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2006/10/24

宇宙怪獣ラモックス

「ラモックス ザ・スタービースト」(ロバート・A・ハインライン 1954年 創元SF文庫)を読みました。

「宇宙怪獣ラモックス」というのは、この本の前に子供向けに翻訳された物の邦題。「宇宙怪獣」という言葉の響きが素敵だったのに、全訳になったら取れちゃった……けど、もともとのタイトルは「THE STAR BEAST」なので、しょうがない(笑)。

昔初めて「スタートレック」を手に取ったのは、邦題の「宇宙大作戦」に心惹かれたから。ちなみに「宇宙の戦士」も同じ理由。「宇宙」に弱いのは、昔から変わらないようで。

でもそんなきっかけでも、読んだら物凄く面白かったので、大満足。

この本もそうでした。

訳者の大森望さんはあとがきで、「ハインラインの数あるSFの中でも五本の指に入る傑作」と書いています。

ちゃんと数えてないから、ホントに五本に入るかどうかは確かじゃないけれど、少なくとも候補に入るのは確実。ホントに傑作。

SFの魅力の一つに、壮大なスケール感というものがあると思うんですが。

初っ端からドカーンとハッタリかます場合もあれば、身近な所からどんどん転がってでかい話になっていく場合もあり。

この作品は後者です。主人公ジョンの家で飼ってる、宇宙から連れてきたペットのラモックス。ちょっとしたおいたが事の発端で、話がどんどんでかくなり、とうとう地球が大ピンチに。

読者に近い所からスタートしているので、すんなり入り込めて、どんどん転がっていく話に引き込まれ、最後はSFの醍醐味、宇宙を股にかける巨大スケールを堪能できる。

ハインライン氏は子供向けジュブナイルシリーズを書いていて、これもその中の一品なんですが。

子供向けと言いながら、特に手加減して書いている風ではなく、大人も十分楽しめる。というより、言われないと、そういうシリーズだったことに気付かない。

ただ、この「身近な所から始める」という構成は、子供を気にした結果なのかな、と思います。

全部読んだわけじゃないけど、まず子供が主人公で、その子の周辺の生活から話がスタート、というパターンが多いような気がする。

これは子供に対してのみ通用する構成というよりは、とっつき易さを生み出す構成です。いきなりガツンと驚かすと、大喜びしてくれるマニアな読者がいる反面、読み慣れない人は引いちゃうから。

ハリー・ポッターなんかも、特にファンタジー好きというわけではない読者も獲得して、あの大成功なんだけど、この構成。身近なイギリスの普通の町からスタートして、不思議の世界へいざなう。そういう心の配り方は、漫画でも参考になると思うのです。

……という話は、読み終わって落ち着いてから考えた事で。とにかくすんなり引っ張り込まれちゃってるから、ドキドキしながら最後まで読めました。

満腹です。

最後のオチがまた、ひねりが効いてて、いい感じ。

2011.4.7追記:現在ハインラインジュブナイルシリーズ読破計画実行中で、発行順に読んでいて再読。やっぱりすごく面白い。

筋立てもいいんですけど、キャラクターもいいですねー。ちょっととぼけたかわいいラモックス、一途で素直なジョン、ジョンのガールフレンドで大人を手玉に取る口の達者なベティ、百戦錬磨の宙務省常任次官キク氏……。

SFって、書かれた当時の評価には、アイディアの斬新さが評価項目の中で大きな比重を占めているけど、古くなるとその部分は薄れちゃう。そうなると面白いかどうかは、やっぱりキャラクターと話の転がし方にかかってくるよなあと思ったのでした。

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