人形つかい
人形つかい。1951年。ロバート・A・ハインライン著。ハヤカワ文庫。
ハインライン強化キャンペーン中。いや、自分にね(笑)。こないだ久々に読んだら楽しくなってきちゃって、いろいろ漁っているのです。
書かれたのがもう50年も前なんだから、古典中の古典なんだけど、小説の利点に一つ気がつきました。絵がついてない。
いや、それは利点なのか? と言われそうだけど、古いやつの時には。漫画とか映画だと、どうしてもデザインが古くなって、画面全体が「古いですよー」と主張し始めちゃうんだけど、小説の場合。最新デザインに脳内で補完可能。
確かに描写の中にはいくつかどうにもならないものがあるけど、例えば「円盤型の宇宙船」と書いてあっても、ディテールの処理によっては最新型に。漫画だと手塚センセのあのかわいい感じの宇宙船になってしまいます。僕は嫌いじゃないんだけど(笑)。
さらに古くなったことによって、一周して新鮮な場合もあるよなあ、とも思いました。なんかそれも楽しい。
キャラクターの造型が。昔のアメリカンなヒーローとヒロインなんだけど、逆に最近見なくて新鮮なんじゃないかと。エリートで有能なんだけど、基本的には直情型の熱血漢。うじうじ悩まず行動力で勝負するタイプの主人公。
で、もっと新鮮だったのが、ヒロイン。謎めいた美女。全てを知ってる頭脳明晰なタイプで、男の気持ちを手玉に取る。でも一歩内面に踏み込むと、惚れた男にとことん尽くすタイプ。
今ほど女性の社会進出が進んでいない昔のアメリカで、多分当時最先端の進んだ女性像なんだろうけど、その絶妙のバランスが。凄い魅力的。
今の最先端女性像だと、ヒロインとしては難しいんですよね。男に勝とう勝とうとしちゃう強い女性像。本人が主人公なら別にいいんだけど、二番手で出てきた場合はでしゃばりになっちゃう。
その点この作品のヒロイン、メアリは。強くて自立しているんだけど、ふっと健気なところを見せるわけですよ。そのギャップにドキドキ。
「ハインラインが漫画っぽい」と書きましたが、それは多分、こういうキャラクターの魅力に負うところが大きいと思うのです。ほんとに面白い。
さて次何読もうかなー。
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