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2005/06/02

ハーメルンのバイオリン弾き 29

ハーメル回顧録の29。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録をどうぞ。

死んだら泣けるっつーもんじゃねーんだよ。気持ち伝わるから泣けるんじゃん? 死ぬほど本気だったって気持ちに泣けるんだよ!

…失礼しました。つい取り乱してしまって。いや、多いからさ。とりあえず死んでる漫画とかアニメとか。

というわけで前回に引き続き。今度はオカリナが本気の気持ちを見せる番。ですが、ライエルと違うのは。彼女は死んでしまうこと。

小さい頃からサイザーの面倒を見てきて、唯一の理解者で。けれど負い目も感じていた。サイザーをこんな運命に引き込んでしまったこと。

魔族の片棒担いで、サイザーに本当の事を教えずに、「ハーメルンの赤い魔女」に仕立て上げるのに、一役買ってしまった罪悪感。ずーっと伏線として、それが語られてきていました。でもそれだけじゃないことも、ちゃんと描かれている。オカリナがどれだけサイザーのことを思っているか。

そしてずっと張られてきたそれらの伏線が、この巻に収束していくのです。いい演出なんだよなあ、ここ。

冒頭、二人のコンビネーションが炸裂しているところで、「ずっと…いっしょにいてね…オカリナ…」という過去のシーンが一枚入ってるんですよね。

それでギータが本性現して、地獄の番犬ケルベロスと化して、サイザー大ピンチ、オカリナも捕まっちゃう。で、ねちねちいたぶるわけですよ、オカリナの罪悪感つついて。さらにオカリナがもう寿命だ、という事をはっきりさせちゃう。

それを知ったサイザーは涙する。自分を止めようとして命を縮めたことを知って。そこでもう一度過去のシーンを回想。小さい頃から、どれだけオカリナが自分を支えてくれたかを思い起こす。そんなオカリナの気持ちを見せといて。

でもオカリナは、さらにそれを超える思いを見せるのです。まさにサイザー食われちゃう!という時。瀕死のオカリナ立ち上がって。「大丈夫…だからもう…泣かないで…ね…」と。

ここまでアクションシーンが続いているんだけど、この構成によって、ずっと根底にテーマが流れているのです。サイザーとオカリナの絆の深さ。最後のモノローグも、回想シーンにも繋がっているし、そこからずっと続いている、オカリナのサイザーへの思いなわけで。

で、命を顧みない渾身の鳳凰千破が炸裂、ギータとオルゴールを吹っ飛ばす。でも、ハッピーエンドかと思いきや、振り向くオカリナは寿命が尽きて崩れ始めていて。

崩れていくオカリナを必死で抱きしめるサイザー。オカリナは最後までサイザーに謝ってる。サイザーは否定したいんだけど、声にならない。ここでべらべら喋ると嘘になるんですよね、余裕あるじゃんという感じで。でもサイザー、もう動転しているから、言葉にならない。

で、最後のオカリナのサイザーへの遺言。聞き取れない。口の動きだけ。これも秀逸な演出。読者はみんな分かっているわけですよ、オカリナの気持ち。でも、サイザー本人は聞いたことがないわけで。それを引っ張って事件の後、オカリナの墓の前で。

ライエルの心の中の問いかけ、「最後にいいかけたこと…わかるかい…それは…」に応えて、「”生きる”ことに…したよ…」と。

ドドーンと見開きで。ホントいいシーンですよねー。オイラもオカリナの気持ちに応えて、一生懸命描きましたよ、背景。

前に「サイザーが最後まで生きてるのはまずいんじゃないか」と思った話をしましたが、これを見たら納得。ここまで悩んで、そして思いを託されて、頑張って生きようと決めたならいいか、と。いや、むしろ頑張れ、サイザー。

漫画家人生でこういうシーン描く機会、なかなか無いですよ。ここまで伏線積み込むのがまず大変。クライマックスの形だけ描いても意味無いから。気持ちの積み重ねが大切だから。いいなー、ナベ先生。うらやましい。オイラもこういうシーン描く機会にたどり着けるだろうか。

「バド○イザー」にコメントしようかと思ったけど、やめた(笑)。せっかくのいいシーンだったから。

さて次回、とうとう予告通り、大事件が起きてます。

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