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2005/07/31

ハーメルンのバイオリン弾き 37

ハーメル回顧録の37。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

とうとう来ました最終巻。

ナベ先生と、最後までのプロットを打ち合わせている時に、二人で確認したことがあります。

1.ベタでいいから、ケストラーを圧倒的な敵として描こう。

2.ベタベタのハッピーエンドで行こう。

ケストラーを圧倒的な敵として描く、というのは現在の主流とは、ちょっとかけ離れてるかもしれない。今は勧善懲悪のラスボスよりも、敵にも考慮すべき事情があって、という描き方の方が多いです。もしくは精神的にとんがってる感じ。ケストラーみたいな力の権化、というのは一昔前のタイプと思われちゃうかも。

でも考えたのは、流行り廃りじゃなくて、この話をどう決着つけるかという事。そのためには完全な対比構造にしないといけない。仲間とか思いとかを信じていない敵が、それによって滅ぼされる形。

かくしてケストラーはしつこいまでに復活を遂げ、圧倒的な力で、オーボウ、パンドラ、ライエル、サイザーと手をかけていくのです。

さらにこれでもかとケストラーの圧倒的な力。地球全体が焦土に。人類絶滅の危機。そして、そこに現れた、フルートまでもが。

そして迎える、最終章。

ベタベタでいいから、ハッピーエンドに。それを合言葉に考えたのが、この形。スフォルツェンドの女王として、慈母の力に目覚めたフルートが放つ光で形勢逆転。そして最後はやはり、みんなの力でケストラーを倒す。

「いくぜケストラー!! 貴様には…地獄の交響曲を聴かせてやる!!」親友ライエルと共に奏でる、交響曲「第九」。そして、フルートとパンドラの聖女二人のハーモニーによる第四幕「歓喜の歌」。魔曲に力を与えられたみんなが力を合わせ、そして弱ったケストラーを新しいパンドラの箱に封印。

こうして全ての災いの元を断ったのです。

…いや、断ってなかった(笑)。ここからがエピローグ。死闘の後はいつものハーメル。実はギータは下の犬が本体で、ケストラーの残した血痕を舐め進化を遂げ、更なる凶悪な魔族の王が……と思いきや。遅れてたどり着いたコルネットの「聖母殺人伝説」にて、あっけなく死亡(笑)。

これも、もうここしか出せないね、と言ってました。何しろあまりにコルネットが化けすぎて、シリアスなシーンには出しようがない(笑)。だって、どんな敵にも勝てそうだし。途中で、壮大なオチとして使うしかないな、という事で意見が一致しました。

そしてみんなの後日談。なんかもう、全てやり尽くした、これこそ最終回という感じですね。最後のページ、オイラが描いたんですよねえ……しみじみ……。

さて、裏話もこれで最後となりますね。それでは取って置きのヤツを。実はプロット考えている時、もしかして単行本のページが合わないんじゃないかという懸念があり、外伝を描くか、というアイディアも出たんですが。36、37巻を増ページすることで解決しました。

描くとしたら、ハーメルとフルートの子供と、ライエルとサイザーの子供の珍道中。大きな話じゃなくて、ちっちゃい子が頑張る、ちょっとした冒険譚がいいな、と。その時はハーメル、フルートがあんなに子沢山だとは思ってませんでしたが(笑)。

そういう幻の外伝のアイディアもありました、という裏話。どうでしょう、見たかったですか?

さて、次回。ハーメルンのバイオリン弾き、総括。

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コメント

ハーメル回顧録、最終巻までの完筆お疲れ様です。
毎週楽しみに読んでいました。
実際漫画制作に携わっていた方に、このように当時のことを語っていただけるなんて、1ファンとしてとても嬉しかったです。
たくさんの裏話や秘話などありがとうございました。
「ケッタ・ゴール!」も応援しています、頑張ってください。

投稿: lavibell | 2005/07/31 11:39

お楽しみいただけたのなら、幸いです。

大勢のファンの人が、今でも関心を持っていてくれている、「ハーメルンのバイオリン弾き」という作品は、幸せな漫画だな、と思います。

それに自分が関われたというのは、ちょっと誇らしいです。

次は自分の漫画が、そういう愛してもらえる漫画になるように、頑張りたいと思います。

投稿: ひろし | 2005/07/31 22:45

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