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2005/06/23

ハーメルンのバイオリン弾き 32

ハーメル回顧録の32。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

いやー、ナベ先生は律儀な人だなーと思うのですよ。魔族と人類の総力戦。勇者一行を助けるべく現れる、各国の精鋭達はいいとして。あんな人やら、こんな人やら。

漫画のクライマックスで、今まで出てきたキャラクターが勢ぞろいして、主人公を後押しするというのは、燃えるパターンなわけですが。一巻の頃のキャラとか、外伝のキャラとか、脇にチラッと出てきただけのキャラとか、とにかく全部勢ぞろい。

こんな遊びをしているから、なんかあっちにふらふら、こっちにふらふらという印象が否めない(笑)。でもそのため読者は、次に何のシーンが来るのか、さっぱり読めない。遊びは漫画に重要です。作りこみすぎちゃうと、消えちゃうんだけど。

さらに一見そう見えて、話作りは基本に忠実、骨の部分はしっかりしているから、ちゃんとストーリー漫画として進んでいく。クライマックスは燃える展開に。一挙両得、一粒で二度おいしい。ナベ先生を評価している人は、こういうところを押しているんだろうなと思うのです。

さて、この巻ではホルン様の凄絶な大往生が描かれているわけですが。お察しのとおりこの辺も、ラストに向けてのプロットに計算して組み込まれていて。

30巻のホルン様が病床に臥していながら、十字架に残った法力を詰め込んでいたりとか、この後リュートとの戦いや、最後の決戦で、その力が助けてくれたりとか、そういうのは全部一本の糸で繋がるように計算してました。

計算というと、何か冷たく聞こえるかもしれませんが、話作りにおける計算というのは、要するに一回全部想像してみることで。話を想像しながら、読む人の気持ちも考えていく。そんな作業をナベ先生と二人でやっていくと。

話し合っているうちに、どんどん細かいとこまで想像し始めるわけですよ。伏線があーなってこーなって、ホルン様はこのときこんなこと考えていて、それを後々こういうシーンで受けて……。アイディアを出し合う形で話を固めていく。

で、最後ホルン様が娘に心配かけまいと見送って大往生、というところにたどり着くと。…いかん、泣けてきた。二人でそんな感じで(笑)。

ベースの最後とか、ライエルがケストラーに立ち向かうとことかでも、話しててそんな感じになってました。自分で泣けたり、燃えられたりするレベルまで煮込まないと、人に伝えるなんて出来ないんですよね。

自分が10考えて、人に伝わるのは3とか4とかだから。自分で泣けるとこまで考えて、ようやく人の心がちょこっと動く。人には見られたくないですが(笑)。

登場人物の想いとか、気持ちの流れとか、そういう物を最初に整理してあるという事は、全体を俯瞰して描けるという事でもあって。逆に一つのシーンを描くにしても、その後これがああなって、ということが分かっていれば気合も倍増なのです。

キャラクターを描いているのはナベ先生なのですが、自分にもそういう部分があったのでしょうか、今見ると大変な作画のはずなのに、辛かった記憶があまりないのです。乗れていた、という事なのでしょう。

自分の漫画でもそういう状態で描きたいなあ、と思います。

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コメント

>自分が10考えて、人に伝わるのは3とか4とかだから。

賛同!
僕達の間でも良く言われる言葉です。
だから120%?のアイデアを盛り込めってね(^-^;A

でも最近のアニメや漫画は、5伝えて残りは読者(視聴者)が想像しろ!ってゆー作品が多い気がします。特に感情を重視している作品ぽいのに、途中の感情の描写をカットされると頭に来ます。

中には読者(視聴者)の想像に任せた作品があっても良いんだけど、その使用方法が間違っている作品が意外と多いですよね。例えば、あるキャラの行動が、そのキャラ性に合ったものならある程度は補足できますが、そのキャラが意外な行動をした後に感情描写をスルーされると、この作者は感情描写が下手なんだなと思ってしまいます。

投稿: さいた | 2005/06/23 16:33

「読者の想像力にお任せ」という手法は、確かに上手くはまると面白いですが、使い方難しいですよね。狙ってる読者層によっても変わってくるし、さじ加減が。

その辺上手くこなせる人になりたいです。

投稿: ひろし | 2005/06/25 05:45

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