風と木の詩
「風と木の詩 竹宮惠子」で検索かかってたので、書いてみようかな、と。
「風と木の詩」は、竹宮先生の代表作の一つです。竹宮先生の作品群には、大きく大別して二つの傾向があって。
一つは、「地球へ…」に代表される、SFやファンタジーの大河ドラマ。
もう一つが、この作品に代表されるもの。
ぶっちゃけ、ホモですよ!
ぶっちゃけると好きな人に怒られるかもしれないから、補足すると。
「お耽美」「やおい」「ボーイズラブ」と、呼び方変わっていきましたが、その流れを作った先駆者なのです。「美しい少年愛」というテーマを、漫画に持ち込んだ人なんですね。
このテーマは女性読者に物凄く魅力的なようで、これ以降連綿と受け継がれているわけですが。
基本的に男性にはちょっと……。そのけがある人なら、行けるかもしれませんが……。
特に女性読者が心惹かれているのは、少年の持つ脆さ、はかなさ、そして純粋さ、だと思われます。ガラス細工のように繊細で壊れやすく、大切にそっと触れてあげなければいけない、ピュアで美しいもの……。
幻想です…。
元少年の立場から言わせて貰えば、そんなきれいなものじゃなくて、ガキだったし、くだらない事考えてたし……。これは世の多くの元少年の方々に、賛同してもらえると思います(笑)。
でも幻想なんだけど、こき下ろす気は無いのです。だって、男にも同じような、「少女幻想」があるからね(笑)。
少年や少女が、凄いきれいなものに見えるのは、結局自分がその年頃だった時、気になる異性が何考えているのか、まだ人生経験が少なく洞察力に乏しい状態では、量りかねていたからだと思います。
相手の内面が分からず、遠い状態だから、憧れが募って美化されていく。
そういう実体の無い抽象的なものに、形を与えて、そのニュアンスまで表現できるのも、漫画のよさの一つではないかな、と思います。
ですが、個人的にこの漫画を取り上げて、訴えたかったのは、別のポイント。この漫画で凄いな、と思うのは。
読めちゃうことです。
妹が借りてきたんで、読んだ事があるのです。一気に最後まで、読めた。
元来興味のないテーマです。ジルベールの持つはかなげな魅力も、さっぱりピンと来ません。なのに、結構面白く読めちゃう。最後には「ジルベールって、なんか可哀想なやつだったなあ」という感想まで持っちゃうし。
テーマに興味なく、主人公にも興味ない状態で、これだけの大作を読ませちゃうのは、物凄い力量だと思うのです。
この「読ませる」という能力は、結構軽視されがちですが、大ヒット作には大概備わっていて。
好きな人だけが読んで、そのジャンル内でのみ評価されるか、興味ない人まで引っ張り込んで裾野を広げて、大きな流れを作れるかの分岐点。
新しいジャンルを確立することが出来たのは、そういう能力があったからだと思います。そういうところを尊敬。
描き手として、自分もそういう力を持てるようになりたい、と願っているのです。
同様のパターンで、萩尾望都先生もいます。やはり同時期に、こういうジャンルを確立した人です。このジャンル以外にSFも描いていて、それをオイラが好きなのも同様(笑)。
そちらもそのうちに。
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