打ち切り補完
こないだあんなに長々書いたのに、「打ち切りは仕方ないのでは?」という趣旨のコメントを頂いてしまい、しまった、ちゃんと伝わってない? と不安に。
地球なんて滅びろ!とか書いてたのがいけなかったかもしれない。あんまり長文真面目に書いてたから、ちょっと柔らかくしようかと思って。文章にするとニュアンス出ないから、難しいですね。漫画だとあそこはギャグ顔で描くとこなんですが。
こんな顔
というわけで今回は具体例を交えて、もう少し突っ込んだ話。
僕は今回が初めての連載なので、幸いまだ、自分の漫画で打ち切りは体験していませんが、ナベ先生のとこで。成功も失敗も、両方間近で見たわけで。
打ち切りは辛いです。宣告されても、何回か仕事は続きます。目の前に死刑執行された死体が横たわっている。そんな気分。明るく振舞っていても、油断した弾みにふと溜息が。ナベ先生も寝れないって言ってたなー。
打ち切りがあるのは仕方ないというのは、了解しているのです。漫画は小説に比べて、話を進めるのに手間かかるから、すぐ長くなっちゃう。だから連載というのは、実は見切り発車で、出来た端からばら売りしていくという行為。大長編を完成してから売る、なんてやってたら、干上がっちゃうから。
そうである以上、見込み違いが発生して、引っ込めざるを得なくなるのは仕方ない。
ただ、漫画の打ち切りって罰ゲームなんですよね。多分小説の場合だと、よかったときに続編が出るので、続かないのが普通で、続くのはご褒美という感覚だと思うんですが。漫画、特に少年漫画なんかだと、見切り発車で大長編を描き出すもんだから、続くのはノルマで、悪かったら打ち切りという感覚。
これは当然、作り手の潜在意識にマイナスの作用をする。何とか避けたい。ナベ先生の次回作が、ガンガンでうまく行かず、自然消滅する様も間近で見ていたわけですが、これもそんな印象。
ナベ先生、ファントムは自分に向いてないのを承知の上のチャレンジだったから、次は手堅く行きたかった。ところが編集部としては、新人にチャレンジングな漫画なんて、打ち切り必至で怖いから、ベテランにそれを求めていたみたい。
でもその分、長い目で見守ってくれるわけじゃないのは実証済み。さらに向こうもやっぱり、その前の打ち切りが気になっていたみたいで、チェック厳しかった。しかも、やっぱりマイナス思考、減点方式のチェックになるんですよね。
結果こちらにはこう聞こえた。「革新的な内容で、人気は手堅く、目指せハガレン……」
ムリ! ハードル高すぎ!
そんなの思いつかないですよ。双方縛りをきつくして、脳内フリーズ。企画はお流れ。
今考えても、あんなに悲観的な目で見なくてもいいのにな、と。漫画は転がし方次第で変わりますしね。打ち切り=罰ゲーム、という構造が気持ちに影響しているんじゃなかろうか、と思った次第。
あともう一点。「打ち切り」って実は「エンドレス大長編」という問題と、表裏でワンセットになってるんですよね。根っこに、とにかくアンケートの数字を、何よりも重視する姿勢。だから途中で打ち切って、話がぶち切れになるのも、引っ張りに引っ張ってボロボロの状態になるのも、気にしない。数字が全て。
でもマーケティングの内容変えて、例えば顧客満足度を重視したら、まったく別の側面を見せると思うんですよ。引っ張ってボロボロになってきたら、単行本の売り上げ部数が下がる前に、満足度の数字がガタガタになるはず。
漫画の仕事しかしたこと無いから詳しくないんだけど、なんかいろいろな種類がありますよね、そういう調査。てことは今のアンケートが、果たしてお客さんの気持ちをちゃんと代弁しているのか、怪しい可能性もあるわけですよね。
このようにいろいろと、考える余地はあると思うのですよ。
まあ、無くすためにはビジネスモデルの大転換が必要なので、望み薄ですが。そこは自分で回避しろ、と(笑)。
自分の漫画の屍は見たくないですね。
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