眞鍋かをりのココだけの話
「眞鍋かをりのココだけの話」(眞鍋かをり著。インフォバーン)を読みました。
気になっていたのです。最近見かけるこの流れ。ウェブ上で発表されてたものが支持されて、出版されるという。「電車男」もこれのうち…だよね? 小説なんかもあるようで。
そんな時、いつも拝見しているブログが本になるというので、どんな感じになるのだろうと。昨日記事にしました、「たのしい犬生活」と一緒に購入。
何で気にしてるのかと言うと。まあ自分も一応漫画家で、出版業界、エンターテイメント業界の末席に位置してるわけで。そこから眺めていて思うことが。
企画から力入れて外さないように力めば力むほど、つまらなくなってしまうという事態がある、と思うのです。面白さのうちに新鮮さとか個性とかがあるから。でも人がたくさん集まって知恵をめぐらすと、そういうものが消えていく。思い切りが悪くなる。
漫画、映画、ゲーム等々、黎明期の方が面白くて、業界として規模がでかくなって成熟してくると、内容頭打ち感が出てくるのは、外れを恐れて思い切った物が作れなくなってくるからじゃないか?
思いついた勢いに任せて、雑多に作品が並んでいる状態の方が、もちろん大外れもあるでしょうが、大当たりも出て面白くなるのではないかと。創作の現場にいて、そう思う。
対してブログは、本人が「面白いの思いついた、作ろう」と思えばすぐ立ち上げられる。そして今まさにみんなが思いつくままに、ずらりと並んでいるわけで。そういうとこからピックアップしていく方が、面白いんじゃないかなあ、と思ったりしてるわけですよ。
さて、そうして買いましたる「眞鍋かをりのココだけの話」の内容について。その感想。
普段ブログを拝見している時から思ってたことですが。真鍋さん凄いなあ。
漫画みたい。
漫画家が言う「漫画みたい」は、誉め言葉です(笑)。やー、凄いですよ、キャラの立ち方。見た目と言動のギャップ。食中毒で担ぎ込まれた数日後に、中華食べ放題に行く食いしんぼキャラだったりとか。
いつも見ているのがNHKの「サイエンスゼロ」だから、なおさら(笑)。
漫画みたいだなー、と思うのは、コマ割りしたイメージがふと浮かぶから、というのもあります。「山口もえちゃん結婚間近というのを聞いて、思わずイイナーと口走ってしまった」という話なんかだと。
まず、家帰ってきてご飯の支度しているとこを描くですよ。帰ってくるとこ一コマ目で、そこから1ページぐらい、淡々と。でページの終わりのコマでテレビつけて、左ページの一番上に大きいコマで、もくもくとご飯食べてる真鍋さんと、テレビを描いて、テレビの音で「山口も絵ちゃん結婚間近」というのを入れる。
ちなみに左ページの一番上に、重要なコマを配置するのは、漫画の画面構成のテクニックです。
そして次のコマ、口元のどアップで、「イイナー…」とぽそっとつぶやいて。
左ページは計3コマで、最後のコマではっとする真鍋さん。もちろん箸の先からポロッと納豆こぼれてます。
で次のページをめくると、きゃああーーと頭を抱えている真鍋さんが「オイラ今なんていった!?」「テレビに向かってイイナっていっちゃった…!?」と心の叫び。背景は雷で(笑)。
「転」のコマをページの最後に配置して、ページ開くとオチがあるようにするのも、読みやすくするためのテクニック…なんですが、なんで漫画教室になってんだろ? 勝手に漫画にして、すいません、眞鍋さん。
そんなこんなで、毎回更新を楽しみにしているのです。仕事中じゃなければコマに割るのに(笑)。
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