エデン2185
「私を月まで連れてって!」を紹介した時に、そのうち書くと言いながら、のびのびに。
この漫画は自分のバイブルの一つなのです。「エデン2185」(竹宮恵子著。小学館1985年)
高校生の頃でした。何気に本屋で見かけて手に取ったのです。どれどれと中を読み出して……。
一気に最後まで立ち読み。(←こら)
と言うか、物凄い衝撃だったのですよ。あっという間に引っ張り込まれて、頭の中が真っ白に。どうやって家にたどり着いたのか、よく覚えていないし。
何に、そんなに衝撃受けたのか。
何で、バイブルと言い切っちゃうのか、と申しますと。
SF読みだったから、ネタにはビックリしなかったのです。人類初の多世代移民船の話。
アインシュタインの相対性原理により、お隣の星まで行くのが一苦労になったSFでは、片やワープ航法という、光より速い飛び方を発明し、片やこのような。
行くのに100年かかるなら、もう街ごと飛ばしてしまえ、という船のアイディアを出した。孫が目的地に着けばいいんだ! という発想。
で、まあこれはよく見かけるアイディアなので、取り立てて新鮮さは無く。そういうSFも読んだ事あったし。
そう。そういうSFを「小説で」読んでいたから、衝撃だったのです。
描き方が、まるっきり違う。
というより、これを読んで、小説と漫画の違いが、はっきりと意識できた。
小説は物語を文章で表現するので、舞台の設定とか、物語の論旨を説明するのが得意です。
例えばDEATH NOTEが、一週間分かけて一生懸命説明したトリックも、普通のサスペンス小説なら、ものの2、3ページに収まるはずです。しかもみんな何となく、読み飛ばしてるでしょ?(笑)
それに対して漫画は、絵で表現しているので、情緒や雰囲気、ニュアンスといった物を表現するのが得意。
「凄い一撃が入った」と文章で書いても、「凄い」がどれくらいか、伝えるのは大変。
「少女は過去との決別を決意した。草原にはさわやかな風が吹いていた」絵で描けば、決意がどんな感じのものなのか、強い決意なのか、諦め気味なのか、草原を吹く風はどんな感じなのか、ニュアンスまで、ひとコマでぽんと表現できる。
この漫画には、そういうものがぎっしり詰まってた。
小説であれば、ともすれば設定に引っ張られて、作中に起きた事件だけが描かれてしまいかねない。それはそれでハラハラドキドキして、面白いんだけど。
多世代船という、特殊な環境に住む人たちの生活感。目的地にかける思い。自分達はその礎になるのだ、という決意と、それと裏腹な寂寥感。立場の違いで、すれ違っていく人々の気持ち。そしてそれを乗り越える感動……。
これが漫画なんだという、衝撃的な出会いだったのです。
もう一つ、自分がそれだけ衝撃を受けたのには、自分のタイプが元々そうだった、というのもあると思います。それも強烈に自覚できました。
自分は物語を見るときに、登場人物の気持ちを追っかけながら、読んでいる。
少女漫画をよく読むのも、恋愛物を読んでるんじゃなくて、女性作家の方が、登場人物の内面を描こうとする人が多いから。そういうコメディとか、冒険物を探して読んでる。
少年漫画でも、好きなのは熱血漫画のように、クライマックスでドカーンと気持ちが爆発する物。
じゃあ、自分の描く漫画も、そういうものだ、と。
そこまで感じさせてくれたので、この漫画はバイブルなのです。
もう絶版になってしまっていますが、「竹宮惠子SF短編集(3)『殺意の底』」に収録されていますので、そちらで入手可能です。と言うか、中のエピソードの一つが『殺意の底』で、ほぼ丸ごと「エデン2185」です。「ほぼ」なのは、冒頭に、元になった「私を月まで連れてって!」のエピソードも収録されているから。むしろお得なおまけ付き(笑)。
興味を持たれた方は、ぜひ。
ショック!! せっかく紹介したのに、サイドバーに貼る画像がない!!
訂正:06/9/24
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コメント
ひろしさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございます。
「渇きの海」も、お好きなようなので、最近出た、「天涯の砦」(小川一水 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)も宇宙空間で事故が起こって、サバイバルする物語なので、お薦めします。
投稿: URU | 2006/10/02 01:18
わざわざありがとうございます。
早速買ってみました。楽しみです。
投稿: ひろし | 2006/10/02 14:20