パッケージとしての漫画雑誌① 漫画雑誌定食論
漫画雑誌の売り上げと、単行本の売り上げが逆転した、という話を伝え聞きました。
感想は。
むべなるかな。
だって、雑誌、つまんないし。
買うと損したような気分になる雑誌って、あるよね?
ちょっと過激に煽ってみました(笑)。
前から、気になってたんですよ。
単行本は、それが欲しくて買うわけだから、買えば100%、隅々まで楽しめる。それに対して、雑誌は、漫画のセット販売だから、いらないページがある。
単行本一冊400円として、週刊少年誌で例えると、一回当り40円。という事は、6本以上楽しめる作品がないと、買って損した計算になる。
自分のとこで例えた方がいい? 単行本が390円で、雑誌が480円だと、大体8、9本。月刊誌はこれぐらいの計算になるはず。
まあ、実際こんなこと考えながら買う人はいないでしょうけど。どうしても単行本まで待てない、大好きな漫画があれば買うわけだし。作家としては、そういう漫画を描くことを目指さなくてはいけないし。
でも買ったからには、ちょこっと読んだらもう読むとこない、という事態は避けたいのが、人情だと思います。
そうすると、立ち読みで済ませて単行本を買おう、という発想になるわけで。
実際のところ、売り上げに大きく貢献するのは単行本だから、単行本が売れてればいい、という考え方もあるでしょうが。でもまずいのが。
売れ筋作品は話題になるから、口コミで評判が広がって、新たなお客さんが来てくれるけど、それが期待出来ない中堅から下。
雑誌を読んでくれてれば、目当てのヒット作を読んだ後、ついでにそういうのにも目を通してくれて、中には買ってくれるお客さんも期待できる。そこからスタートして、ヒット作になる漫画もあるでしょう。波及効果がありますが。
立ち読みじゃ、隅々までは見てくれない。だから単行本も、目当てを買ってお終いになってしまう。全体としてはしぼんでいく。
実際単行本も、大ヒットはいいけど、中ヒット、小ヒットが苦しくなってる。
何でこんなことになってるか、原因はいろいろあると思うけど、その中の一つとして考えられるのが。
作り方、品揃えの仕方に問題が。
雑誌全体が、読み物としてパッケージになってない。
だから、買ったとき、お得な感じがない。
この感覚を人に説明する時、セット販売という事で、よく定食に例えます。これがタイトルの由来(笑)。
定食で何を食べるかの判断基準になるのは、メインディッシュのおかずです。ハンバーグ定食にするか、しょうが焼き定食にするか、焼き魚定食にするか。
で、ハンバーグが人気だ、となった時。じゃあ人気があるなら、それで攻めよう、となって、定食の盆の上に、ハンバーグが5皿、というのはありえない。かつそれに旨いやつからまずいやつまで、出来栄えに差があったりしたら?
外の惣菜コーナーで、一番おいしい目当てのハンバーグだけ買って、ご飯は家で炊くなり、コンビニで買うなりするでしょう。
そういう状態になってる雑誌は、確かにある。
確かにハンバーグが人気メニューなのかもしれない。「白メシだけ下さい」とか「味噌汁だけ下さい」とかいうお客さんは、いないかもしれない。
でもおいしいご飯や味噌汁、ついでに小鉢とかお新香とかは、定食には必須だ。
雑誌も読み物として、丸々楽しむためには、いろいろ取り揃えてないといけない、と思うんですが。
現状だと、「売れ線ではないが技術的にはしっかりしていて、読める漫画」と「売れ線だけれど技術的にはちょっとアレで、読みづらい漫画」があった場合、売れ線が載っちゃう。だからラインナップがどこか似てきて、揃ってきてしまう。
バトル漫画ばっかりになってる少年漫画とか、セックス絡みの恋愛ばかりになってる少女漫画とかは、悪循環に陥ってると思います。
この発想でずっと、ジリジリと後退戦を強いられているわけだから、そろそろ発想の転換をしないと止まらないだろう、と思うのですが……。
明日は、「パッケージとしての漫画雑誌」その2。
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