売れる漫画
漫画を商売にしているんだから、どうしてもその基準で漫画を見ることになるんだけど、実は思っていることがあって。
「売れる漫画」として企画する時点で、もう売れないんじゃないかと。
いや、実際は完全な企画物として作って大ヒットした作品もあるので、別に間違いだというわけではないのですが。ただ、そういう意識で作った時のリスクが省みられていないなあ、と感じるのです。
内容が、どこか嘘になるんですよね。
こういう話が好きなんだろ? こういうクライマックスが見たいんだろ? という作り手の意識がどこかに出て、それを感じたら、引く読者もいるよねえ、と。自分がそうだから。胡散臭いセールスマンのセールストークみたいで。
抜群のセールストークで、完璧騙せるならいいですが。ちょっとでも緩むと。その辺油断している作品、多いよなあ、と思うのです。
まず「売れる漫画」を目指すというのは、ある意味仕方ない。いろんな人が関わっているから。実際売れてくれないと困る、というのともう一つ。「売れる」以外で全体の意思統一を図るのは難しい。
「面白い漫画を作ろう」じゃムリなんですよね。
「面白い漫画を作りましょう!」
「いいね! その意気だよ! ○○見たいなヤツな!」
「(え? あれ面白いかなあ。まあいいや)こんな感じで、どうでしょう!」
「…は?何言ってんだお前、分かってないなあ。面白いってのはこうだろう!」
「は?」
面白いという感覚には好みが入ってくるから、万人共通じゃない。しかも、言葉で感覚の細かい所を説明するのはムリだから、共通の土台が作れない。これが何人もの人が関わっていたら、当然妥協に妥協を重ねた、寝惚けた物になる。
その点「売れる漫画」のほうがイメージしやすい。客観的な数字で評価できるから。パターンAよりパターンBの物の方が、これだけ売れました、という明確な値が出る。だから、「こっちだよね」という共通理解が作りやすい。
ただ、数字があると、ついそれで安心してしまうのも人の常で。
で、油断してるなあ、という漫画が出来てしまう。「売れる漫画」はパーフェクトを目指さないといけない、と思うのです。
次回は「愛のある漫画」。(いつの間に3部作?)
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