウル」は面白いか、という話題になったですよ。

面白いと言う人と、面白くないと言う人で意見が割れて。

ネットで見ても意見割れてますよね。

面白いかどうかっていうのは、こういう仕事してたら、もう究極の命題だから、よく考えるし、人とも話すんですが。

結局思うのは。

「面白いかどうか」が問題なんじゃなくて、その前に「面白いとは何か、どういう状態が面白いのか」がポイントだな、と。

じゃあ「面白いと思っている状態」とは。

何か興味を惹かれるものがあって、ちょっと覗いてみたところ、次々と惹かれるものが出てくるので、飽きずにずーっとそれに集中できている状態、という事ではないか。

で、この「興味を惹かれるもの」が、人によって千差万別。ポイントも違うし、どれぐらい惹かれるか、というのも違う。だから、意見が割れる事態が出てくるのではないか、と思うわけです。

で、この日の話題で言うと。

大雑把にまとめると、面白いと言ってる人は「演出が面白い」と思っていて、面白くなかった人は、「ちゃんとつながってないから、何考えてるのか、何言いたいのかさっぱり分からない」と思ってる。

物を見る時、どっちの面を重視しているか、で感じ方が変わってくるわけですね。

ちなみにこのメンバー、トトロの評価は逆になってました。前者の人は「まあ面白いけど、世間で騒ぐほど?」ぐらいのテンションで、後者は「何言ってんだ! 傑作じゃないか!」と。見事なぐらいです(笑)。

というように、面白いポイントは人によって違うから、本当に全ての人を楽しませるというのは、難しいんですが。

ただ、ある程度の長さのある物語の場合、面白ポイントを一つしか作れない、という事はなく。

「笑いあり涙ありの大冒険」とか、色々組み合わせられるし、うまくやると相乗効果も得られるし。

そういう面白い要素の組み合わせと、それぞれについての作り込みが、なるべく多くの人に楽しんでもらうための要点なんではないか、と思うのです。

そこで、どういうポイントを攻めるべきか、どの組み合わせがよいのかと、先日から頭を悩ませているわけですね。

さらに単純においしいとこ取りじゃだめ。テーマだけ御立派でもだめ。

要素はあるけど作り込みが甘い、という状態では、そのポイントがツボのお客さんは満足できないから、「つまらない!」という騒ぎになる。多方面にサービスしたつもりが、お客の取りこぼしが発生してしまい、やってても意味無い。

その要素を描き切る能力が自分にあるかどうか、という事も考えてかなきゃいけないから、物語を作るというのは難しいなと思う今日この頃です。

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