夏への扉
ハインラインの代表作といえば、これを挙げている場合が多いですね。
「夏への扉」(ロバート・A・ハインライン、1957年)
ハインライン氏の魅力は、SFらしいスケールのでかい物語の構成と、そこに登場する人物の人間臭さ。
特にオイラは後者をアピール。他の作品のレビューでも書いてますけど。
スケールでかいのは、確かにSFの魅力の一つで、ウキウキします。SFファンの人は、そういう所に惹かれるんだと思うのですが。
スケールでかくて、テーマも難しくて、脳みそシェイクされて沸騰寸前になるような、「SFらしい」お話は、その難解さゆえ、敬遠されてしまう場合もあり。
その場合大切なのが、キャラクターの魅力。感情移入できるかどうか。
感情移入してもらえれば、そこへの興味で、多少難しい話でも引っ張れる。
この作品の主人公、ダン・デイビス氏も人間味たっぷりです。何しろ、恋人に騙されてふられて、失意のあまり飲んだくれてる所から、話がスタートしています(笑)。
そしてやけくそになって冷凍睡眠を申し込んだり、騙した相手を罵倒してやらなきゃ気が済まないと、出かけていったり。うんうん、気持ちはよく分かる。
で、ここから話がどんどん膨らんでいく。思わぬ事態が起きてみたり、謎の伏線が張ってあったり。一度感情移入してしまうと、今度はこのスケールのでかい構成が、更なる効果を生むのです。いったい、ダンはどうなってしまうのか?
読み始めたら止まらない。何気に手にとって、明け方までかかって一気に読んだ。おかげで読んだ日は寝不足になりました(笑)。
そういう筆力が、50年(!)たっても面白く読ませるんだと思います。
代表作という評判にたがわぬ名作です。興味がおありな方は、ぜひどうぞ。
10/11/29追記:久々に読んで、やっぱり面白かったです。
最近身近で見かけるようになったので、ダンの出世作、自動掃除機・文化女中器(ハイヤード・ガール)の説明のところで、僕の脳内ではルンバくんが動いてました。
ルンバを作った会社はiRobot社ですが、やっぱりアシモフの「I,Robot」(僕の邦題のイメージはやっぱり「われはロボット」)から来てるんでしょうか。
「夏への扉」の新装版と、「われはロボット」、続編「ロボットの時代」。
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